金村リリーフ転向の問題点について

3月9日。静岡で行われた楽天戦の試合後にショッキングなニュースが流れてきました。新庄政権の3年間でも屈指の悲報。決して怪我人が出たわけではありません。何かと言うと金村尚真、リリーフ転向です。

これを受けてTwitterは阿鼻叫喚、新庄政権以降でも稀に見る荒れっぷりでしたが、何が問題なのか、できるだけ野球観戦初心者にもわかりやすいようにまとめていきます。


問題点①勤続疲労

リリーフは過酷なポジション。近年では3連投は避ける、年50登板程度に抑えるなど様々な運用がされているものの、おそらくプロ野球の中でも最も勤続疲労が溜まり、「リリーフは消耗品」とまで言われます。
ファイターズファンの方は宮西や玉井や増井といった、酷使に耐えてきた一部の変人(褒めてます)を見て感覚が狂っているかもしれません。ここで具体例として出したいのは若い頃から登板を積み重ねた石川直也
堀は高卒3年目に53登板。その後も45、60、41と登板を積み重ね、2021年には最優秀中継ぎに輝きました。しかし昨季は左肩痛に悩まされ、5登板に終わりました。石川直也は高卒4年目に52登板、翌年も60登板したものの、2020年にトミージョン手術を受けて2年間一軍登板はなし、復帰後も球速が戻らず…といった現状です。他にはトレードで加入した黒木も石川直也と似た状況となっています。
これらの選手を終わった選手と言うつもりはありません。ここから挽回してもらわないと困ります。しかし、若手の頃からフル稼働し、結果的に怪我に泣かされ続けている現状から目を逸らすことはできません。2人とも若い頃は先発しておけば、、とも考えてしまいます。それほどリリーフは過酷なポジションです。

勘の良いガキの皆さんはここまで書けばわかるでしょう。プロ2年目、ドラフト2位の即戦力プロスペクト(チーム内でも屈指の期待の若手)をここで消耗させる愚かさが。金村は去年の春先に肩を痛めて約半年リハビリで休んでいます。本来は将来を見据えて過保護な運用をすべき投手を、目先の勝利だけ考えて過酷なリリーフに置くのは損失でしかない。ここで消耗して肩肘を痛めたら彼のキャリアや収入にまで影響を及ぼしかねない(これは金村に限らず全プロスペクトに言える話です)。
今季からは全権監督となったことが明言された新庄監督。本当に中・長期的な視点を持って考えた策なのか、思いつきで金村を振り回していないか。ここ2年の采配っぷりを見ると疑念を抱かずにはいられません。
4月は日程的に5人でローテを回せるから仕方ないという声もありますが、それなら二軍で先発調整させたらいい話です。達や福島など二軍で修行中のプロスペクトのフル稼働を避けられるというメリットも一応あります。パワプロのペナントのように簡単に起用を行ったり来たりできるわけではありません。特にリリーフから先発に戻すのは球数を徐々に増やしていく必要があるため時間がかかります。選手は監督のおもちゃじゃない。
それに必ずしも中6日でローテを回す必要なんてありません。伊藤、加藤、山﨑福也、バーヘイゲン、上原をローテで回しつつ、昨季のオリックスの山下舜平大の起用のように若手の北山、根本、金村の中で競争に勝った投手は中10日で合間に投げさせる。このような余裕のあるホワイト運用でもすればいい。誰か調子を落としたらマーフィーや鈴木健矢を上げる、プロスペクトがダメなら6人での中6日ローテに戻すなど、柔軟な起用で酷使は避けられるはずです。

問題点②WARの観点から

WARという指標をご存知でしょうか。知らない方のために概要を引用しておきます。

WAR(Wins Above Replacement)とは、打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標である。同じ出場機会分を最小のコストで代替可能な控え選手(リプレイスメント・レベルの選手)が出場する場合に比べてどれだけチームの勝利数を増やしたかによって計算される。
打撃や守備に関する個別の評価指標はさまざまなものが存在するが、WARはそれらを統合することが最大の特徴である。それによりひとつの数字で対象の選手の貢献の総量を知ることができる。打撃が得意な選手と守備が得意な選手を比較することもできるし、能力が高いが出場機会の少ない選手と、能力は平凡だが出場機会が多い選手どちらの貢献度が高いかも比較できる。異なる守備位置の選手同士でも比較でき、セイバーメトリクスの貢献度評価指標としては究極的なものとされる。
数字は代替選手との対比で表されるため、ある選手のWARが4.0であればその選手を失って代替水準の選手を出場させるとチームは勝利を4つ失うだけの価値があるという意味である。目安として、平均的な選手が1年出場した場合のWARは2.0前後である。

https://1point02.jp/op/gnav/glossary/gls_explanation.aspx?eid=20032

長すぎる!という方のためにめちゃくちゃざっくり要約すると、WARは選手の総合評価の指標で、高ければ高いほど良い。といった感じです。
昨季のものを見ると、投手のトップ5は山本由伸(7.1)、村上頌樹(5.4)、佐々木朗希(5.1)、戸郷翔征(5.0)、宮城大弥(5.0)と全員が先発投手。リリーフのトップは中日のマルティネス(1.9)、順位で言えば45位リリーフはWARを稼ぎにくいことがわかります。
※データは「ぼーのの日記」さんから引用しました。
それもそのはずで、1試合の中で6~7イニング投げる先発の方が1イニングしか投げないリリーフより勝敗への影響力があります。1回無失点よりも6~7回投げて2~3失点の方が勝利への貢献が大きいことはなんとなくわかりますよね。金村は昨季たった4登板で池田や河野や鈴木健矢を上回る1.1ものWARを稼いでおり、これほどの好投手をWARの稼ぎにくいリリーフに回すのは非合理的でしかありません。分かりやすく野手で例えるなら、スタメンでフル出場すれば30本ホームランを打てる選手を代打起用し続けるようなものです。
ピタゴラス勝率というものがあります。これはチームの得失点で見込まれる勝率を計算するもので、要するに得点を最大化して失点を最小化すれば勝率が上がるということです。失点を最小化するためには、「好投手はできるだけ多くのイニングを投げさせる=先発させる」ということが最も大事になります。これが1番言いたいことです。
金村に話を戻します。金村は昨季故障で4登板に終わったものの、防御率1.80と圧巻の成績を残し、平均球速は147~8キロと一軍ローテクラス。変化球も多彩で、スライダーやスプリットの被打率は.182と.053、そして空振り率はどちらも20%を超えます。そして抜群の制球力を持っています。
既に先発適性を見せた投手をリリーフに専念させるのは愚の骨頂新人王候補筆頭の好投手を短いイニングに専念させるのは損失でしかありません。本来リリーフに回すのは先発失格になった投手でいいはずです。オーバースペックの投手をリリーフに回して活躍するのは当たり前。それで先発が薄くなってしまっては本末転倒です。目先の勝利に執着して本来の戦力を削っているようなものです。今なら間に合います。新庄監督。考え直してください。(届かない願い)

おわりに

あまりの愚策に対する怒りに身を任せて書いたお気持ち表明noteなので誤字や日本語がおかしい点などあるかもしれません。何かありましたら気軽にTwitter(@ynwaT05)までお願いします。
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最後までお読みいただきありがとうございました。

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