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違和感に違和感

デザイナーをやっていると、ビジネス職、時にはディレクターからも「違和感がある」というフィードバックを頂戴することがしばしばあります。

「違和感がある」は個人の主観に基づく「感想」であって、デザインのプロではないクライアントの「違和感」の根源を探り、理由を言葉にして、デザイン上で解決するのが私たちの役割(仕事)だと思っています。
(なので私は「違和感」という言葉を絶対に使いません)

その時に、クリエイティブを商材として扱うビジネス職や、ましてや制作のプロであるディレクターが「違和感」という言葉を用いてフィードバックを行うことは、(厳しい言い方ですが)職責の放棄かな、とすら思ってしまいます。

我々が生活する世界にはあらゆる場所にデザインが溢れており、皆それらに対して「好き」「嫌い」の判断を意識的に、無意識的に、不断に行いながら生きています。
文学における印象批評や、蓮實重彦さんの表層批評が、ブログの誕生から始まる「一億総評論家時代」の現代において、無名の「個」から無数に発信される批評のクオリティを担保しないように、そうして形成された「好み」に基づいて、目の前にあるデザインに対して感想を述べることは誰にでもできることです。

目に見える「表層」と、そこから得た「感想」、で思考を止めず一歩踏み込んで「なぜ」と考えることが、クリエイティブを生業にするプロの矜持かなと思います。

私自身も、自分の内にある「違和感」に「なぜ」と問い続けることを忘れたくないものです。

#デザイン #Design

読んでいただきありがとうございます。