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旗竿地の戦略 23区バージョン(土地から新築)

旗竿地(路地状敷地)は、法的な規制が厳しく建築的な計画が難しくなっています。長屋の計画が多いと思いますが、実はそれだけではないです!このあたりを今回は解説していきます。

まずは、規制の元となる「東京都建築安全条例」について根拠となる条文を長屋共同住宅について示します。

・長屋

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路地状敷地の規定

「その出入口の前面に、幅員三メートル(出入口が道路に面しない住戸の床面積の合計が三百平方メートル以下(当該住戸がいずれも床面積四十平方メートルを超える場合は、四百平方メートル以下)で、かつ、当該住戸の数が十以下の場合は、二メートル)以上の通路で、道路に三十五メートル以内で避難上有効に通ずるものを設けた場合」

・共同住宅

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路地状敷地の規定

「階数が三以下であつて、延べ面積が二百平方メートル以下で、かつ、住戸又は住室の数が十二を超えない共同住宅で、路地状部分の長さが二十メートル以下であるもの」


この2つが理解しないといけない根拠条文になります。


「全然わかんない!」

そうなんです・・・。特に長屋は読みにくく、一体どういうことを言っているのか分からない。そこで図解をしてみました!「長屋」「共同住宅」で戸数や面積によってどのような違いがあるのか図示しています。

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こんな感じになります。長屋については戸数と床面積の合計によって敷地内通路の幅が変わってきます。ある程度大きな長屋を計画する場合は、敷地内通路が3m必要になってきます。つまり旗竿の竿部分も3m幅が必要になるため土地探しの際には注意が必要です。また共同住宅については200㎡・3階・12戸まではOKなんですが・・・・・ここでさらに別の避難規定があり、3階がOKの区は非常に少なくなってきます。このように旗竿を見たら長屋共同住宅のどちらが最適か比較検討しながら計画するのが重要です。



旗竿+共同住宅+3階について

共同住宅3階がNGな区が多い理由は、下記の規定があるためです。(防火避難規定)

ここに路地状敷地では、3階建の特殊建築物はNGとされています。(2階まではOK)

※共同住宅は建築基準法の中で特殊建築物に該当します。長屋は該当しません。

よって旗竿地の共同住宅3階はNGとなるのですが、それを守るかどうかは各自治体の判断に任されています。東京都建築安全条例では3階はOKなので矛盾してますよね。建築の法規制にはこういうことがよくあります。

このように23区でも扱いが異なり、3階が計画できる区も存在します。(23区にヒアリングを行ないましたが東京都建築安全条例を優先するという区があります。2階であれば23区どこでもOK!)

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まとめ

旗竿をみたら「長屋」と「共同住宅」を比較しながらどちらが最適か見極める必要があります。長屋ありきの設計者にも共同住宅の可能性を一度検討依頼するのがよいと思いますよ!

👇最後に下記のツイートは旗竿・長屋の場合の好事例です。どうしても閉鎖的な空間になりがちな通路を閉じるのではなく2階・3階へのアプローチを兼用することで「抜け感」をつくり出していました。計画次第で旗竿も魅力的な場所になる可能性もあります!


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