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第59話「生命の代償」🟣第一ステージ 野崎太郎人生応援抒情編73


1973.8.31放送

脚本 石松愛弘(いしまつ よしひろ)
監督 斎藤光正   ←この表記が正しい

ストーリー概要

信号が青に。

夏の日の夕方、ここは新宿駅東口。
勤務を終わった人の波。

皆、家路に帰る帰宅者でごった返す。

井上堯之バンド♫
「尾行のテーマM10」

マカロニ時代のオリジナルです。

この後に、
この「尾行のテーマ」が、
どうも不可思議な動きの男、井村を
刑事の直感で尾行していく野崎の行動の
前奏曲(プレリュード)になっていたとは、
視聴者も想像出来ていたか否か?


「今日も一日が終わりかー。
 皆それぞれ、一日分の勤めを
 果たしてホッとしてるんだろうな!

 見ろよ、人間らしさが、溢れていて
 いい感じじゃないか?

   おいっ、その辺で一杯?」と野崎。

若い後輩の純を、誘う。

◆鬼によると、野崎はかなりの酒豪らしい。

◆後日の太陽!で、ボンが
野崎と一緒で、二人だけの飲み会で、
先に
酔い潰れてしまったのが、ボンである。
ボンも、純同様に人生を甘く考えている。
それを後輩ロッキーに、都度揶揄される。
創の方がしっかりしている。


堅物の長さんが誘ってくれるなんて
思ってもいない黒メガネは、

「えっ?えーっ!。
 い、い、行きましょーかああ?!」

早く仕事を上がって、ゆっくりタバコと
酒タイムにしたい黒メガネ。

テキサス、ボンの先輩で、
今は人生を甘く考えている、そんな柴田純。
23歳の頃は、誰でもそーだがな?

そんな野崎と純は
赤信号だが、止まらずに
横断歩道を渡っていく(小山田宗徳)が演じる
しょぼくれた中年の男に、

「あっ、信号赤ですよー!」

「チョーさん!」と
他人の事は、どうでもいいと
あまりしゃしゃり出るなと
野崎を止める黒メガネ。

「チョーさん。
 っもう、心配性なんだから、、

 本当にまあ、、長さん!
 早く、早く行きましょう、よ!」


井上堯之バンド♫
「過去の事件簿Ⅰ(M11A)」

ジーパン時代で二回目の間奏。
一回目は、前作「蒸発」署長室にて。

「燗(熱いの)二つ!」と野崎が注文。

「冗談じゃない?!
 この暑いのにぃ!。
 ビール、ビール!
 ビールにしましょうよ。
 とりあえず!」

「とりあえずぅ?」

「ええー。」
「生意気なっ!」

◆この台詞「とりあえずぅ?」は、

目上の先輩、上司に
投げかける言葉ではないのだ。
だから長さんは、ムっ!としている。
純は長さんより、20才は歳下。
映像で見て取れます。

◆皆さん、解りますか?

※皆様も、後輩、部下から
そう言われたとしたら、彼らは
貴方を目上の先輩、上司として敬っていない証拠なんです。
同輩、友達と思っている。

ほれ!と、100円を野崎に。
誘った長さんが、ビールを選んでいる。
本当は逆だろうに。

通りに移動した二人は、
店の酒自販機で、缶ビールを買う。
サッポロビールを二缶。

◆先々週の第57話「蒸発」のラストシーン。
鬼が用意した缶ビールも
サッポロビールだった。
あの時代の太陽!の番組スポンサーは
サッポロビール?だったかな?

野崎と黒メガネが飲み干す缶ビールは、
「サッポロビール」の銘柄が
画面に映るように、美味しそうに飲む。

◆読売系番組だけに、まさか、
アサヒビールと云う訳には
いかないだろう?。



後ろから、あの男が・・

「長さん。どうしたのお?」

純の後から近づくあの男。
対面の野崎はその男をじっと見遣るが、

男は、顔を下に向けて、
ぼそぼそと こちらに歩いて来る。

純に再度揶揄されたくないと、、
「ビールも、また活きてるよなあ?」

「またあーっ!
 何ぃー、(を言ってるの?) 今更あーっ!」

「ビール無くても、
 僕は生きてますけどねー!」

◆代わりに純はタバコが無いと
生きて行けないんじゃないか?
この時点で、ニコチン中毒か?

その男は、同じ自販機で
ビールを買う。


井上堯之バンド♫
「青春のテーマ-夜明け-」が間奏。

これは、シリーズ第56話で初披露された。
また、前回の58話の序盤でも、再度間奏された。

「さっきの人ですよ、ね。」

車道脇の通行歩道。少しの段に
腰掛け、缶ビールを飲んでいる。

コインを一枚入れているところから、
100円位かなあ?
勿論、この時代は消費税はありません。

◆消費税は1989.4.1から、
最初は3%が課税されるようになった。

三菱信託銀行の看板が見えますね。

向かいには、
三菱信託銀行の看板が。
UFJと合併になる50年前の看板が。
◆銀行同士が合併するなんて、当時は
思ってもみなかった事だ。
銀行、金融機関だけは安泰だ、と皆思っていたのに。

