現実と、甘辛ラーメン


現実を見るその目


わかっている、わかっているのだ。現実を見る力がないことくらいは。現実を見ることを避けて生きてきたから、こうして闇雲にnoteを書いている。いつまでもどこまでも自分の理想を浮かべては消えていく、その蜃気楼に手を伸ばし続けている。周りに気を配ることもできなくて、それなのに気を使い過ぎて頭の中は全く冷静じゃない。愚か者だ。そう呼んでくれ。




ラーメンのようなものを作る。


冷蔵庫を開けるとすっからかんなのは、冷蔵庫を開けるまでもなく予想がついた。このままでは今日の晩飯も明日の朝飯も、昼の弁当も作られないままである。仕方なく仕事終わりにまいばすけっとに寄る。必要なものはなんだろうかと考えて、そういや冷蔵庫に余り物の肉と中華麺があったはずだと思い出す。では今日の晩御飯に使うメインの食材はそろっているので、納豆とか、豆腐とか、青梗菜とか、色々買い足していく。あと気まぐれなのか知らないが、パックに包装された黒豆の煮物も買う。そして家に帰る。

帰宅して早々冷蔵庫を開ける。パッと目についたのはやはり肉と麺だ。肉はメキシコ産の豚バラスライス肉、麺は一人前ほどの中華麺だった。

これらを使って自家製適当ラーメンでも作ることにする。フライパンで水を沸騰させて麺を放り込み、少し芯が残る程度に茹でてザルに上げる。

そして麺をゆでたフライパンにそのまま豚バラ肉を炒める。肉の油のおかげで油を引くことなく炒めることができる。時折キッチンペーパーで油を拭き取りながら、なるべくカリカリになるように執拗に火を通す。

こんがりと焼けた豚肉をザルに上がった中華麺の上に乗せて、今度は野菜を炒める。最初に刻んだニンニクを一欠片炒める。次に棚に置いてあった玉ねぎを半個、そして冷蔵庫の端っこに取り残されていたエノキを炒めていく。野菜を炒める時もサラダ油ではなく、豚肉を炒めた際に抽出された油を使っているので、肉の香ばしい香りが漂う。

玉ねぎが透明になったらそこに水を加える。水の量は適当だ。さっきから懇切丁寧に調理の過程を説明をしているが、ここまでの分量はぜんぶその場の直感でしかない。なので今回作った料理はほぼ再現不可能に近い。

水を加えて、そこに味付けをしていく。塩、醤油、みりん、中華だし、オイスターソース。とりあえず中華っぽいものを入れる。ここで甘味を入れ過ぎたのに気づくが、もう遅い。煮詰めたそれに麺と肉を加えて、最後に青梗菜を入れる。おまけに水溶き片栗粉を溶き入れてとろみをつければ、完成。

甘辛いラーメンだった。神戸中華街にある本格的なラーメンだと言われたら信じてしまいそうだ。しかしこの甘味は蛇足気味で、しかもスープが余ってしまった。これだけ食べるのも気がひけるので、カレー粉を入れて飯と一緒に食ってやろうかと考えている。


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