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ゴジラ怪獣ここが好き スペースゴジラ編

ゴジラ怪獣の好きなところを書いていくシリーズ。
今回紹介するのは、宇宙の凶悪怪獣スペースゴジラ。
ちょっと異質な悪役ぶりに注目した内容です。
よろしければご一読くださいませ。

こんなの絶対おいしいよ

カレーにトンカツ、蕎麦にコロッケ。
餡掛けチャーハン、麻婆ラーメン。
美味しいものに美味しいものを足したら、もっと美味しくなりますよね。
バカっぽい理屈ですし、明らかなデブ思考ですが、これが宇宙の真理なのです。

こういう好きなものを組み合わせる思考は、別に食べ物に限った話でもありません。
仮面ライダーがさらに変身してウルトラマンになったらもっと強いとか、悟空が悪魔の実を食べたら無敵じゃんとか。
こういう妄想、しましたよね?
僕はしました。
怪獣の記事や動画を投稿しているあたりからお察しの通り、今も根っこは変わってません。

そんな妄想は、怪獣も例外ではなく。
あの怪獣とこの怪獣が合体したらとか、あの怪獣に羽が生えたらとか。
最近のウルトラマンでやってる合体獣みたいな空想を、子供の頃からしていました。
ウルトラ怪獣を組み合わせて新しい怪獣にするのって、絶対同世代の人が考えたんだろうなぁ。

では、そういった空想をゴジラに対してするとしたら。

もしもゴジラが空を飛べたら。
もしもゴジラが念力を使えたら。
もしもゴジラがビームを自由自在に曲げられたら。
角があったら。
大きな牙があったら。
力の源は宇宙エネルギーで、背ビレはキラキラしていてトゲトゲしたクリスタルで…。
そんな、思いつく限りの強そうでカッコいい要素を足しに足したゴジラを、公式が本当に作っちゃった怪獣。
それが、今回紹介するスペースゴジラです。

スペースゴジラは、その名の通り宇宙のゴジラです。
宇宙だからスペースって、かなり直球なネーミングですね。
ちなみに昭和のガメラシリーズには、「宇宙ギャオス」というもっと直球な怪獣が出てきます。
見た目は普通のギャオスを銀色に塗っただけ。
宇宙=銀。
グレイ型宇宙人のイメージでしょうか。
それに比べれば、スペースゴジラという名前は多少変化球で攻めているかもしれません。

ソフビ怪獣妄想遊び

少し思い出話をします。
スペースゴジラが登場する映画「ゴジラVSスペースゴジラ」公開当時、僕は小学生でした。
その頃の僕は、この「スペース」という言葉の響きに、何とも言えぬカッコよさを感じていたんですね。
なので、持っていた怪獣のソフビで遊ぶときなんかも、勝手に脳内設定で適当な怪獣を宇宙からやってきたことにして名前をつけます。

「スペースビオランテ」や「スペースラドン」など、うちにソフビがあった怪獣は片っ端から出身地を改ざんされてしまいました。
なかでも一番気に入っていたのは「スペースキングギドラ」ですね。
ただでさえ強いキングギドラにスペースがついたらもう最強じゃないですか。
ソフビ人形遊びでのボス怪獣として、かなり高い登板率でした。
よくよく考えてみれば、キングギドラはもともと宇宙怪獣なので、やたら出身地をアピールしている地元愛強めの怪獣になっちゃってるんですけど。
「岡山の奇跡」みたいな感じですかね。
たぶん違うでしょう。

まあ、そんな僕も今ではすっかり大人ですから、なんでもかんでもスペースをつけて喜ぶようなことはしていません。
宇宙関係で妄想するときはもっぱら「ギャラクシー」とか「コズミック」を使うようにしています。
漢字とかも使っちゃいますね。
「暗黒物質」とか。「銀河連邦」とか。
年相応に知的な響きですよね。

情報多すぎ怪獣

さて、話をもどしてスペースゴジラ。
さっそくどんな怪獣か、その姿をみてみましょう。
全体像がわかるショットと、アップで映るシーンの二枚です。

スペースゴジラ 予告切り抜き

スペースゴジラ 予告切り抜き2

ゴジラ(東宝特撮)チャンネル 「ゴジラVSスペースゴジラ予告編」より
https://www.youtube.com/watch?v=kAD-0-PUhag&list=PLwMvH0gVbL89eqS4ugFpSINRKkjQ1Vf3i&index=21

