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読書16 『へぼ侍』

  坂上泉著

 大坂にある志方家は、三河以来の徳川家臣である。御一新の混乱を迎え、錬一郎は七歳の時から薬問屋に奉公に出ていた。

 明治十年。南九州全域を巻き込んだ西南戦役が勃発。「武功を挙げれば志方の家を再興できる」と考えた十七歳の錬一郎は、官軍の兵士となったものの・・・。
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 一癖も二癖もある分隊員たちと進軍する中で、様々な出会いを通して成長し、戦以外の新たな道を切り開いていく錬一郎の物語です。

 幕末から明治の混乱や、戊辰戦争の後の矛盾を抱えて、何かを掴もうともがく人たちの葛藤と、何より後々に名を残す錚々たる面々が登場します。「名前は知ってるけど」詳しくはわかっていない私は、その都度調べながら、頭の中で繋がるたびに胸が熱くなりました。戦争の悲惨さは描かれていますが、話の流れ方が気持ちよかったです。

 印象に残った場面は、奉公先から持たされた貝殻に入れた軟骨をめぐる一件です。その時、軟骨を塗った相手は・・・🤭戦争の最中、ひとつ間違えると、命を落としかねない緊張感の中、錬一郎には生涯忘れることのない出来事になりました。

#読書
#坂上泉
#へぼ侍

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