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⑨左手が使えるようになるまで

リハビリ、と聞くとついつい歩ける様になる事と考えがちだが、麻痺した側の手を動かすのも大変、という事もある。私は幸い左側だったので、そもそも被害が少なかった。右側が麻痺してしまうと、こんなスマホ操作、食事など大変なことがたくさんでてくるだらう。しかも、手は足に比べ複雑に筋肉があり、再活動し難いということもあるそうだ。

私の左もまさに麻痺という言葉がぴったりの状況だった。これも明確な記憶がなのだが、1日に40分毎日訓練を受ける事で、ある日突然、指が一本一本離れて独立して動くようになり、肩にある動作で激しい痛みが走る以外は大方回復してきた。もちろん自分でも、暇な時、左の掌をグー、パー、グー、パー開いたり閉じたりを20回繰り返すことを10回やっていた。これは救急病院時代のアドバイスだった。また、ペットボトルを使った軽い重さの運動を繰り返すインナーマッスルを鍛える運動、廃材をバチがわりに太鼓のように手首を使う運動も毎日行った。あとで書くかも知らないが、この病院では「自主トレ」と呼ばれていた空き時間に一人で習慣として訓練する運動が凄く大切だと思いました。
質とか量とか言う前に、「習慣」としてうごかす、鍛える事って大事なのではないでしょうか?

私が作業療法士さんから言われたアドバイスは、先ずは手を置き去りにするな、ということだ。だらんとなった左手をご飯時膝の上に置き去り、ベットで横になった時、ベット上に終始置き去りなどせずにケアしろ、が一つ目のアドバイス。そしてリハビリ病院の担当者からは、日常で左手を使いまくれ、と言われた。左手を単独で使うことはそもそも非常に少ないので、エレベーターのボタンを押す、食事のパンの包装を開ける、トイレの流すボタンを押す、とにかく左手を使え、ということだった。特に別の先生からはご飯の茶碗の話を聞いた。患者にしてみると、ご飯茶碗を持ち上げることも大変なのだが、ちゃんを持ってご飯を食べられるようになった後、茶碗を持ち上げる以外でも、茶碗の中でごはんのある場所や箸で掴みやすい場所を探すため、手で微妙に動かすなど意識して左手を賢く動かす事が大事と教わりました。。これを意識してみると、たしかに結構微妙に動かしていて、非常にいい訓練になりました。また、ある朝、朝食のタイミングに居合わせた担当者が食後、私に、食事中の動き見ていたが、左手が膝に置きっぱなしで全く活用されていなかった、と感想を述べられたり、他の担当者が落とした積み木を僕が右で拾おうとしたら、右手を厳しく戻されて、左でやれ、と無言の圧力をかけられたりと先生チームが一丸となって、左手に意識を集中させられました。とにかく左を使え!と。それぐらい意識できたおかげか、ある日ペットボトルの蓋が開けられ、またiPhoneの充電もでき、手首や指の動きが出てきて、少しづつ左手の動きが出てきたのでした。

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