当時は、番組スポンサーが、三菱電機でしたから
この関連もあったのかな?
一係部屋の扇風機も、三菱電機製品です。
お気付きでしたか?皆さん。



「ちょっと様子が変だとは思わんか?」

「別にぃー?
 会社で、嫌な事があったんじゃ
 ないすかあー?」

「そーかなあ?」

場面は、

尋常ではないこの男の、
この行動に不穏感を抱きはじめる野崎。

更に、この男は、
未就学児のように、たった独りで
戯れるような素振りで、
中央分離帯や車道を歩き、

「おいジーパン?やっぱり
 あの男、おかしいよ。」

「んな事、ないっすよー。
 子供に帰った気分なんですよ。」

ちょっと足がよろけて、
車道に飛び出してしまう。

井村の背後の車は、ダイハツ「コンパーノベルリーナ」1969‐71年型
昭和45年にトヨタがダイハツと業務提携して3年目。
だから、画面にダイハツ車を登場させていた?とも、推察。

画面には、また懐かしい車が映る。

◆上記59-70は、マツダ初代カペラロータリークーペ。
練馬ナンバーかな?
当時のCFキャッチコピーは「風のカペラ」

旧車カタログ
昭和45年 初代 マツダカペラロータリーS122A型
↓↓動画内容は、セダンですが。

この頃には、ボディカラーが
オレンジのクルマが増え出したのだ。
前回の日産チェリーもそうでした。

こちらが、ロータリークーペ

通称“風のカペラ”は、
1972年には
米国の自動車専門誌で
輸入車の最優秀車賞に選出されました。

現在のマツダアテンザの、
元祖に当たります。


「帰りますよー、俺。」

「俺。付けてみるよー。」

「良いんですねー。」と、

俺が居なくも、長さん一人で
大丈夫なんですねー、と念押し。
「もう好きだなあ、、、!  チェっ!」
と、舌打ちの黒メガネ。

右手で、じゃあ、と野崎。


発売されてから、
その年のお盆を過ぎて。
映像で挿入された以下の曲。

♫「愛と死」

フォーリーブスの楽曲。 
(1973年2月1日)発売
作詞:北公次
作曲・編曲:鈴木邦彦

作詞者の北公次はもうこの世に居ない。
1949年1月20日産れ
2012年2月22日没年
もし生きていたら、
2023年は74歳の筈。


夕方から、おそらく数時間後。

夜9時頃だろうか、
まだ、家 (団地) にも帰らずに、
あの男が心配の野崎。

尾行中のバックに、この曲が流れくる。

偶然を装うが、

「あ、すみません。
 ちょっとタバコの火を」と云う野崎。

既に、さっきから俺にちょっかいを
出してくる男だと分かっており、
そんな野崎を無視する男。

男は、新宿adhocビルに入る。

※ 東京メトロ丸の内線新宿駅が最寄。

新宿駅B9出口から北のショッピングモール。
2023年にも現存しているみたい。


エレベーターにも、
野崎は男と、わざと乗り合わせ。

チョーさんの背中は、汗が染みている。
熱い芝居をしている証拠。
それとも、くそ熱い新宿の夜、の演出。

エレベーター内で、カップ酒の男。

外では、パトカーのサイレンが鳴り響く。
仏頂面の野崎。

喫茶店で、野崎はホットコーヒーを。
この男も、コーヒーを注文したが、

飲もうとせずに、口も付けずに
屋上に上がる。

◆この屋上は、第48話「影への挑戦」で、
シンコと小澤の再会でも使われていませんかねー?

野崎も、その様子を伺いつつ。店内を尾行。

上階に上がり、野崎の前でその男は、

突然に、屋上フェンスを上って
飛び降りようとしていた。

「おい君っ!」

野崎は男に齧り(かぶり)付く。

「離せえー!」

男の掛けていた眼鏡だけが、
階下の雑踏に吸い込まれて行った。

「あの馬鹿っ。余計な事しやがって!」

男は、阻止されたが、また
フェンスを飛び越え、逃亡。

持っていた茶の社封筒から、
一通の封書を落とした。

「あっ、コレっ」と
渡そうとする野崎だが、また、追跡し始める。


ここからのシーンは、

おそらく井上堯之バンド♫BGMでは、ないだろう。

かつての東京バイパス指令で
使われたBGMだろう、な。
音源はネット上にはありません。
よって蘊蓄話ではリンク出来ません。

第一話「マカロニ刑事登場!」で
ミノル (水谷豊) をマカロニが追跡するシーンで
使われた楽曲の再流用をしている。

ここから、野崎の突進、激走が映像化。

「おい、君ーっ」

「シツコイぞーっ!ひえーっ!
 何処まで、追っかけてくる気なんだ!」


長さん (下川辰平) は、
Wikipediaによると、

学生時代はラグビーをやっていたこともあり、
走る姿などにその片鱗がうかがえる。
ウイングで100mを12秒台で
走っていたという。ほぼ山下真司並み。

◆後期のスニーカー山下真司も、
台詞の中で、こう言っている。

「長さんは、走っても、俺たちと
 変わらないじゃないですか!」と。

※俺たち、とは
スニーカー五代潤とロッキー岩城創のこと。

※刑事を辞めたいと悩む大先輩を励ます意味で
スニーカーは長さんの元気復活を後押し。
上記の台詞には、隠れた意味があります。
(簡単に辞めると、言わないで、と)


だからタバコを、山さん並みに
パカスカ吸っている割には、
こんなに走っても、息は乱れない。

「また、死なれては
 元も子もないからねー。」

男(小山田宗徳)は、
ゼィゼィと息が荒い。
走り慣れていなかったのだろう。

逃走したが、この男は、
やはり元ラガーマンの長さんには勝てずに
追いつかれた。

「あんた、一体何の権利があって、、
 失敬じゃ無いか!」

「兎に角、何か心配事があったら、、」

「何も、ありゃせん!!」
「あんななな、冗談だ、よーっ!」

「オジさん、オジさん
 何があったのー?」と

少し似ているでしょう?

