【ショートショート】「悲劇の連休 〜怪奇!体調が悪いのに平熱!?〜」

「悲劇の連休 〜怪奇!体調が悪いのに平熱!?〜」
作 taka田taka夫

 最近、すごく忙しかった……。
 一ヶ月半、毎日、仕事をしていたのではなかろうか?
 季節の変わり目の3月半ばから山のように仕事が入ってきて、日曜と祝日も出勤したし、異常なぐらい忙しくておかしくなりそうだった……。
 いや、おかしくなっていたに違いない……。

 だが、ようやく仕事がひと段落して落ち着いた。
 明日からは、待ちに待った3連休の休みだ。


 この一ヶ月半は、ろくに遊んでいなかったから、なにをしようか……。
 家でゴロゴロしながら、漫画を一気読みするか?
 それとも、Amaz○nプライムビデオで、映画かアニメを朝になるまで一気見してみるか?
 あっ、ゲームも捨てがたい。
 家で炭酸飲料とポテチを口にしながらゴロゴロし、うたた寝するのも最高だ。

 だがなー。せっかくの連休なんだし、インドアに過ごすのではなく、旅行にでも行くか?
 観光地やパワースポットを巡ったり、温泉に入ったりー。
 そして、美味い物をたらふく食う!
 うんうん、これも最高だ!!


 そういや、休日出勤したから特別ボーナスも入ったし、ショッピングモールとかで、買い物を楽しむか?
 今、公開中の映画で観たい作品も沢山あるし。

 ああ、次から次へとやりたいことが頭に浮かんでくる……。 
 明日からの3連休……楽しみだ!!


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 連休1日目の朝。

 ……。

 朝7時……。
 目を覚ますと……身体が動かなった……。
 まるで、筋肉と関節がセメントで固められたように動かない……!!
 動け!動け!!俺の身体!!何故、動かん!?

 今日の予定はショッピングモールで買い物をし、映画を観に行く予定なんだぞ!!
 なのに、何故、布団から立ち上がれない!!

 ……まさか。一ヶ月半、無休で働いたんで、その疲労が今になってやってきたのか!?
 畜生!動け!動け!!

 ……だが、肉体の疲労と睡魔には勝てず、俺は連休の1日目を朝から晩まで、寝て過ごした……。
 ま、まあ、いいだろ……。
 明日と明後日も休みだ。
 一日ぐらいは体力回復に使った方が良いだろ……うん。
 俺は自分にそう言い聞かせ、眠り続けた。


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 連休2日目の朝。
 午前7時。

 ……。
 ……今日も体が動かなかった……。
 しかも、なんか倦怠感と寒気まで出てきて、体調が最悪だ……。
 なんか、熱っぽい気がする……。
 俺は体温を測った……。

『36.3℃』

 平熱かよ!!?
 平熱でこの体調の悪さはなんなんだよ!!

 ……。
 せっかくの休日を台無しにしたくなかったし、平熱だし、体は重いが歩くぐらいは出来るから問題ないと思い、無理をして出かけようと思った瞬間、急に気持ち悪くなってトイレで吐いた……。
 なんだこれ……。
 まさか、筋肉や関節だけではなく、胃腸などの内臓も疲労しているのか?
 念の為に買っておいたゼリー飲料と、スポーツ飲料しか喉を通らない……。
 これでは、外出は無理だ……。

 ……ならば、仕方ない。頭を切り替えよう……。
 療養を兼ねて、今日はベッドの上でゴロゴロしよう。
 そう決めた俺は、床の上に山積みにしてあった漫画をベッドの近くまで持ってくる。
 買ったのは良いが仕事が忙しくて帰宅後、疲れて読めなかった漫画の数々だ。全部で100巻以上はある。
 これを読めば充実した休日になるだろう。

 ……。
 午前11時。俺はベッドの上で漫画を読み始めた。
 すると、3巻目を読んでいる途中で睡魔に襲われ、俺はそのまま深い眠りに……。


 目が覚めたのは、午後7時だった……。
 ……。
 だ、大丈夫だ!まだ時間はある!!
 こうなったら、朝までにこの漫画を全巻読んでやろうじゃないか!!
 ゼリー飲料を食事代わりに、漫画を10巻目まで読んだところで俺は再び深い眠りに落ちた……。

 こうして、連休2日目が終わる……。

 

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 連休三日目(最終日)の朝。午前7時。
 ……予想通り、やっぱり今日も体調が悪くて動けねぇ!!
 せめて、今日ぐらい動けよ!身体、畜生!!
 連休の最終日なんだぞ!!
 一応、また体温を測る。

『36.2℃』

 平熱だよ!畜生!!
 なんで、こんなに体調が悪いのに平熱なんだよ!?

 仕方ない……。
 Amaz○nプライムビデオで、気になっていたTVアニメを観て過ごすことにするか……。
 観たいアニメは全24話……。
 これなら、1日で全話観れるだろう。

 
 午前10時。ノートパソコンを枕元に置き、ベッドの上でAmaz○nプライムビデオが配信しているTVアニメを観始めた。
 約1時間後の3話目で、俺は睡魔に敗北。
 目が覚めた時には、もう午後5時だった……。


 畜生!!
 せっかくの連休を、寝て過ごすとか、チクショウ!チクショウだよ!!

 というか、明日は仕事なんだけど、こんな体調で大丈夫か!?
 こんなんじゃあ、仕事なんて出来るわけ……!?

 ハッ……!
 ……そうだ!
 明日も今日みたいに体調が悪かったら、これを理由にして、明日は仕事を休めばいいじゃないか!!
 それでゴロゴロと漫画を読んだり、Amaz○nプライムビデオを観たりして、ダラダラ過ごせばいい!!
 そうだ、それだ!こんなにも体調が悪いんなら、さすがに会社だって明日は休ませてくれるはず!!
 そうすれば、台無しになった連休を取り戻すことが出来るぞ!!

 よし!そうしよう!
 体調が悪いんなら、これを利用するしかない!!
 そうと決まれば、まだ夕方だけど、もう寝るぞ!
 おやすみ!!


X    X    X

 連休明けの朝。午前7時。
 出勤日。

 ……。

 信じられないぐらいに体調が良かった……。
 ビックリするぐらい、身体が軽い……。目眩も吐き気もしないどころか、むしろ、腹が減っている……。
 連休中の体調不良が嘘みたいだ……。
 これなら、仕事に行ける……な……。

 念のため、体温を測る……。

『36.4℃』

 俺は体温計を壁に叩きつけた。


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