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タイの運動会には日本の運動会にない審査ポイントがある

 2020年は学校の始まりが2ヶ月くらい遅れ、度重なる学級・学校閉鎖などでカリキュラムも遅れに遅れ、それでも2021年の旧正月までになんとかほとんどの学校が終業を迎えた。タイの小中高は本来3月から5月が学年の節目であり、夏休みになる。なんとかそこには間に合わせた感じだ。

 これだけ進行が遅れていたし、密を避けるために学校行事はすべてがキャンセルとなった。タイにもある学芸会や運動会もすべて行われなかった。

 まあ、ボクにとってはそれはありがたい話だ。というのは、タイの場合、プログラムの組み方が下手すぎて、入れ替えや移動の時間などを考慮していない。そのため、予定よりも大幅に遅れることが多い、いや、それが当たり前だ。正直、ほかの子どもの姿を見ていても時間の無駄でしかない。

 それでもタイ人の保護者たちはそれに文句も言わず、学芸会などを楽しんでいる。学芸会の審査はよくわからないが、運動会は日本にはない、独特な審査対象がある。

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 その審査対象はもしかしたらボクの子どもたちが通う学校だけなのかもしれない。

 とにかく運動会には特別な得点がある。厳密に言えば減点方式なのだが、保護者のマナーが審査員によって見られている。こんなの日本では考えられないことだろう。しかし、自分のことしか考えられない親が多数いて、こういう審査項目を用意しないと進行の妨げにもなる。

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 小学生や中学生になると(うちの子の学校は幼稚園から高校まである。しかも無試験で入学できるなんちゃってインターナショナル校)、それぞれが割り当てられた競技に出場する。幼稚園は参加できないので、だいたいオープニングのパレードをする程度だ。

 毎年なんらかしらのテーマが先生の間で決められ、それらの衣装を各家庭で用意するように指示が出る。これが、どこでなにを買えとか具体的ではなくて、今年は赤組でサッカーがテーマだから、「赤いサッカーのユニフォーム」で、という漠然とした指示しか来ない。結果、衣装はバラバラで、パレードはピシッと揃っていない。

 以前息子は緑チームで空軍の格好という指示だった。それでいろいろとアムが母親たちに訊いて周った結果、パイロットの服だという。売っているところがわからないので、わざわざ空軍の売店にまで行って上の画像のつなぎを買った。ところが、こういうつなぎを買った家もあれば、正装の方の軍服を買った人もいるし、どう見てもエアラインパイロットもいた。思い描く「パイロット」がみんな違うからそうなるよね。

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 そんなこんなで、子どもの服を親も走り回って用意したし、子どもが活躍するところを画像や動画にみんな収めたいわけだ。そして、周りを気にしないというか、自分だけよければいいというのがタイ人なので、どんどん前に出てきてしまう。上の画像のように、開会式などをやっているのにグラウンドにどんどん入ってくるのだ。これならば減点方式を用意しておかないといけない。

 というか、用意した上でこれなんだけど。自分だけがいいと思っている人なので、減点されたって別に気にしないからね。

 ただ、親も手ぶらで乗りこんでいるわけでもない。タイには弁当という文化がほぼない。一応弁当箱などは売っているけれど、暑いタイでは傷むし、なにかしら食べる場所は多いので、弁当文化は根づいていない。

 かといって、学校も食事を用意していない。そのため、保護者たちがみんなで飲みものや食べもの、菓子類を持ち込み、同じ色の組内では自由に食べたり飲んでもいい。中には調理器具を持ってきて、いろいろと作ってくれる親もいる。そこでは保護者も自由に飲み食いできる。

 セキュリティーの問題もあるのだけれども、運動会のときは手押し車の簡易的な屋台が勝手に入ってきて、食べものを売っていたりもする。こちらは有料だけれども。入ってきていることがボクが気になるが、親たちがお祭り気分になっているので、誰も気にしないようで。

 というわけで、衣装に奔走し、食べものも用意する。買ってこない人は寄付金を渡してもいいし、無視してもいいし。いずれにしても、保護者も夢中になって参加しているので、前に出て子どもの姿を撮りたいというのはわからなくもない。

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 うちはあまり積極的に画像は撮っていない。なにしろ、妻が自分の姿を撮るのに必死だから。要するに、なにも考えていないんだ、アイツは。

 上の画像はある年の、息子の衣装だ。青組で、なんだったかな。サーカスだったか、なんだったか。そんなことよりもこの顔が気になる。これ、化粧しているよね。色合いから見て妻がやったと思うけど、男の子には化粧はいらんでしょうが。あと、ピースが広い。

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