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アルコールに関して厳しいタイ

 タイは今日から夜間外出禁止令が解除となり、同時に一般飲食店におけるアルコール販売も可能になった。5月から徐々に規制緩和が始まっていて、バーなどのナイト・エンターテインメント施設はまだ解禁になっていないが、一般飲食店は店内サービスが再開していた。ただ、アルコール提供ができなかったので、ヤキトリなどのアルコールがセットになっているような料理店は苦戦が続いていた。その中での解禁で、一般飲食店は復活に向けて動き出すことができるようになった。

 一方で、厳しい状況は続いている。日本人経営の飲食店はこの一連の騒動の中で廃業に追い込まれたという話がバンコクでは幸いあまり聞かれない。とはいえ、客足が以前のように戻ってくるかが不透明で、アルコール提供ができるようになったからといって、経営難から逃れられるとは限らない。

 特にタイはアルコールに対する規制が厳しい。今回のアルコール提供禁止解除も実際的には暫定措置で、万が一国内感染者が増えてきた場合は再び禁止になるという。また、通常時もタイでは小売りの販売時間が決まっていたり、メディアへの広告などにも規制がある。どうも、こんな状況の中で、さらにその厳しさが増しているようである。

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 タイでは数年前にFacebookなどのSNSを利用したステルスマーケティングが問題になった。某ビール会社が芸能人などを使い、同社のビールを飲んでいるところを画像アップさせ宣伝していると疑われたのだ。結果的にその証拠がなく、立件されたわけではないが、タイ政府がアルコールに対して厳しい姿勢を取っていることを象徴する事件でもあった。

 タイではメディア露出の場合、ロゴがかなりのグレーゾーンで、アルコールの液体、瓶などのパッケージ、アルコール飲料そのものの映像・画像が禁止され、さらに販売促進に繋がる宣伝文句やレビューは許されない。間接的な内容でコマーシャルを製作して販促しなければならない。ドラマや映画でも、外国製作ならともかく、タイのものにはこれらは映ることがほとんどない。

 ただ、一般的な認識としては、あくまでも「ビール会社などのアルコールの製造や販売をする企業がメディアに載せてはいけない」くらいのものであった。先のステマも芸能人が中心だったため、一般人がSNSにそれらを掲載することはそれほど問題にならないと、誰もが思っていた。実際に、SNSにはアルコールを飲んでいる様子がわかる画像をアップしている人は無数にいる。

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 ところが、実際には一般人においてもアルコールに関する投稿することが禁じられているようだ。

 6月5日にクラフトビールの販売会社がSNSへの投稿に関して規制違反をしていることを警察に指摘され、5万バーツの罰金を科せられたと発表している。5万バーツはおよそ15万円くらい。かなり大きな金額だ。

 この発表を受けてタイのメディアなどは一般人にも適用されることについて指摘している。SNSに載せることで罰金を免れないし(発覚すればだが)、場合によっては警察が過去の投稿にも遡って確認するという。これらの法令は2008年に発出されている(あるいは改訂された?)ものなので、SNSがタイで普及したのは2010年ごろからのため、過去を遡った場合、ほとんどのタイ人はこれに引っかかる可能性がある。

 また、この法令に定められた罰金は幅が大きく、最大で50万バーツ、つまり150万円ほどになるという。未確認だが、飲食店の店内サービスが5月に解禁になり、当時まだアルコール提供できなかったものの、日本人の主婦グループが懇意にしている店に行き、特別にアルコールを出してもらった。それをあろうことかSNSに投稿してしまい、店とその場にいた複数の日本人にそれぞれ10万バーツの罰金が科せられたらしい。

 ただ、10万バーツはすなわち30万円なのでかなり厳しいが、もしこの話が本当であれば、これに関しては同情の余地はない。飲酒の様子をアップする云々ではなく、この時世に一般飲食店のアルコール違法提供を堂々と書いてしまうメンタルに問題がある。

 現状はタイ国内も解禁ムードに浮き足立っているものの、ピリピリした雰囲気もまだ残っている。外出自粛で人が出歩かないので、警察も罰金稼ぎに必死な面もあろう。警察だっていくらなんでも運営費を稼ぐ必要があるのだから。そのため、こういったネットにまで捜査網が広められ、市民の粗探しが始まっている。一般の人も投稿ネタには注意しないといけない。

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