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00sガールズアイテムプレイバック #1 デコ電

2008年のiphone登場からスマホ時代に入って、スマホカバーが定番となった現代だと遥か遠くに感じるデコ電文化。

今回の00sガールズアイテムプレイバックでは「デコ電」とともに、00年代初めに流行った「デコ」について紹介したい。

▪そもそもデコる=デコ電というのがはやり出したのはいつ?

そもそもデコ文化やデコ電が登場したのは、一体いつ頃なのであろうか。

「過剰装飾」といったくくりでは80年代のヤンキー文化から存在するが、「デコ電」たるものが登場したのは今からさかのぼること20年超、1997年のPHSの時代になる。

しかし、近年のシールやラインストーンを使用した「デコ」という雰囲気ではなく、この頃はどちらかというとネイルアートのようなペイントが中心だった。

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※写真・1997年Popteen6月号 / 角川春樹事務所

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※写真・私物のコレクション。PHS自体のカスタムよりも光るアンテナやキティちゃんのPHSケースが人気だった。

当時はデコって盛るというよりもペイントの器用さを競うようなそんな雰囲気があり、「デコる」というよりも「アート」や「カスタム」という言葉を使用している。

まだPHSが主流の時は「デコ」ってオリジナリティーを出すというよりはアンテナを光らせたり伸ばしたり、電波状況を良くしたり着メロを作ることに夢中だった。

携帯電話が「デコる」対象となったのは、1999年のiモード、EZweb、J-skyが登場したころからである。

パソコン間でのやり取りが当たり前だったeメールの送受信が可能になった携帯電話が登場したことにより、携帯の人気と普及は一気に加速していった。

下記の1999年の携帯に施されたデコは私と同世代なら記憶にある方もいるのではないだろうか。この辺りから00年代に繋がる「デコ電」に徐々に近づいていると思う。

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※写真・1999年Popteen8月号 / 角川春樹事務所

私と同世代ならこの時のプリクラを貼ったり、ストラップをジャラジャラつけるカスタムをやっていた方もいると思う。この頃は光るアンテナに代わってストラップがマストアイテムだった。

「携帯」そのものに若い女性たちが興味を持ったのはもちろんだが、「デコ文化」をより加速させる流行が起きたのもこの頃からだ。

1999年辺りからマニキュアやシールに「ラメ」ものが一気に増え、また「レイ」などのハイビスカスが流行するなど「カスタム」するのに適したアイテムが一気に増えた。

パカパカな二つ折り仕様の携帯など、PHSに比べてカスタムしやすいデザインが増えたというのも一因にあると思う。

またネックピースなどの登場や、ストラップの種類が豊富になったことにより携帯のアクセサリー感覚が強まったのかもしれない。

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※写真・1999年Popteen10月号 / 角川春樹事務所 / ガラケーだからこそ出来るネックピース。

ひとり1台の携帯が当たり前になり、より身近な存在になったことで、ストラップを大量につけたり、シールを貼ったりとデコったりすることにより、携帯に対するさらなる愛着が増した時代だった。

この時期の、身近なものからアイデアを生み出し創造する、というスタンスは現代のデコ文化に続いているのではないでだろうか。

▪00年~10年代までは様々なものに派生

さらに00年以降の「デコ電」の文化を追ってみよう。

2000年代以降の「デコ電」を見ると、私と同世代、もしくは少し年下の世代にとっては、この頃のカスタムが、現代のイメージする「デコ電」「デコる」という認識に近いかと思う。

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※写真・2008年seventeen4月15日号 / 集英社 / 手先の器用さが問われるかもしれないが、仕上がった時の達成感と自己満足度が最高潮に達するデコアイテム達。この時が一番「デコ」のピークだったと思う。

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※私物のデコ電。ガラケーの色もピンクなどかわいい色が一気に増えてガラケーの色に合わせて色々デコるのが楽しかった。

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※写真・2005年デコデン / ブティック社 /2289号/ もともとラインストーンがついているシールも手軽にデコ電が出来て人気だった。

2000年に突入してからは、以前は高値で手に入りにくかった「ラインストーン」が手芸店などでより身近に購入できるようになり、瞬く間に携帯にも使用されるようになった。

この辺りからただシールを貼ったり、ラメマニキュアを塗ったりするという行為から、ラインストーンを駆使した「デコり方」が流行した。それに合わせて当時は「デコり方」のマニュアル本もたくさん出版されたのだ。

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写真・2005年デコデン / ブティック社 / 2289号/
2007年デコデン&デコグッズ / ブティック社 / 2639号 /
2005年デコ電マジック KOBE  STYLE / 平岡さつき / 青心社

またこの「デコる」ということ自体そのものが、きちんとひとつの「スキル」として認められ、当時はスクールなどもたくさん増えたのも記憶に新しい。

最初は女子高生のちょっとしたカルチャーだったものが、職業にまで認知されるようになったことは、あらためて考えるとすごいことだと思う。

ここから2010年あたりまで「デコ文化」が最も熱い全盛期を迎え、さまざまなものをデコるトレンドが定着していった。

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※写真・2005年デコデン / ブティック社 / 2289号 / ネイルサロンでも当時デコ電をしてくれるところが多かった。

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※写真・2005年デコデン / ブティック社 / 2289号 / 自分より一回り年下のネイリストさんに当時のデコ電サービスのことを話すと「お客様の携帯をお預かりするなんて…!そんな恐ろしいこと出来ませんっ!!」との事。改めて当時の自由さを感じる発言だ。

・なぜデコるのか?現代の感覚

ここ最近だと「#アベノマスク」等のデコが話題となったが、近年は以前のような過剰装飾なデコはやや下火の印象があるものの、「デコる」という行為自体は現代では「DIY」という形に広がり、まだまだ健在しているなと私は思う。

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※私が女子高生を真似て作った趣味全開の#アベノマスク。去年は様々なかわいいデコマスクが流行った。

以前のような加熱した過剰装飾ではなくても、もともとあったシンプルなアイテムをオリジナリティーあふれるモノへと昇華させることで、モノへの愛情もより深まる。YouTubeなどで100均のアイテムをデコったり、また身近なアイテムのDIY動画をみると「カスタム」や「デコる」という行為は今もなお、私達を魅了し続けているのだ。

・画像写真

2005年デコデン / ブティック社 / 2289号

2007年デコデン&デコグッズ / ブティック社 / 2639号 /





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