見出し画像

イリア・コフトゥン(ウクライナ)の平行棒/2021年欧州選手権予選の演技

ウクライナチーム最年少であり、今大会出場選手最年少、17歳のイリア・コフトゥンです。
あん馬、平行棒が得意なオールラウンダーで、各種目で高いDスコアを持つ選手です。シニア1年目とは思えない演技構成を次々繰り出します。
ジュニア世界選手権の個人総合で3位に入ると、シニアに上がったばかりの今年のヨーロッパ選手権でもロシア勢2人に続いて3位に入ります。

コフトゥンは得意の平行棒でDスコア6.7という超人的な演技構成を持ちます。
その演技のうち、今回は平行棒における「単棒倒立」という要素を紹介します。

以前《Dツイスト》という技を紹介した時に「単棒横向き倒立」という要素の話が出てきました。

単棒横向き倒立

これも単棒倒立のうちではありますが、ただ単純に「単棒倒立」と表記された場合は、体の向きが違います。
「単棒倒立」とはこのような倒立のことを言います。

単棒倒立

両棒で倒立する時の向きと同じ向きで単棒倒立をするのが、いわゆる「単棒倒立」というものです。

コフトゥンは、この【棒下宙返り倒立】を「単棒倒立」に収める技をやっています。
棒下宙返りから単棒倒立を1秒以上止めることで【シャルロ】という技になり、D難度の【棒下宙返り倒立】より難度が上がってE難度になります。

シャルロ


さらに、単棒倒立から【ヒーリー】をすると、《単棒ヒーリー》というE難度の技になります。

単棒ヒーリー



コフトゥンは【シャルロ】で単棒倒立を1秒以上止めた後、《単棒ヒーリー》E難度を2つ稼いでいます。

しかし、この2つの技は諸刃の剣で、【シャルロ】は例え単棒倒立で止まったとしても、《単棒ヒーリー》に繋げられなければE難度が得られず、【棒下宙返り倒立】と同じ技という扱いになってしまいます。
さらに、《単棒ヒーリー》は、B難度以上の単棒倒立で終わる技から繋げなければ、技として成立しないのです。

つまり、【シャルロ】は《単棒ヒーリー》に繋げることでE難度を獲得でき、
《単棒ヒーリー》は【シャルロ】から繋げることで技として成立しているのです。

画像3

17歳のコフトゥンは、今年からシニアに上がったばかりの選手で、オリンピックの体操競技の全日程が終了してすぐに18歳の誕生日を迎えます。
東京オリンピックが1年延期になったことで出場が可能になった、史上初の五輪延期の恩恵を受けた選手です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?