荒木一郎似の色メガネの若者が、
(喧嘩をしているのか、と)
野崎に心配そうに、声を掛けてきた。


やっと、家路に着こうと、

帰宅途中の電車内で、
思い出したように、野崎は

内ポケットに入れていた、あの封筒を見た。

中身を取り出すと、
手紙。自殺を仄めかす遺書が、、

井上堯之バンド♫
「危機のテーマ オリジナル」

「私の不始末のため、
 会社にご迷惑をかけ、
 信用を傷つけてしまいました。
 全て、私の責任です。
 全くお詫びのしようもなく、
 死を選んだ次第です。
 どうかお許しください。

 井村太一」

◆この手紙で、
あの男の名前を知ることになる野崎。


翌日。
野崎は一係にて、鬼に報告。

自殺を阻止するのも、自分の職務。

市民の財産と安寧と平安。
そして一番に、市民の生命を守る事が、
警察官の職務、使命なんだから、、。

それよりも、人の死をそのまま
見過ごす訳にはいかなかったのだ。

「へーえ?」とチンピラ純。
「自殺する気だったんですか。
 当たったんですね、長さんの勘。」

そう言って、野崎の肩を叩く。
友達を励ますみたいに。

※(おい!純。大先輩やぞ。失礼や!)

「勘だなんて、気安く云うなっ!
 俺が止めなきゃ、奴(やっこ)さん。
 本当に死んでたんだ!」

急に叱られ、純は吃驚した。

じゅん、が、しゅん、となる。
ぼそっと手を引っ込める。

◆家庭で、良子や俊一を叱る時と
同じ叱り方。

其の場凌ぎ(そのばしのぎ)で、
純は、その手紙(遺書)を見ようと

鬼のデスクに置いたそれに、
手を出すが、
ゴリが先に取り上げ読む。

※芝居の先輩の演技に、
一本取られた柴田純。この芝居での松田優作。


「この分じゃ、またやりますよ。
 この井村と云う男。が
 しかし、しっかりした字ですね。」と体育会系。

横長の便箋、、見かけませんね。

「そうだあ、達筆だ。」と鬼も認める。

※かなり、学があると見える、
その彼が書いた文字。

「あのうー、ボス。
 二、三日マークさせて貰えませんか?
 人の生き死に、に関する事ですから、
 お願いします。ボス」と野崎。

「いいだろう。
 おい。ジーパン。
 お前も、長さんに付き合ってやれ!」

「お、俺も、っすかあ?
 別に、事件じゃないんでしょうお?」

◆何で、こんな年寄りと、俺が、、、と。
しかし、部屋の責任者の一言は。

「人生勉強の訓練だ、と思え!
 若いだけが、取り柄じゃねーんだぞ!」

「えーえい?ほおーいーっ?」と

嫌々、鬼よりも人生を知り尽くしている
大先輩に付いて行かざるを得なくなった。

純は、一切反論は出来ずに
引き下がり、野崎の後に追従する。

ゴリも笑い、
体育会系の自分のシゴキよりも
長さんの方が、
実践教育係には相応しいのかも。


場面は、変わり中光商事。

「井村?」

「名前は太一、と云うんですがねー」と野崎。

中光商事の人事課長を、
野崎と純は訪問。

偉そーな態度の純

「幾らマンモス会社でも、
 調べる手はあるでしょう?
 お願いしますよ。」と野崎。

「井村太一?」

「何しろ、我が社は大所帯ですからねー。」

「大所帯、大所帯って言ったって、
 あんた。人事課長じゃないですか!!」と純。

「そ、それは、、、
 少々お待ちください。」と席を離れる。

お辞儀をする野崎。

何様や!お前

純は、偉そうにソファーで足を組んで
ふんぞりかえっている。
どっちが、先輩か、わからない態度。

「おい、ジーパン。
 中々、推しが利くな。」

「軽い!軽いぃー。」

「あー云うのは、出世オンリーのタイプ
 ですからねー!」

「出世オンリー、ねえ?」と
若い黒メガネに感心する野崎。

「そう云えば、味も素っ気もないねー。」

と、貰った人事課長の名刺に
指パッチンを喰らわす、野崎。


訪問結果を、
外の公衆電話から報告する野崎。

「へー。い、
 あ!ー長さんか。
 やっぱり、中光商事の、、、
 輸入部第三係長。井村太一、52歳。

 52歳で係長、とは叩き上げだなあ!
 で、住所は、、はあ、あ。
 中光商事社宅。、、う、うん。

◆実は、石原裕次郎も、大病のために、
早い人生の終焉を迎える。それが52歳だった。

 長さん、これから、どうする?
 う、よーし分かった。」

長さんも、大学には行けていない。
警察官としては、高卒からの叩き上げ。

自分の身に置き換えて、この井村を見ている。
ただし。
野崎のする事には、
一流大学の 東慶大学 法学部卒業の鬼も
信用して任している。
鬼にとっても、野崎は人生の先輩だからだ。

◆後から解るが、
巡査部長には五回目の試験で
やっと合格した、と本人の弁。
「午前10時爆破予定」の回にて。


電話で報告した、井村の団地に
到着した純と野崎。

✅ここで疑問のシーン。
解りますか?皆様。

松田優作と下川辰平は
当時、運転免許は持っていません。

覆面車クラウン40系は
誰が運転したのだろうか?

もしくは、純は免許取立てか?

