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読書13 『渚の螢火』

坂上泉著

1972年。沖縄の本土復帰を前に、琉球銀行本店へドル移送作業を進める中、移送車が襲撃され、100万ドルを強奪される。1ドル360円のレートで、3億6千万円以上にもなる。

 円ドル交換は新生沖縄県の幕開けを飾る一大事業であった。琉球政府への信頼が落ちることの懸念だけでなく、日米間の外交紛争に発展しかねるとして、外部に一才漏らさないように、本土復帰までに解決するように指示を出された。2週間余りしかない。
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比較的早い段階で、犯人がわかった気がしましたが、そこからさらに二転三転します。過酷な歴史を描きながら、最後にわかった真相にはショックでしかありませんでした🥲

 心に残った場面は、真栄田が沖縄に戻って来ても「本土のスパイ」と言われながら「私は、自分が何者か、沖縄とは何なのか、分からないで問い続けてきた。そのために警察官になった」と言った場面です。与那覇の態度については、きっかけを知ると、それはそれでわかるのですが、だからといって同じチームでやっていくのに、あの態度はないのでは😔と思いました。

 「我々沖縄も、27年戦ってきました。それは戦争に赴く形の戦いではなく、日々の生活を営み、社会を立て直していくという戦いです。これが敗者の、決して楽ではない戦いです」アメリカのCIDの憲兵大尉にこう言い切った真栄田の言葉には胸を打たれました。

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