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#ショートショートnote 『君に贈る読書』

「ぼく、物知りになりたい!」星に願った5歳の少年の前に、神様が現れていいました。

「今日は神様から、きみにプレゼントだ。」
「わーい。なにをくれるの?」
「読書だ。」
「読書?本じゃなくて?」
「そうだよ、物知りになりたいんだろう?」
「うん!」
「じゃあ、きみに"読書"を授けよう」


神様はそういうと、少年に向かって呪文を唱えます。
すると……


「さあ、これを読んでごらん」
神様は、少年に本を差し出します。
「太宰治の『人間失格』?読んだことあるからいらないや」
「じゃあこれはどうだい?『メモの魔力』。」
「将来の就活を見据えて、当然読んでるよ」
「じゃあ、私が書いた長編小説を読んでごらん」
少年は神様の本をパラパラとめくって、退屈そうに言います。
「斜め読みで充分だね」


神様は少年に「読書経験」を授けました。
少年は、古今東西どんな本も読んだこともある、立派な物知りになりましたとさ。

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