目を引くのは肩の結晶体です。
余計な心配ですが、これ絶対寝るとき邪魔ですよね。
ゴジラでさえ背ビレと尻尾のせいで仰向きでは寝られないでしょうに、スペースゴジラは横向きで寝るのも無理そうです。
うつ伏せに寝たら顔がむくみますし、リンパマッサージをしてから撮影現場入りしてたんでしょうか。
実際、宇宙だったら寝る姿勢を気にしなくてよかったのかもしれませんね。
地球にきてからずっと暴れてたのは、寝不足で機嫌が悪かったからでしょうか。

そんな睡眠障害待ったなしの外見のスペースゴジラ、ゴジラをベースにしたそのデザインと同様、劇中での誕生経緯もゴジラに由来しています。
とある経緯で宇宙に運ばれたゴジラの細胞がブラックホールに飲み込まれ、結晶生物と融合。
超新星爆発に巻き込まれ、そのエネルギーの影響で急成長し怪獣化するという話です。
この誕生経緯、劇中でも「たぶんこうでしょ」くらいのノリで、とくにこれといった科学的根拠が示されているわけではありません。
「ゴジラ細胞ならそれくらいのこと起こるよね」というだけでなんだか納得させられてしまう、妙な信頼感に基づいた設定ですね。

ところで、ゴジラの細胞が宇宙に行った経緯ですが、劇中で挙げられている仮説として以前紹介したビオランテが関わるものがあります。
ビオランテは映画ラストで粒子となって空に消えますが、その一部が地球を離れ宇宙に飛散したという説です。
つまり、スペースゴジラにはゴジラ細胞だけでなく、ビオランテの遺伝情報も含まれているということ。
「スペースゴジラ=結晶生物+宇宙エネルギー+ゴジラ+バラ+沢口靖子」という、かなり情報過多な怪獣ということになります。
そう思ってあらためて見てみると、胸や腹部の色はバラっぽいかもしれません。
たぶん、沢口靖子さんっぽいところも探せばあるんじゃないですかね。
所作とか。堂々としてるところとか。

極悪犯罪者怪獣

さて映画本編のストーリーでは、スペースゴジラは誕生と同時にゴジラの存在を感知。
なんか気に食わないというチンピラじみた理由で、はるばる宇宙の果てから単独で地球にカチコミを仕掛けます。
ゴジラの住む島に飛来すると、VSシリーズでのゴジラの息子ポジションである怪獣、リトルゴジラを超能力で監禁。
怒ったゴジラも軽くあしらい、「助けたいなら俺を倒してみな」とばかりに最終決戦地・福岡へと飛び去ります。
ゴジラからすれば、会ったことがない親戚の兄ちゃんくらいの距離感のやつが急に家にきて、息子を監禁し暴力をふるって出ていったような状況。
犯罪者に襲われた被害者そのものです。
TV番組ならここで一旦再現VTRを切って、スタジオのタレントにこの先どうなるかクイズを出す流れになるやつですね。

しかしまだまだ止まらないのがスペースゴジラ。
福岡タワー周辺に飛来すると、周囲を自分が戦いやすい環境に作り替えていきます。
宇宙からのエネルギーを受信するために、クリスタルの塔を何本も建て始めたのです。
監禁・暴行の次は不法占拠・違法建築です。
怪獣界でも稀に見る凶悪犯罪者ですね。

「悪」を体現する悪役怪獣

考えてみると、平成VSシリーズでここまで明確に悪者として描かれた怪獣は他にはいないのではないでしょうか。
たとえば、キングギドラは世界征服のため操られた怪獣であり、その目的の障害となるゴジラと戦いました。
ビオランテにも同情すべきバックボーンがあり、ほかの怪獣も何らかの目的があり、結果としてゴジラと戦ったにすぎないわけです。

これがスペースゴジラの場合、ゴジラを倒すこと自体を目的としています。
ゴジラと戦うためならば犯罪的な行為も辞さない、サイコパスじみた執念。
バットマンにおけるジョーカーのような、「悪いことをするから主人公と戦う」のではなく「主人公と戦いたいから悪いことをする」タイプの悪役です。

そういったキャラクター性のおかげか、今作のゴジラは圧倒的に善玉として描かれています。
ゴジラを超常的ながら一つの生物として描く側面の強いVSシリーズの中では、飛びぬけて擬人化傾向が強い一本です。
人間とゴジラの共闘というベタですが熱いシーンもあり、こういった要素を引き立てるにはうってつけの悪役と言えるでしょう。

スペースゴジラ以降、名前にゴジラを冠した新怪獣は登場していません。
モンスターバースのシリーズやシン・ゴジラで、正統派のゴジラはけっこう味わえている今日この頃。
そろそろ、イケてる要素を全部乗せした、特盛料理的な新スペースゴジラを観てみたいですね。


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