しかし、運転席には純。
止まる直前に、少し動く車体前部がかなり
前のめりになり、
揺れている映像が確認できる。

しかし、
松田優作が運転している絵ではない。
純が運転しているように、
視聴者に思わせる映像だ。

アクセルからブレーキへの
脚の入れ替わりの勘が巧くいっていない、
ヘタなドライバーである、これが証拠だ。
ひょっとして免許も無いのに
松田優作が運転したか?

また、このクラウンはATではなく
マニュアルトランスミッション車だ。

テキサス時代でも「仰げば尊し」で、
セリカリフトバック後継車、
覆面車カリーナハードトップを
運転しているように見える長さんが、

上記と同じく
止まる直前に車体前部が、つんのめり
揺れさせている映像が確認できる。

クルマを揺らさないで、巧く停める、
技術がかなり不足していたか、この
運転者は?と。また、そのように
見せている映像か?

クルマに詳しい筆者は、
映像中のクルマの挙動でこれが分かります。

皆様、お判りになりますか?

◆一係で、
運転が上手かったのはマカロニ。
そして体育会系、貴公子、最後は山村。
この四人はスタントマン無しの運転をしていた
と推察する。勿論、鬼も自分で運転している。

体育会系は、芸能界新人時代に、
初代カローラ1100の新発売
コマーシャルにも自ら出演した実績が
ある訳ですから。

もう一度その時のCFを↓↓

モノクロ映像です。

石原裕次郎も、テキサス時代に
カローラ37レビンで、犯人を
追い詰めるシーンがあります。

ジーパン時代で、小野寺昭は、私用車
カローラ27レビンで、犯人を追跡する
シーンがあります。殿下も運転は上手い。


「こんなのが、社宅?」と純も吃驚。

38号棟の三階307号室であった。

◆社宅が、38号棟とは?
凄い人数の社員を抱えている商社だ。
まあ、何処かの団地を借りた撮影だろうが。

第48話「影への挑戦」でも、
38号棟の5階と云う団地に、
シンコの親友が結婚して住むことになった。
そこで、殺人事件が起きる。

長さんが、住まいする団地。
第22話「刑事の娘」で登場するが、
第457話では、第6号棟の野崎さん、という
他の住人の台詞があるが、↓の表札の番号は
少しオカシイ。

当時の東京近郊の団地では、
こんな世帯数を収容できる団地が
多かったのか?

現在でも、狭い京都市、郊外でも
あったかなー?こんな団地?
兎に角、京都市は狭いのです。
宇治市、向島ニュータウンがありますが。
この向島ニュータウンも、ここまで広くない。


「何を、
 ちょこちょこちょこ、やってるんですか?」

「いやあー、いきなり会うのも、、、」

野崎はあの井村と、昼間に団地で
会うのを躊躇っていた。

「会わなけゃ、
 様子が解らんじゃないーすか?」
「会えばいいーじゃない?すか」

ここも、上司に向かって友達口調。

「そ、そ、そーなんだけど、、
 会えば向こうだって、バツが悪いだろう?」

「そーんな事ないーすっよ!」
「行ったらいーじゃないですか?
 ここで待ってますから、
 行けばいいじゃない?」

少し離れて純のタメ口。

「だから、年寄りは困るん、、、」と
言った事だけは、よく聴いている野崎。

「何いー?」と憤慨。

タバコを吸いかける野崎に
まあまあ、と自分のタバコを
団地内の道に捨てた。
そのタバコの火が、みのる、に当たって。

「あ、あ、ちいーっ!」とみのる。
「あー!っ」とは吃驚する純。

そこで、三階から
「みのる。今日は随分早いじゃない?」

と、井村夫人。和代(幾野道子)だ。

「今日は午後から
 ストライキなんだって!先生。
 駄目だねー。大きな塾は?」

その時、息子のみのる、が帰宅。

◆第58話に続いて登場の、
「みのる」と云う名の少年。今回は中学生。
学校帰りに行っている学習塾の帰りらしい。


場面は変わり、
井村宅を純が訪ねる。

「あなた。早くう」
「分かったよー」と井村。

「すいません。直ぐ来ますから。」

純は、野崎の代わりに井村宅に、
図々しく上がった。

「いいですよ。」

「いーやあどうもどうも。
 暑いですなあ。」と井村。

「お父さん、
 今日会社休んじゃったの?」と息子。

また、タバコの純

「そうなの。どうしても気分が悪くって
 休んだのよー。」と夫人。

「あーのうっ。砂糖ありますか?」
「えっ?」

「人生勉強が足りないもので、
 まだ甘いもの、の方が。、、」と純。

◆柴田家でも、砂糖を入れた
アイスティーが純は好きみたいだ。

と云う、純は初めて伺ったお宅で、
正々堂々と、食卓でタバコを吸っている。

◆第57話「蒸発」で、
母たきが、純に言った。

小学生に諭すみたいに
「他家(よそ)のお宅に伺ったらねえ、
 きちーんとしてなきゃ、ダメですよ。」

この母の助言が身に染みていない黒メガネ。
こういう所はマザコンの純。
しかしマザコンとは思われたくない。

「どうぞ」と砂糖を出す夫人。

「あどうも。自分でやります。」

「あー、君はあ?」

「申し遅れました。
 七曲署のものです。」と純。

「え?警察の方?」
と言って、扇いていた団扇を止める。
また夫人も後を振り向く。

「ええ。ちょっと先輩の使いで。
 昨日会ったでしょ? 
 あのお、角刈りの、、、」

「あーああ?」と井村。

「あの人が、刑事、、、?」

「ええ。井村さんの事が、気になって
 仕方ないというものだから、、」

「昨日は、お父さんひどく
 酔っ払ってたよねー」とみのる。

「昨夜(ゆうべ)の事は、、ありゃー
 誤解ですよー?」

「誤解。やっぱり、ねー」と純。

「お兄さん!ちょっと立ってみてくれるう?」

「なんでー?」
「いいからーさあ」

「身長どのくらい?」
「身長185」

◆本当は、もう少しある。188くらい?
裕次郎(公称182-3)よりも、
あまり高すぎるのは駄目で、
公称185センチという設定です。
皆が揃っての番組宣伝用スチール写真の
並びを考えてこうした。

