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鄒敬園(中国)の平行棒/2019年世界選手権団体総合決勝の演技

平行棒の怪物、中国の鄒敬園です。
2017年、2018年と、世界選手権で圧倒的な強さを見せて優勝しています。
リオ五輪後のルール変更から、16点台を記録しているのは鄒の平行棒のみ。

2019年の世界選手権では、予選でミスが出てしまい、決勝進出を逃してしまいます。
鄒でもミスをすることがあるのかと衝撃が走った展開でした。

高いDスコアと高いEスコアが強み、内村選手が「ロボット」と表現したくらい、いつ見てもまったく崩れない、機械のような動きをする選手です。


鄒がじっしして世界に流行らせた技があります。
それが《爆弾懸垂》というもの、既に紹介しているD難度の《爆弾宙返り》「前方開脚5/4宙返り腕支持受け」の発展技で、「腕支持受け」の部分を「懸垂」にすることでE難度になります。
「前方開脚5/4宙返り懸垂」という技になりますね。

爆弾懸垂

鄒が2017年にこの技を使って優勝してから、日本や中国、世界でも実施する選手が増えました。
日本の北園丈琉選手も使いますね。

この技には【ササキ】の名前がついていますが、この名前は日本選手の名前ではありません。
この技を発表したのはブラジルのセルジオ・ササキという日系の選手。
最近では解説者として表に出ています。

演技を通して当たり前、失敗なんかするわけないと思われていた鄒も、大舞台で失敗してしまいました。
その後行われた団体決勝で、鄒は完璧な演技を通し切ります。
着地を決めた後、渾身のガッツポーズを見せました。
これまで感情を見せてこなかった鄒が初めて感情を露わにした瞬間でした。
鄒が人間であることの証左です。

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オリンピックの舞台では何が起こるかわかりません。

かつてゆかで確実に金メダルを獲得すると謳われていた白井健三選手も、オリンピックの種目別ゆかでメダルを獲得することはできませんでした。
内村選手もオリンピックでは、得意の鉄棒は予選でミスをして決勝に進めていません。
オリンピックには独特の雰囲気があると言います。

それが今回のオリンピックは特にいつもと違う、特別な雰囲気が生まれることでしょう。
そんな中で演技する選手の気持ちを推し量ることはできません。

僕たちはただ応援するだけ、願うだけです。


追記:鄒は団体決勝、そして平行棒の決勝にも残っています。
予選では肩の痛みが残っていたらしく演技しなかったつり輪を、決勝では演技するそうです。
これで予選の得点よりも1点の上乗せが期待できます。
そして最近では難度を落としている平行棒ですが、7.0を持っていた鄒の平行棒は予選では6.8になっています。
決勝ではDスコア6.9で臨むのか。シャルロ~単棒ヒーリーを入れた7.1をやってくるのか。
予選2位のダウサーが15.733を出しています。
予選4位のアリカンは鄒よりも高いDスコアを持っています。
鄒も油断はできません。

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