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アメリカよりも進んでいたラオスのiPhone

 古い話になるが、2011年9月にラオスの首都ビエンチャンに行ったときに立ち寄ったスマホショップでiPhoneを勧められた。「iPhone5G」である。ちなみに、「iPhone4S」が発表されたのが2011年10月、ちょうどこの画像を撮影した1週間後の話だ。ラオスはタイよりも発展していない国だが、iPhoneに関してはメーカー本拠地であるアメリカよりも進んでいたのだ。

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 本家の「iPhone5」が発表されたのがちょうどこの1年後、2012年9月のことだ。しかし、このiPhone5Gは中国製のようだったので、ラオスが進んでいるのではなく中国が進んでいたと言った方が正確か。実際ラオスにはまだスマホ工場はないはずだし、独自開発する技術もないはず。

 すでにおわかりの通り、このiPhone5Gは完全なニセモノである。海賊版ですらないというシロモノで、中身のOSもアップル社のものではなかった。かといってアンドロイドでもなく、おそらく中国独自のシステムが組み込まれていたのだろう。

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 言い値が2500バーツだったと思う。当時で7500円くらいだ。最終的に600バーツ、つまり1800円にまで下がった。仕入れ値が400~500バーツのようで、それが最安値となる。

 何軒か冷やかしで聞いて回ったところ、みな同じことを言う。

タイに住んでいるならすぐにバッテリーは換えな

 最近は聞かなくなったが、10年以上前だとラオスやタイなどで出回る怪しい中国製携帯電話がよく爆発した。鼓膜が破れたり、場合によっては指が吹き飛んだとかいう話もあったかと記憶している。

 この原因が中国製バッテリーであると信じられていた。実際そうだったのでしょう。この偽iPhone端末の胴体はNOKIAと同じらしかったので「バッテリーはNOKIAの正規にするといい」とみんな同じアドバイスをした。

 スマホが台頭する以前はタイというか東南アジアで人気だったブランドはNOKIAとかモトローラだった。しかし、ラオスは平均所得がタイよりもずっと低いのでNOKIAの正規パーツは高く感じられてしまって売れないため店頭に置いていなかった。だから、タイに住んでいる人にはそう勧めるようだった。

 端末からバッテリーを外して見せてもらうと確かにNOKIAっぽい。しかし、日本語も見られるので、一見日本製のようにも見える。それならば信頼性の高いバッテリーということではないのか。

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 ところが、よくよく見てみるととんでもない。ボクの中でバッテリーは「容量」ではなく「容量」なのだが、そんなことは最早どうでもいいだろう。

 これが「リチウムイオ電池」ではなく「リチウムイオ電池」なのだ。間違いなく日本製ではないし、この程度の日本語でもできない技術者陣営なら、そんなバッテリーなんて爆発することもあるでしょう。

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 ラオスは領土が中国に接していることもあって、中国製品が大量に流れ込んでくる。市場や店によってはラオス語がほとんど通じず、中国語の方がいい場合もある。中国国境から遠い場所にある首都ビエンチャンでさえ、中国語しか通じない店があるくらいなのだ。それほどに中国が浸透している。

 そんな店でこんな携帯電話も見せられた。これはスマートフォンではない、昔ながらのフィーチャーフォンになる。

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 フェラーリの形をした、かなりダサい携帯端末である。こう画像で見るとちゃちな製品に見えるが、実際に手に持ってみると、ボクのような40代が子どものころに遊んだ超合金の変身ロボット並みの質感だったりする。この携帯のボディは金属製なのだ。

 ずっしりと重くて、なにかあったときにこれで殴れば護身用にもなりそうなそんな携帯電話で、ちょっと心が揺らいだ。確か当時500バーツとかそれくらいで売っていたような。その半年後にバンコクの怪しいショップで売られているのを見かけたが、倍以上の値段をつけられていた。

 ただ、先の電池の日本語のように全体的に間が抜けていて、それこそ爆発するんじゃないかと思った。勝手に名前を騙るならちゃんとやれよ、と。

 画像の一番右のフェラーリは問題ない。しかし、その隣の黒いタイプのロゴを見てほしい。「Farrali」となっているが、フェラーリは「Ferrari」と綴る。ファラーリとでも読むのか。単体で見せられたら気がつかないレベルで、「こち亀」によく出てきたニセモノスポーツカーみたいだ。かといってロゴが合っていればいいわけではないし、赤い携帯電話なんて嫌だし。というわけで、買わなかった。

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