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BCGが読む経営の論点2023③:物流危機にデジタルサプライチェーンで対応、2023年にとるべきアクションとは?

読書ノート(73日目)
さて、本日もこちらの本からです。

本書は、経営コンサルティング会社の
BCGが重要と考える10のトレンドを紹介。
また、未来を予測できない不確実な中でも
シナリオプランニングの手法で対応できる。
という内容です。

・BCGが重要と考える10の変化トレンド
 ①陸の移動の変化:EV普及による自動車産業の構造変化
 ②物流の変化:物流危機とデジタルサプライチェーン
 ③食の変化:食品・小売企業が主導する食糧システム変革
 ④医療の変化:ヘルスデータと医療システムの進化
 ⑤エネルギーサービスの変化
  カーボンニュートラルとエネルギー安全保障
 ⑥学びの在り方の変化:デジタル時代における企業/個人の学び
 ⑦通信と放送の変化:メディアの融合と分離
 ⑧決済の変化:ブロックチェーン、組み込み型金融、BaaSの進化
 ⑨都市空間の変化
  スマートシティをめぐる新たなプラットフォームエコシステム
 ⑩仮想空間の変化:メタバースを通じた新しい経済圏の台頭

今日はその2つ目である
②物流の変化:
 物流危機とデジタルサプライチェーン
についてです。

■物流における変化の背景
 ①安定的な物流を阻害するリスク要因の拡大
  天災・疾病・地政学リスクの拡大
 ②物流に対する要求の高度化
  製造業での多品種少量生産の動きに対応し
  物流も小口化・高頻度化。それによる積載率低下に対し
  効率性のバランスもとる高度なオペレーションが必要
  また、EC拡大に伴い顧客体験向上のため即日配送や
  返品サービスなど物流まで含めたサービスの高度化
 ③物流を取り巻く社会環境の変化
  人手不足、政府による”2024問題”、脱炭素の取組でのコスト増

日本で変革が遅れる理由
 ①物流に対する危機意識の不足
  日本では現場能力の高さで高い定時性・作業品質を
  実現してしまっている。
  海外では遅延・破損・作業ミス・盗難防止のため
  業務の標準化とデジタル技術の活用が志向された
 ②全体的視点に立った戦略的マネジメントの不足
  日本の多くの企業で物流をコストと捉え
  他機能と切り離し物流単体として最適化されてきた。
  海外では物流を重要な戦略的機能の一つと捉え
  バリューチェーン横断的に全体最適化が目標

デジタルサプライチェーンの実現に向けて
 ①物流単体ではなく、
  サプライチェーン全体として捉えること
  物流は競争優位を実現する新たな生産モデルや
  在庫・販売モデルの重要パートになりえる(例:盒馬鮮生)
 ②デジタルを活用したマネジメントと
  オペレーションの高度化

  生産・調達・販売・物流の水平方向の連携と
  各機能での計画→実行管理→実行までの垂直方向の連携

デジタルサプライチェーンを支える3要素
 ①エンド・トゥ・エンドでのサプライチェーン可視化
  社内だけでなく社外の取引先・市場に関するデータを
  統合的に可視化した「コントロールタワー」の活用
 ②データドリブンで高度化された意思決定
  経験・勘の属人的から判断からデータドリブンで
  需要予測や計画の精度向上、デジタルツイン活用での
  実際の拠点ごとの生産・在庫キャパシティや物流ルートの
  シミュレーションでの最適化やリスク回避
 ③デジタルを活用したオペレーション強化
  ①で可視化し、②で意思決定されたものを現場で実践する。
  業務の自動化とサプライチェーンの柔軟性を引き上げるため
  「デザイン・フォー・サプライチェーン」の考え方で
  現場で発展した個別に最適化されたオペレーションから
  全体最適化の観点に立ち標準化したオペレーションを検討。
  
2023年にとるべきアクション
 ①CEOリーダーシップに基づく変革の推進
  デジタルサプライチェーンの実現には部門・機能間での
  トレードオフ調整や大規模な投資判断が必要
 ②アジャイルに成長するサイクルをつくる
  取組の中には有効性や成果が十分に見通せない場合もある。
  小規模に実施・検証・改善する体制が必要
 ③サプライチェーン上流・下流との連携
  デジタルサプライチェーンは企業単独ではなく取引先や
  パートナーと連携しつつ取組みを進める事が重要

今回は物流危機とその対応法となる
デジタルサプライチェーンについて
紹介させて頂きました。

本書の中での大きなメッセージは
要約するとこんな感じでしょうか。

■メインメッセージ---------------------------
物流をコストと考えて効率化するだけでなく
自社の競争優位性を生み出す投資対象と考え
物流視点で顧客価値向上に繋げるべし。
--------------------------------------------------

そのためには…
サプライチェーンのデジタル化
他部署・パートナー企業と連携して進める。

具体的には…
コントロールタワーを作りデータを可視化
データに基づいて意思決定できる体制を作る

本書では、中国の生鮮スーパー
「盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)」
が紹介されていました。

既にご存知の方々もいらっしゃるかも
しれませんが、こちらのサイトが
分かりやすく紹介されていました。

・アリババのIT技術を投入した
 デジタル化された未来型スーパー
・テクノロジーとデータを駆使し、
 オフラインとオンラインを融合することで
 優れた顧客価値を提供している

例えば…
個人別にAIが商品をレコメンドしてくれる
デジタルタグで店側の管理が効率化され、
 時価で値段が変わる生鮮品や海鮮品を
 お客様自身でアプリ経由で調べられる
・配送場所まで3キロ以内なら
 無料で最速30分以内に届けてくれる
 (Amazonの場合は最速2時間以内)

ということで、もしご興味ありましたら
ぜひご覧ください。

僕自身としては、
「盒馬鮮生」の店舗で買い物するには
会員になる為にアプリをダウンロード
しないといけない。
という会社の判断が凄いと思いました。

スマホをお持ちでないお客様が少数でも
いるだろうと考えてしまうと
この決断はできなかったのではないかなと。

「盒馬鮮生」は結果として
他社とは違うユニークなスーパーとして
差別化に成功しています。

日本でデジタル化が進んでいるスーパーだと
「トライアル」の事例が有名でしょうか。

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/distribution_industry/pdf/003_06_00.pdf

後半はすっかり物流から
話が逸れてしまいましたが…
デジタル化を進めるためには、まずは
データを集められるように設計する事
は物流に限らずどの分野でも共通課題
なのだと感じました。

また、私は普段は人事領域の仕事に
携わることが多く、最近の話題は
「人的資本経営の推進」が多くなっています。

会社の人材を人的資源のコストではなく
価値創出をする資本として投資対象と考える
という視点は、今回の物流の話ともリンク
している気がしました。
物流や人事に限らず、
他の部署でも同じようにコスト→投資対象
という考え方の変化が起きそうな予感もします。

ということで、今日はこの辺で。
それではまた明日ー!😉

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