裕次郎も実は178らしい。
ゴリとそう変わらない。
山村、殿下、マカロニは174センチ。
筆者も174センチです。
長さんだけ、一番小さくて、165くらいかな。

「体重は?」
「体重76キロです。」

井村も夫人も、驚いた。

「ふぇーっ。
 凄えジャンボだなあ?」

食卓の椅子に上がっても
純の身長に少し余りある。

「ちょっと下の心配性に、、
 ここの平和な姿を、、、」

みのるを抱き抱え、ベランダへ行く純。

「どおーもお!」と下の野崎に。


場面は、外のシーンに。

井村宅を出て、

「ジーパン!お前。
 相変わらず、無神経だな?」

「えっ」「ああ?」「んう?」

「しかし、二親が揃ってるって
 良いもんですねー。」

◆純の柴田家は、母のみ。

親父の死後は、母子家庭なのだ。


「兎に角、夕べ(昨夜)の事は、
 誤解だそうです。」

しかし、純が言った、
例え二親が揃っていても
決して安泰の一家とは言えない事情があると
野崎は最初の直感で、
未だに疑いが消えないでいるのだ。

だが、若い純には、それを感じ取れなかった。

「誤解?、、まさか!」と長。

井村は、やはり。
警察が何故
自宅まで、調べて、
ここへやってきた?
その理由は?と勘繰っている。

ベランダ窓から帰り際の野崎と
黒メガネを見遣っていた。

♪ジェット機の飛行音が被さる。


場面は、
夕餉(ゆうげ)の時間の井村宅。

井上堯之バンド♫
「青春のテーマ-夜明け-」が間奏。

「あなた。さあ、ご飯ですよ。」
「ちょっと散歩行ってくるわー。」

「食事もせずに、、」「ああー」

井村は、食べたくないのか、
夜に、散歩と言って下駄履きで外出。

「しっかり勉強するんだぞ、いいな。」と
息子には、言いかけて。

「お父さん、僕も行くよー」
ベランダから、稔も。

しかし、社宅団地内公園で

「どうしたあ?
 どうして勉強しないんだ?」

「なんだか気分が乗らなくて、さあ」

「そんな良い加減な気持ちじゃ、
 都立には入れんぞ。
 兎に角、
 お父さんみたいに夜間大学じゃ
 世間に出て一生苦労するからなあ。」

「だから勉強が辛くっても、
 頑張り抜いて、一流大学に入った者が
 結局は勝ちなんだ。」

◆第292話で、野崎もまた、
長男俊一の受験合否を焼きもきする
ストーリーがある。
ボン、ロッキー時代です。

実は
「長さんは大学コンプレックス」なんです。
これは、長女良子が父に言った台詞。
今まで一度も、大学に行っていないから。
本当は、行きたくも、行けなかった事情が。


