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焼きおにぎり

だし汁をとっては注ぎ、
だし汁をとっては注いで
140年あまり

京都でいちばん古い、明治の初年創業の
おでん屋「蛸長」
四条・南座の裏手から近い。

「蛸長」と染め抜かれたのれんをくぐり、
10席ほどのカウンターに落ちつけば、
銅鍋からだし汁の湯気が
立ちあがっている。
 
九条ねぎの刻みをたっぷり添えた
だし汁にひたし、うすく重ねた生湯葉
とろりと柔らかい。

京にいる幸せを思う。

京都  蛸長                                  2014

旬の種もわくわくする。

春は、朝堀りの筍。夏、加茂茄子。
秋から冬、聖護院大根、海老いも、越前蟹。

残念ながら松茸と一度も
ご対面したことがない。
だが、店の名にあるとおり、
明石の蛸を頼まぬならば、
店の敷居をまたぐべからず。
絶品。

わが輩の固くなった頭も
名物の蛸を食すれば
柔らかくなる。 
 
お品書きに裏種とある。
裏街道の種!? 

その日の裏街道の正体は、
阿蘇赤牛のローストビーフ。

お彼岸のころは、
あんころ餅も登場とか。
おでん屋のデザート。

四代目 河合達也さん                                               2014

旧と新が混じりあい、ウイットに富んだ
主の心意気が伝わってくる。

四代目の河合達也さん語るに、
初代からおでん一筋で、
家訓は、おでん以外のものに
手を出すな、と。
 
蛸長の〆には、

いつも蛸飯の焼きおにぎり
おにぎりにだし汁をたっぷりかけ、
崩しながらお茶漬けをあじわう。

京都 街なか                                          2014

京の旅は
蛸長からはじまる

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