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マーケットプレイス型ビジネスをする際に何を重要視するべきなのか?

前職のシード期からの支援先である決済プラットフォームであるCoda Paymentsが大きめの資金調達をアナウンスしました。
本件を23日(土)にTweetしたところ、ラクスル創業者である松本さんとTwitter上で以下のようなやり取りが発生し、

上記やりとりを通じて、過去の投資経験を通じたインサイトをツラツラと纏めたところ思った以上に反響もあり、面白いインサイトになっている気がしたので改めてnoteにも纏めてみたいと思います。

事例としては新興国を取り上げていますが、日本でも当てはまる内容だと感じているのでお時間ある際にご笑覧ください。

1. いち早く市場を占有するべきなのか?

ラクスル松本さんのコメントにもある通り、マーケットプレイス型ビジネスを行っている多くの起業家や、投資している投資家の多くは、

いち早く市場を占有すべし!
「Subsidizing for top-line growth, and raising money」


的な思想の下にとにかく事業のトップライン(流通総額など)の成長にのみ集中し、またそのトップラインを伸ばす為に巨額の資金を調達し、マーケティングやユーザーへの還元を増やし、ユニットエコノミクスを無視した、トップラインの成長を文字通りお金で買うプレイが多く見られます。

一方で、本当にいち早く市場を占有することがマーケットプレイス型ビジネスの勝ち筋として正しいのか?否か?と言うのは一概には言えない、と言うのが僕が長年、新興国における複数のマーケットプレイス型ビジネスへの投資を通じて感じていることでもある。

2. 市場がReady to Goか、どうか?は冷静に判断するべきポイント

マーケットプレイス型ビジネスは、いち早く市場を占有するべき!と言う考えが一定以上の起業家や投資家に当てはまるのは、そもそも市場が既にマーケットプレイス型ビジネスが立ち上がる素地がある状態であることが前提となっているからです。

一方で、私が投資の主戦場としている新興国においては、市場がReady to Goではないことも多く、

いち早く市場を占有するべし!
「Subsidizing for top-line growth, and raising money」

と言う考えが当て嵌まらないことが多い印象を持っています。

新興国においては、ネットインフラの普及&未整備(これはここ数年でほぼ解決済み)、決済インフラの未整備、対象ユーザー/セグメントのネットリテラシーの低さなど含めて、真の意味でのPMFをするのに時間軸でラグがあると感じています。

ネットインフラが整備されつつある今、マーケットプレイス型ビジネスを展開する各社は、ユニットエコノミクスを一旦無視して、とにかくトップラインを伸ばす戦いを仕掛けています。

一方で、前述したように決済インフラの未整備、対象ユーザー/セグメントのネットリテラシーの低さが要因で、調達した資金を効率的にグロースに活用出来ていないことも多いです。

なので、諸々の諸条件が整い切る前に、市場を占有出来たら、勝き切れる領域なのか?はたまたそうでないのか?と言う視点が非常に重要だと感じています。

また「マーケットプレイス型ビジネスは、いち早く市場を占有するべき!」と考える起業家は、資金が付いてくる間は強いが、市場環境が変化し資金調達が難しい局面において弱いタイプも多く見て来ました。

(資金調達力は非常に重要な起業家の能力ではあるものの、少ない資金で事業を最大限伸ばす、と言ったトライを経験していない起業家の場合だと、経営力不足で市場環境が悪い時に乗り切れないことも多いかったです。ただこう言った局面で思いっきりマインドが変わり、強く成長するケースも見てるので資金調達力を強い武器として伸ばす経営スタイルが悪いとは思っていません)

3. First Mover か、 Last Moverか?

個人的な好みではあるが、ユニットエコノミクスへの意識が高く、市場がReady to Goになるまでは、先行するプレイヤーからTop-line Growthで離され過ぎずに粛々と将来的にネットワークエフェクトが効く領域や参入障壁を作り得るポイントへの投資が出来る、長期目線を持ち合わせた起業家が好きです。

まさに、この視点を持ち合わせて居たのが今やインドネシア、いや東南アジアを代表する起業家となっているTokopediaのWilliamとLeonである。

 インドネシアでのECマーケットプレイスと言えば、今やTokopediaが圧倒的だが、初期はLazadaが滅茶苦茶強かった。
彼らは資金調達力にモノを言わせた垂直立ち上げ。
一方で当時のTokopediaは資金調達力もなく背中がどんどん離されていった。

(累計で2桁億円の調達をようやく出来た!と言うタイミングでLazadaは3桁億円の調達を複数回していたと記憶している………苦笑)

Tokopediaは資金力がないからこそ、強い組織への投資、ユーザーにとにかく向き合ったプロダクト開発、出店店舗との関係性構築などを徹底し続けていた。
ある瞬間からLazadaや財閥系傘下の競合が、大量のTVCMなどのマス広告でEC市場を消費者に啓蒙してくれたこともあり、マーケ予算を一切、増やしていないTokopediaのGMVが突然伸び始めるようになった。

この急成長のタイミングでSoftbank, Sequoiaから100M USDの資金調達ラウンドを実施し、潤沢なマーケ予算を持てたことで、Lazadaなどの競合と違い、同じTVCM投下量でも遥かに投資効率の良いマーケティングが実施出来たことで、一気にLazadaと肩を並べ、追い抜き、インドネシアNo.1のマーケットプレイスの位置を確立出来た。

市場がReady to GoじゃないEarly Maraketの場合は、マーケティングなどの投資には、自社の成長だけではなく、市場への啓蒙/教育コストが含まれ、Top-lineは伸びるが獲得効率が良くなかったりします。
そうなると市場への啓蒙/教育コストを払い続けるNo.1プレイヤーじゃなく、粛々とプロダクトなどを磨き、将来的にネットワークエフェクトが効く領域や参入障壁を作り得るポイントへの投資が出来ていた2番手、3番手が耐えた先に一気に捲って勝つこともある。

この辺りの成功体験がTokopedia含めたマーケットプレイス型の複数の支援先でも当てはまっていることもあり、Top-line Gowthを急ぎ過ぎずに、ネットワークエフェクト、参入障壁作りなどを粛々と淡々とこなす長期目線で取り組める起業家とご一緒させて頂いていることが多いです。

なので、First Moverでも、Last Moverでもなく本質的な価値を捉え、粛々と積み上げられる起業家、企業が最終的には勝ち得るんだと感じております。

この辺りはうまく考えを自分自身でも言語化出来ていなかったのですが、ラクスルCOO福島さんが勝手にTwitterでサマリーしてくれて、ハラ落ちしたので最後に引用して終わりたいと思います。

誤字脱字だらけの脳内垂れ流しTweetでも色々な人が反応してくれて、さらにシャープな思考に繋がっていくのはインターネットそのものですね!
そんなインターネット最高!と思う土曜の昼下がりでした、チャンチャン!

また若手起業家向けに事業の壁打ちも行っているのでマーケットプレイス型ビジネス、プラットフォームを志向するビジネスを検討されている方はお問い合わせください!


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