「また、それかあ?
 せっかく一緒に散歩しようと
 思ったのに、、」と稔。

「お父さんの云う事さえ
 聴いていれば間違いないんだ。
 だから、みのる!」

「分かった!よ。」と稔。

井村は小田急電鉄踏切前で
野崎に、ばったり。

✅太陽!に毎回登場してくるのが、
この小田急電鉄。マカロニ時代から
昼間の撮影、夜の撮影を問わずに
ロケが行われている。

井村は、野崎があれから
自分を尾行していた事も知らずに。

「よう!どうしたんですか?」

「いや、別に、、」
「そうですか?、、」

「まあ、その辺で一杯。
 いいじゃないですか?
 さあ行きましょう。」

居酒屋に誘われた。



ジョッキを一気に飲み干す野崎。

1973年に、冷奴が100円です。

「あんたは、幸せな人だー」と井村。

◆野崎は井村のかなり歳下の設定です。
実際は三つしか差はない。

「ええ?」
「どうして、ですか?」と野崎は返す。

「あたしは、もう取り返しが
 付かないんです。
 このままじゃねえー。」

「そんなああ!
 でも、どうしてです?」と野崎。

「このまま生き延びたって、
 あたしには、
 何の将来も無いんですよー。」と井村。

「あ、あなたは
 どんな希望(のぞみ)で
 生きていらっしゃるんですか?」

「のぞみ、と言われましても、、」

「しかしねー。
 他人様が(ひと)の生き死に、に
 こんなに関心を持ってくれるとは、
 夢にも思いませんでしたなあー。」

◆会社だけの人生を
送ってきたからですよ、井村さん。
と筆者は感じます。

「ビールか、ああ」

「ちょっと、お手洗い、に。」


店内BGMの演歌は、
美空ひばりの♫「悲しい酒」かな?
音がよく聞こえないが、多分そうだ。

7年前の
1966(昭和41)年6月10日に発売された
美空ひばりのシングル曲である。

2番の歌詞

♫ 酒よこころが あるならば

胸の悩みを 消してくれ

酔えば悲しく なる酒を

飲んで泣くのも 恋のため

↑ 恋のため、を
「会社のため、家族のため」に
勝手に置き換えてみると、

今の井村太一の気持ちに。



3番の歌詞

♫ 一人ぼっちが 好きだよと

言った心の 裏で泣く

好きで添えない 人の世を

泣いて怨んで 夜が更ける

↑ 好きで添えない 人の世、を
「好きでもない会社の仕打ち」に、
置き換えて読み直すと、
これまた井村の気持ちの代弁。


✅そんな仕打ちを受けたなら、
男は、男である以上は、投げ出さずに
全ては家族を守るために、
立ち上がるものだ、がな。

家族を残して「自殺なんかしないよ」
普通の男ならば。
筆者はそう感じる。

○○コン男なら死ぬかも知れんが。
そう云うのは、男じゃない。
それだけの男だと。
腐った女でも、自らの生活を守る為に
立ち上がる筈だ!
どうしたら良いのか、真剣に考えるはず。

しかし「また自殺するかも知れない」
と云う危惧は、野崎は未だ拭えない。
デカ部屋でゴリも、そう言った。


✅しかし、やはり
この後に、井村は立ち上がる。
それは第二ステージで。

52歳で係長である井村が、
定年前 (当時は55歳が定年?) に、
家族に残してやりたい事を、

即ち、
たった一度だけの、
一世一代の初めての、会社への盾付きを決行する。
ある種、会社への最後の復讐。
会社への脅迫行為となるも。
これも「面従腹背」。人は誰でも持っている二面性。

このままでは、自分と家族が惨めだと。
その立ち上がりは、子供の将来の為に。

52歳男の気力を奮い立たせたのが、
23歳の若造チンピラ純。

純も母子家庭だが、
マザコンではない。
母を守るために、親父と同じ警官になった。
純は親父が好きだったのだ。

その純は
こっそり手を差し伸べ協力する、
青きジャガーの黒メガネだ。
このシーンは、後半で。


居酒屋のシーンに戻ります。

井村はトイレに行くふりをして
野崎からまた逃亡した。

井村は、やはり大丈夫かなと思いつつ、
時間が掛かっているトイレを覗いてみると、
彼はもう居ない。

野崎は、店を出、走って見つけようとする。

ここで、ラガーマンの野崎の懸命な走りが
画面でまた登場します。

「井村さーん!」
他人だが、自分事のように
真剣に心配する長さん。

長さんも、叩き上げの苦労人。

◆今上天皇と同世代の筆者には
気持ちはよく分かります。
筆者も山口百恵、京本政樹と同じ歳です。
【あの可愛いかった百恵ちゃんも、還暦を過ぎている!】


路地で少し動く人影を捉える。
踏切では電車接近のシグナルが点滅。
その警告音にその人影は近づく。

井村は踏切を潜り、
直後に新宿行き電車も来た。
また反対路線は対向電車も。

野崎は助けようにも踏切に
飛び込めない光景。

「井村さーん!」

だが、結局自殺はしなかった。

井村は、線路脇ガードレール側で
蹲(うずくま)っていた。

そして、また新宿方面の電車が通過。

「良かった。良かったよ!」

「ちっとも、良かない!
 ぼ、ぼかあー、もう死ねないー。
 そうそうあんな恐ろしい目に。
 あんたに止められたからなんだよ!」

※分かって、いるじゃないか!井村さん。

◆自殺するにも、余程勇気が要るのだ。
その勇気さえ持っていれば、
それを「生きる為に何をするか」に
井村さん。あんたは回せないのか?

◆これも、太陽!が描く普遍的番組テーマ。
「生命の尊厳、生命の尊さ」に繋がっている。


翌日の朝、一係で。

「彼がまた自殺を?本当ですか?」と純。

「参ったよー。」
「俺が粘ってなきゃ、今度こそ間違いなく
 死んでた!」

「そーんなあ!」と純の驚き。

「人生って言うのはね、
 お前が考えてる程、
 単純じゃないんだよ!」と野崎は純に。

「しかしねー。長さん?」と純は!
「子供を放ったらかして、
 勝手に死んじまうなんて、酷い親だ!」

この撮影の為だけに、
ジーパン席に座っている山村。
キャメラを動かしたくなかったか?

「若いんだなあ、ジーパン!
 羨ましいぜえーぃ?」と
時代劇べらんめえ口調の山村。

◆ここで、露口さん。
この59話で初台詞。
前回58話では、山さん独壇場だったから
今回は長さんに活躍の場を譲る。


横を歩くクミ。

お盆に載せたお茶を持って
カメラに近づくクミは、
次に、クミの台詞が用意されているその証です。

「自殺を諦めたのはいいとして、
 このままで済むかな?」と鬼。

「確か、彼は会社に迷惑を掛けたから、
 自殺を、、」と山村。

「そこなんだ問題は」
「実は本庁の二課が中光商事を
 内定しているフシがある。」と鬼。

◆ここで、クミが純にお茶を渡す。

ちょっと熱かったか、純はクミを睨む、
僅かなシーン。そして、次の台詞。

聞かれもしないのに、

「二課と云えば、汚職に経済犯(罪)?
 そうですよ、ねボス!」とクミ。

「またかあ?クミちゃん。」

いつもの推理小説では飽き足らず、
現実の捜査にクビを突っ込んでくる。
これで何回めでっか?
53話の初登場から。

野崎とクミは顔を合わし

クミは「また言っちゃった」と
首を引っ込めその場から離れた。

「あの井村も、絡んでいるんでしょうね?」
と野崎。

「あー、まだ解らん。

 二課もひどく慎重でね。
 ところで、井村のポスト何だったかな?」

「第三輸入部係長です。」

「輸入部係長かあ、危ないポストだな?」

ここで22分59秒経過した。
ここまでが、前半部。
第一のコマーシャルへ。


後半は、

中光商事が、上層部の不正を、
ある条件を提示して、
今や、会社内で何一つ評価されない、
この定年間近の52歳に言いくるめる。
お前が、上層部全ての責任を取って死ね!と。

