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【旅するように生きる】米国の学校:デザイン思考な面白アクティビティ!

カリフォルニアでも学校の対面授業再開から半年が経ち、今週からクラスでのマスク着用も解除!この2年間余り子供たちに強要されてきた制約やルールの数々が漸くここへ来て段階的に緩和されてきた。辛く苦しい時間を余儀なくされてきた子供たちのためにも、規制の緩和や解除にただ安堵するのでは無く、この2年間の総括(各種対応の科学的妥当性の検証や場合によっては責任の追及など)は大人の義務だと思いますからしっかり取り組んでいきたいと思います。ともあれ子供たちの笑顔は嬉しい。通学の煩わしさが無いオンライン授業はある意味楽ですから子供たちが怠惰にならないか心配していましたが、そんな杞憂が無意味と思えるほど、毎日朝早くから嬉しそうに学校へ出掛けて行く子供たちの姿に人間の強さや気高さを感じます。今日はそんな最近の米国の学校での面白い取り組みなどを紹介していきます。

人生の舵取りを学ぶためのツール(Power School)

長男は14歳。ミドルスクールの8年生(中学2年に相当)。彼が通う学校にはPower Schoolという学校活動シェアサービスが導入されており、授業の出席(或いは遅刻などの詳細)状況や各教科の学習進捗など全てがビジュアライズされ、スマートデバイスを介して保護者にリアルタイムにシェアされる仕組み。我が家では夕食時にこのPower Schoolの画面を見ながらターゲットのGPAスコア、それに向けてどの教科でどんな活動をしていくかなど、ちょっとした戦略会議をやっています。親も常にInvolveされるので四半期ごとの通知表で一喜一憂するよりもアドバイスし易い。

たまにテストが上手く行かなかったら翌週にリテイクする。或いはリテイクが出来ない場合には他のアクティビティでExtra Creditを獲りに行くなどの作戦を立てていく。自分の主体性で行動し、その結果に対しても次のアクションをどう執っていくべきか自ら思考していくクセを身に付けていく。ただこのPower Schoolも完璧ではなく担当教師が更新を怠ったりする場合も多々あり…w。でもガチガチの管理システムで無い、そんな人間的な冗長性を残している点も嫌いじゃない。いずれにしても学校が単に勉学に勤しむ場所だったら悲しい。少なくとも私は学校とは、子供たちの自主性が尊重され、人生の(できればグローバルで!)舵取りが学べる場所であって欲しいと思います。

法律や陪審についてゲームで学ぶ(Jury Duty)

またこのミドルスクールで最近面白いと思ったのがJury Duty(陪審義務)。英語(正確には「Public Speaking」)の授業で裁判のシミュレーションをゲームで学びます。2つのチームを作り、訴状に対するProとConに分かれて裁判をシミュレーションしていきます。例えば近所の池に入り込んでダイブして遊んでいた子供がケガをしてその池のオーナーを訴えるという設定など。2つに分かれたチームは状況設定や条件を検証しながら、訴えを起こす側、訴えられた側に分かれて相互に言い分を訴え、それ以外のクラスメートたちは陪審員としてジャッジし票を投じていきます。

我が長男はケガをした子供側でこの係争を争いましたが、このケースの場合は子供側がかなり不利な条件(他人の池に無断で立ち入ってケガしたんじゃさーすがに…w)だったようで負けてしまったようです。まぁそんな勝ち負けも含めソーシャルゲーミフィケーションとでも言いますか、流石は訴訟大国の米国。小さい頃から法律や陪審に関する知識をこんなゲームで楽しみながら育む工夫も悪くないだろうと思います。

日常にテーマを見つける工夫(Spirit Week)

他にも日本とは異なる面白い取り組みがたくさんあります。そんな一つがSpirit Week。クラブ活動の一つでLeadership Teamというクラブのメンバーが一定の週ごとに特別な日替わりテーマを設定します。例えばガンへの理解を深めるCancer Awarenessの日はピンクデーとして皆でピンク色の服を着て登校する。これまでにもパジャマデー(パジャマで登校)やビーチデー(水着で登校!)など、日本だったら学校が許可しないのでは?と思えるほどの広範なアイデアが採用されてきました。

テーマは公募制にもなっていて誰でもオリジナルのアイデアをLeadershipクラブのメンバーに提案できます。我が長男は最近「バックパック以外で登校する日」を提案し採用され、その日は皆、トートバッグから荷物がはみ出てたり、旅行用のキャリーバッグ転がしたり、個性豊かな登校風景が見られました。こうした活動は単なる部活とは異なり、積極的に参画すれば評価されExtra Creditとして学業成績に反映されます。皆がエンターテインメントとして楽しみながら互いに個性を発揮、尊重し合いながらリーダーシップや協調性を学んでいく。これもなかなか良い仕掛けなのではないかと思います。

卒業前に爆発させる遊び心(Senior Assassin)

さて長女はというと、彼女は今ハイスクールのジュニアイヤー(2年生)。来年はシニアですが、シニアイヤーには彼女がずっと楽しみにしていた恒例イベント「Senior Assassin(“シニアの暗殺”という。なんと物騒な名称!)」があります。これはアサインされた学生同士が毎日24時間お互いの隙を狙いながら水鉄砲で襲撃し、最後まで生き残った学生にはなんと賞金2000ドル(!)が授与されるというサバイバルゲーム。襲撃成功、または失敗はスマートフォンで撮影した証拠動画で判定されるルール。

シニアの学生は賞金と名誉のために学業やスポーツの傍ら、隙を見せないように24時間気の休まる暇がない。とはいえゲームですから皆、お互いが狙い、狙われるスリルを楽しみつつも、咄嗟を突かれたり、窮地に追い込まれれば潔く降参しながら「OMG!や~られ~た~~」とか言いながら撃たれた瞬間を役者になってここぞとばかりに名演技を披露します。こんなバカげたゲームを高校3年生が楽しそうにやっているのだから微笑ましい。早くからディベートやら金融シミュレーションやらコーディングやらと社会人へのルートを足早に進む米国の子供達ですが、こんな遊び心を忘れない一面もあります。

とまぁ全般にゲーム性、イベント性、エンターテインメント性を巧く取り入れたこうした活動を通じ、友人たちと一緒に情緒豊かで掛け替えのない時間を過ごしながら人生を生きる意義や価値について体験的(Experientially)に学んでいく。まさしくデザイン思考を地で行くのが今の米国、シリコンバレーの学校の特長であると感じます。我が娘や息子たちも心から楽しんでいる様子で、そんな彼らの将来が楽しみです!

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