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40代妻子持ちの転職活動振り返り②(引き継ぎ編その1)

氷河期世代の中年サラリーマン、takaです。

15年以上勤めた中小企業から、プライム上場の中堅メーカーへの転職が決まりました。転職活動の経緯や背景、感じたことなどを連載します。


転職先を見つけるまで

転職活動開始から内定受諾までの経緯は別の記事にまとめましたので、こちらをご参照ください。

引き継ぎのフロー

以下の流れで引き継ぎを実施しました。初回となる今回は以下の太字項目についての手記となります。

  • 引き継ぎのスケジュールを検討する

  • 退職の意思を伝える

  • 引き継ぎ先を決める

  • 関係者と調整する

  • 業務を洗い出して文書化する

  • 引き継ぎ先へ説明する

  • クライアント(顧客)に挨拶する

  • ベンダー(外部スタッフ)に挨拶する

  • 書類関係の手続きを確認する

  • 菓子折りを選定する

  • 私物を少しずつ持ち帰る

  • 最終出社日

引き継ぎのスケジュールを検討する

労働基準法では退職を申し出てから2週間で辞められることになっていますが、もちろん、長年お世話になった会社にそんな後味の悪いことはできればしたくありません。円満退職を目指します。

ターゲットは最初から2ヶ月後と決めていました。

というのも、面接のときに「いつから来られるか?」を聞かれ、概ね2ヶ月程度と伝えていたのです。1ヶ月では引き継ぎはできないし、3ヶ月は待たせすぎだと思いました。なので、2ヶ月。

念のため現職の就業規則を確認したところ、「退職の際は、1ヶ月前までに退職願を提出するように」と記載されていました。

毎年ほとんど使えなかった有給休暇をできる限り消化して辞めたかったので、最後に2週間のバケーションを取ることを前提としました。

その場合、すぐ明日からでも引き継ぎを始められるのであれば、残された時間は1.5ヶ月。ゆっくりはしていられませんが、不可能ではない日程感だと思いました。

退職の意思を上司に伝える

「今日言おうか」「明日言おうか」「金曜日にしようか」などと、いつまでもソワソワし続けるのは精神衛生上よろしくありません。

私は転職先の内定を受諾した翌日、出社直後に直属の上司に会議の打診をしました。結果、翌日に時間をもらうことになりました。

用件は「今後の体制のことで」とだけ伝えました。

チーム間の人員調整は頻繁に行っていたものの、後日聞いた話では、チームの誰かが辞めるのではないかと薄々感じたらしいです。空気は隠せないものですね。

とはいえ、さすがに私自身の進退のことだとは夢にも思わなかったとのことです。

直属の上司

個別に会議室へ呼び出し、口頭で退職の意思を伝えました。

「X月で退職させていただきます」

喉が詰まって語尾は掠れた声になりました。
上司が目を息を呑んで見開きました。
明らかに動揺して「ちょっと待ってよ」と言われました。
待っても二の句が出てこなかったので、私は説明を続けました。

現在の待遇や人間関係に不満はないこと。
他にやりたいことがあること。
そしてそれは今の会社では実現できないこと。

退職理由は当たり障りのないように伝えました。嘘ではありませんが正直でもないといったところです。
腹を割って本当のことを明かしたら、もっと色々出てきます。山のように。

でも、それをしたところで、自分の気が晴れるにすぎません。むしろ、相手に引き留めのチャンスを与え、退職交渉が長引き、引き継ぎが遅れることにもなりかねないと思いました。私はもう、今の会社を見限っているのです。

心に蓋をして意思が固い旨を通しました。

さらに上の上司

直属の上司への話が終わると、私は退室を促され、そのあとすぐにもう一階層上の上司(部長)が会議室に呼ばれました。

10分後くらいでしょうか。私は会議室に呼ばれ、部長も含めた2対1で話をすることになりました。

部長は、良い意味でも悪い意味でも口が達者でした。フレンドリーな口調で物腰柔らかく、私から本音を引き出そうとする。「君の能力なら、待遇はこの先もっと良くなる」と引き留めようとしてきました。

私はそれを醒めた気持ちで聞いていました。
売上が右肩下がりの中で、賞与や昇給が見込めないことはわかっていました。もし仮に本当に給与が少し上がったところで、転職先から提示された水準には遠く及ぶはずがないこともわかっていました。もしかしたら、この部長ですら、その水準に届いていないかもしれないと。
甘い言葉は、私の中に染み渡ることなく、右から左に通過しました。

私は、直属の上司への説明との矛盾がないように繰り返しました。

引き留めの言葉が尽きると、次は退職日を引き伸ばそうとする話に移りました。

「あまりにも急すぎる」

相手の口調がときどき感情的になりました。もっと早く相談してほしかった。

申し訳ありません、と私は言いましたが、まったく悪いとは思っていません。

せめてもう1ヶ月は延ばして欲しい。本当に君のことを考えている企業なら入社日の調整にも応じてくれるはずだ。それを拒否するような企業なら行かないほうが良い。君のためにならない。

この人たちは何を言っているのでしょうか。あまりにも身勝手。私は心を押さえつけました。高鳴る心臓の鼓動がドクドクと耳を打ちました。

2ヶ月も前から準備して終わらない引き継ぎなど、もはや引き継ぎの域を超えていると思いました。後任を手取り足取り教育してその効果を見届けていたら、辞めるまでに1年かかるのではないでしょうか。言いませんでした。

私は頑なに当初の希望日を繰り返しました。カレンダーを指しながら、引き継ぎまでの段取りの概要を説明しました。

「このようにすれば1ヶ月半で終わります」

二人ともそれには明確な回答をしませんでしたが、退職の意思だけは受理され、その場は終わりました。

「気が変わったらいつでもいいから言って」

はい、とだけ小さく返して退室しました。

以下の記事に続きます。

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