◆この頃(1973)は、54-55歳が
一般の会社の定年だった時代だ。

そんなお前は、会社の為に、
さっさと自殺しろ!と。
最早、居ても居なくても良い社員に
押し付ける裏内情が、少しずつ
一係の捜査の線上に露呈していく。

しかし最後は、
しつこくつけ回した、
長さんの粘り勝ち!だ。

消えかけている男の人生の生命を
どんな事があっても、
放っては置けなかったのだ。

社員とその家族を会社ぐるみで封じ込め、
自殺に追い込む為の裏工作をしていく。
ドス黒い陰謀に気付いた野崎と、また、
長さんを後方支援する、
熱き「情熱魂」の黒メガネ。


長さんを馬鹿にしてきた純だが、
男のひとり息子、中学生みのる、の為に、
立ち上がる男らしさ。

その黒メガネは、
拳銃を持った犯人に、昔親父を殺され、
その親父は殉職扱いにもならなかった。
◆この理由は、第53話で鬼が説明済み。
◆また、第55話で、次期署長西山が明かす。
どちらも蘊蓄話で説明済み。

そして、
ストーリー内では詳細は明かされないが、
父が殉職とは認めてもらえず、
また警察官の職務規定違反と取られた事。
この事で、恐らくは
退職慰労金も無かっただろう?、柴田家。

おふくろと、これから二人して
どう生きていくか?
◆これも、第53話で、純。
彼が自ら皆の前で回想している。
その時には、
純の心情を思い遣るシンコもいた。

そんな昔の自分を、井村の息子に
重ね合わせた柴田純。

純も、苦労しながら、ここまで生きている。


刑事になって、丁度まだ1ヶ月目。
警察官の薄給で
背広も、革靴も買えない柴田家?。
だから、いつも、ジーパンスタイル。
靴下も履かない。いつも裸足で仕事する。
夏場だから、足の裏はかなり臭いだろうに!

第53話「ジーパン刑事登場!」から。

「おい!帰って着替えて来い。
 直ぐ仕事だ!」の鬼への返答は、

「これ(ブルージーンズ)で良いです。
 こんなのしか無いんです。
 警官の時は制服でしたから。」

この台詞の意味は
上記↑の理由か?

◆拳銃を振り回しイキがる奴も許せないが、
こんな家庭の温かみを打ち壊す、
悪徳商社の不正は、それに増して許せない。
真面目に生きて来た男が最後に受けた
会社からの横暴、仕打に対して。

最後の最後に、事件収束の仕上げは
こんな事は絶対に許さない、
同じ気持ちの、鬼藤堂の取った行動で
締めくくりとなる。


このストーリーは、

エコノミックアニマルと当時評された
働き過ぎの日本人と
それを産み出した昭和時代の働き方の現状。

中でも、
戦争からの真の復興のためには必要な、
「所得倍増」を掲げた日本政府方針。
60➡︎70年代の会社組織。
今でもそんな風潮は残っているかも
知れないが。

仕事をし、収入を増やす為には、
組織の中で、我を可能な限り捨て去り、
雑多な苦しみに打ち勝つこと。

それでも、
✅この頃1973年には、
大卒の初任給は62000円ほど。
現在の価値に置き換えて159000円だったのだ。
実は、女性はこれ以下だったかも知れない。
これでは貯蓄さえ覚束ない。
男性と女性の職場での評価位置は
対等では無かったのだ。

そんな会社人間。
仕事が出来る社員だけが、
会社から最大の評価、恩恵を受ける、と云う。

✅当時の会社構造への捻れと欠陥に対する
番組、太陽!からの問題提起作品だ。
そう云う社会体質に対する、
遠回りの批難ではなかったか?

そう云えないですかね。
前回の「蒸発」も
雑多な苦しみに打ち勝つ事が出来なかった
主人公を描いていたのではないか?

🔴平成産まれ以降の若者たちへ。
この↓言葉を知らない若者たちへ。

「エコノミックアニマル」とは、

「経済的利益ばかりを追い求める動物。
 国際社会における日本人の批判的に
 形容した言葉。」

この言葉が最初に使われたのは、
1965年に当時のパキスタンのブット外相が
日本人について述べたことを
日本人記者が紹介したことが
事の発端であったらしい。

以上


これから、最後のひとときは、

太陽!蘊蓄話
台詞で使われた日本語。
「夏の特課講座その2」です。

お付き合い下さいませ。

この物語第一ステージで出てきた台詞。
また表現、演技。
現代の若い人に知っておいて欲しい
◆日本語講座◆

演技と台詞に登場した、
言葉の意味の復習です。
以下の10個の言葉、仕草について。

1.早く仕事を上がって

↑これは台詞にはないが。

◉仕事を上がる➡︎ 「上がる」には
「終わる」「終わらせる」
「終わりを迎える」という意味もあります。

2.ビールにしましょうよ。とりあえず!

◉ とりあえず!

