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【台北 忠孝新生】東京の秋葉原のようなITの街にある日本家屋で、日本と台湾のビミョーな違いを感じてみる

台北駅からMRTで2駅、忠孝新生駅の近くに「光華商場」があります。
ここは、台北の秋葉原とも呼ばれるように、パソコン関連の商品を販売しているショップが、たくさん並んでいます。
 
この街の一角に、ITとはほとんど無縁のように見える日本的な懐かしい空間が広がっている場所があります。
 
「台湾文学基地」と名付けられ、台湾の文学を紹介・研究しているスペースなのですが、きれいにリノベーションされた日本式の木造住宅が7棟もあり、まるで日本にいるような気分になります。
文学に興味がなくても十分に楽しめます。

台湾文学基地 
ここから中に入ると、日本にいるような気分になります。


 

敷地内の案内図

和風木造住宅 日本と台湾のビミョーな違い


入口にある黒くて大きな建物「斉東舎」を見てみましょう。
前から見ても横から見ても日本式の住宅ですが、台湾の風土に合わせてアレンジされています。

黒くて目立つ「斉東舎」


1 L字型の大きな出窓がある

当時の台湾はまだあまり衛生的ではなかったので、風土病で亡くなる人が多くいました。そのため、部屋の中に日光を多く取り入れることができるように大きな出窓をつけました。

2 出窓の下に地窓がある


出窓をつけると部屋の中が暑くなるので、出窓の下に窓をつけて風通しをよくしました。

3 部屋によって窓の高さが違う

洋間として使用していた部屋は、窓の位置が高くなっています

窓が高い部屋は、椅子を置いて洋間として使っていました。
窓が低い部屋は、たたみ敷きでした。
生活スタイルにあわせて窓の位置を変えていました。

4 床が高い


玄関で靴を脱いで中に入るときに、床がとても高く感じます。
日本では床の高さが45㎝ぐらいですが、台湾では湿気が多いため通気性を良くするよう、65㎝以上にしています。

5 縁側が広い

広い縁側

両手を広げてもぶつからないほど、縁側を広くしています。 
直射日光で室内が暑くなるのを防ぐように作られています。

6 八角形のモダンな窓がある 

ヨーロッパへ留学経験のある建築家が伝統にとらわれず自由な発想で、西洋風のデザインも取り入れています。

じっくり見てみると、日本の木造の家とビミョーに違いますね

ここに日本式の木造の家がある理由

日本時代、住宅不足を解消するため、まだ農村だったこの地に公務員住宅をたくさん建設しました。 

戦後日本人が帰国した後、代わりに中国大陸軍人や政府関係者などが台湾に大勢やってきて、空き家になったここの木造住宅には、台湾銀行の職員が住むようになりました。

 長いこと住んでいると、少しずつ壊れてくるので修理が必要ですね。
住んでいた人たちは、すぐに中国大陸へ帰るつもりでいました。壊れても応急処置をしただけだったので、ボロボロになり多くが壊されてしまいました。

ここに残っている建物には、銀行の偉い人が住んでいました。
修理を依頼されたらきれいに修理しなければならなかったので、しっかりとした形で残されていたのです。

建物の持ち主である台湾銀行が2002年に再開発を発表すると、地元の人たちを中心に保存運動がおこり、修復して2014年に一般公開、2020年には再度整備して、日本にいるような素敵な空間が誕生しました。

 

展示室にお菓子を置くビミョーなゆるさ

別の建物では、台湾文学の展示をしていました。
ここでタブレットの後ろにスナック菓子が置いてあるのを見つけました。
これは、
スタッフのおやつでも、
見学に来た人が忘れていったものでもありません。

ではなぜここに置いてあるのでしょうか?

 このスナック菓子は「乖乖」といい、日本語では「良い子」という意味です。
緑のパッケージの「良い子」をパソコンやコビー機、テレビなど機械の上に「いい子だから、壊れないでね」と呼びかけるように置くと、順調に動くという迷信があります。

IT先進国の台湾ですが、このような迷信も日常生活に取り入れています。

「都市伝説」がテーマの展示だったので、わざわざ置いたのかもしれませんが、展示室にお菓子を置くなんて日本ではありえないですね。
ビミョーなゆるさに、驚きながらも癒されますね。

 

違法建築も保存

1階が通路になっている2階建ての家があります。
これは日本時代のものではなく、戦後になってから建てたものです。
人数が増えて家が狭くなってきたので、違法建築の家を建てて雨風をしのいでいました。
これも歴史の一部なので残してあります。
違法建築なので、中に入ることはできません。

近くの和風住宅カフェでひと休み

図書館風カフェ「文房」

歩き疲れたので、ひと休みしましょう。

このすぐ近くに、和風建築を図書館兼カフェにした「文房」があります。
この建物も日本時代にできたもので、コーヒーを飲みながら日本の家を見学した余韻に浸ることができます。

最近までは完全予約制の図書館でしたが、今は予約不要でカフェとして気軽に利用することができます。
玄関のドアノブが古いので、閉めるときにビミョーにコツがいります。

 この台湾文学基地以外にも、台湾各地に日本式の住宅が保存されています。見学するときの参考にしてください。 

ここから最寄り駅の忠孝新生駅までは、「超」がつくほどの高級マンションが並んでいます。
散歩気分で歩いていると、貧富の差を感じてビミョーな気分になるかもしれません。覚悟して歩いてください(笑)


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