これは、➡︎ さしあたって、まずはじめに、など
の意味の表現。「取り敢えず」と書く。

原意は「取るものも取りあえず」である。

他の事柄は置いておいて、現状を変えるために
行動するときに用いられる表現。
似た言葉として「一旦」や「ひとまず」が挙げられる。

但し。柴田純が使った言い方は
これはどうか?と。
先輩を先輩とは思っていない。
現代の若者にも同じ事が言える。

目上の人間や仕事相手に使う言葉としては
相応しくないため「まず」や「ひとまず」と
置き換えることがある。

✅純は、目上の上司に、この
「とりあえず」を使っており、
話された当の野崎は、
すこし、カチンと来ている。
映像でも、それが良くわかる。

また、タクシーに乗った時も、
「とりあえず、四条河原町まで、、」
これは、!?おかしな表現であることに、
最近の若者は、気づきもしていないのだ。
タクシーの運転手も、
大概、目上の人間だ。

3.ビールも、また活きてるよなあ?

◉活きてる➡︎活きている。

いきいきした。活気があり勢いのいいさま。
みずみずしいさま。
そのものがもっている本来の能力や
機能が発揮されている。
有効に働いている。

だから、長さんはビールもたまに飲むと
美味いなあー、と。
言っているのです。
対して、純は、、、

4.ビール無くても、
僕は生きてますけどねー!

◉生きる➡︎

人間・動物などが、
生命があり活動できる状態にある。
生命を保つ。生存する。
「百歳まで—・きる」「水だけで—・きる」

5.野崎は男に齧り(かぶり)付く。

◉この場合、下の2の意味。

1 口を大きく開けて食いつく。
勢いよくかみつく。「リンゴに―・く」
2 しっかりと取りつく。かじりつく。
「舞台に―・く」

また、近い言い方が、
音は似ていますが、
「かぶり付く」でも、「かぶり寄る」でもなく、
「がぶり寄る」。

これは、
相撲の技の一つで、
相手のふところに入り込み、
相手の体を激しくゆさぶるようにして
寄り進む技。そこからの寄切り、また
土俵際のうっちゃり、投げに繋がる技。

筆者の時代では、その技で有名だった力士。
既に引退した、大相撲の元関脇「荒瀬」の
得意技を思い出します。あらせ、と読む。
これが「ガブリ寄り」。
横綱北の湖に、一度も勝てなかった力士。

※筆者も、東京出張の折、宿泊先ホテルで
エレベーター内で、和田アキ子と荒瀬に
乗り合わせた事があります。二人はこれから
飲みに行くところだったみたいです。

尚、相撲ファンの為に、
筆者が見つけた映像です。

昭和50年3月場所。1975年です。
【#アーカイブ場所 】昭和50年 三月場所 初日

通称は大阪場所。
◆殆どの力士が、立会い時に、手を付いて
立ち上がっていない事にお気付きでしょうか。
現在では、罰せられる筈ですな?

初代貴ノ花(大関)が、初優勝した場所です。
大関になって15場所目であった。
即ち、のちの息子、横綱貴乃花光司の
お父さんです。

有名な横綱若ノ花の兄弟の中でも
一番下の弟が、初優勝したのです。
あの横綱北の湖を破って。
その時の、初日の対戦映像記録です。
初日ですから、貴ノ花が初優勝するなんて
皆、思ってもいなかったのです。

しかも、初日に、輪島と北の湖は敗戦でした。

またその年の秋場所にも、再度優勝するが、
二場所連続優勝が果たせなかった為に
横綱にはなれなかった。

その中に、上記の荒瀬の映像があります。
負けてますが。

6.死なれては元も子もない

◉元も子もない➡︎

本来の意義や当初の目的などが
失われるだけでなく、失う必要のないものまで
予期せず失われること。
この場合の「元」は「元手」となる元金
のことを指し「子」は利子のことを指す。

7.失敬じゃ無いか!

◉失敬➡︎

人に対し礼や敬意を欠くこと。
また、そういうふるまい。
または、軍隊の挙手の礼の俗称。

8.押しが利く

◉押(お)しが利(き)く

※押しが、効くとは、言いませんし、
書きません。

他人を従わせる威力がある。

黒メガネの威圧感で、
こちらの思い通りに、事が運んだ事に
感心の長さん。

9.ふんぞりかえる

※ふんずり返る、ではありません。

ふんぞり返るの「ふん」は、
「ふみ(踏み)」が撥音便化した語で、
「踏ん張る」という意味。

「ぞり」は「そる(反る)」が連濁したもので、
上体を後ろの方へ曲げる意味。

「返る」は、踏ん張り反る動作の
「ふんぞる(踏ん反る)」を強調したものである。

ふんぞり返るは、
上体を後ろへ反らすことをいう語だが、
そのような姿勢は偉そうな態度をとっている
ように見えることから、
威張った態度についても言うようになった。
現代では、その姿勢よりも、
尊大な態度をとる意味で「ふんぞり返る」
を使うことが多い。

✅純は、登場から、一か月を過ぎた。
まだまだ新人なのに。
だが、こんな横柄な態度を、
一係部屋でも、聞き込み訪問先でも取る。

それに対して、ゴリ以下は誰も注意しない。
マカロニよりも、礼儀が悪い新人。
57話では、デスクに寝そべって裸足の脚を
組んで新聞を読んでいる新人は、
未だかつて純のみ。

10.そう云えば、味も素っ気もないねー。

味(あじ)も素(そ)っ気(け)もない

➡︎無味乾燥で趣や潤いに欠けるさま。

以上。
第59話 第二ステージまで、
一旦休憩しましょう。

16060字


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