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最高の「音」を聴け!! 小説『ピアノマン~BLUEGIANT 雪祈の物語~』を読んだ

BLUE GIANTの登場人物、ジャズピアニストの沢辺雪祈が主人公の小説『ピアノマン~BLUE GIANT 雪祈の物語~』を読み終わりました。読み終わった直後のこの感情を文章に残しておきたいと思い、立ち寄った店内でこの文章を書いています。

ネタバレ無しで小説の感想を書いています。「映画は観たけど小説は未読だよ!」という方の参考になればと思います。


BLUE GIANTとは

ジャズに心打たれ、テナーサックスを始めた仙台の高校生「宮本 大(ミヤモト ダイ)」が世界一のジャズプレーヤーを志す物語を描いた漫画です。今年の2月にアニメ映画として映像化されています。

本記事で書いている、小説「ピアノマン~BLUE GIANT 雪祈の物語~」は、この漫画に登場する大と同い年のピアニスト「沢辺雪祈」の視点から書かれている物語です。

【感想】小説「ピアノマン」を読み終わって

「この小説、すごい…」

読んでいる最中に何度も感じたことです。

僕自身、小説を読むのがかなり苦手でこれまで読み切った小説も数冊しかありません。その中でも読み終わった後に「面白かった!」と感じるのは…あったかな…、1冊か2冊そこらだと思います。そのくらい普段から小説は読まないし、そもそも読めない人です。そのため、書店でこの本を手にした時は分厚い本を前に「これ読めるかな…?」と不安になりました。(本の長さは400ページです)。しかし、読み始めてみると不安はどこへやら。夢中になって読みました。

面白かったポイントを3つ、挙げてみたいと思います。

1. 映画の脚本家が書いた本だからこその一貫性

学生の頃、当時ハマっていたアニメのノベライズを読んだことがあるのですが、「このキャラ、そんなセリフ言う…?」と感じたことがあって、途中で読むのをやめたことがありました。作品に触れれば触れるほど、自分の中に登場人物のキャラ像が出来上がるものだと思うのですが、それとかけ離れたものを見た時に「なんだコレ?」と感じてしまうと一気に熱が冷めてしまうと思います。こんな風に感じた経験、みなさんもありませんか?

本小説の著者である南波氏は、漫画では編集者&ストーリーディレクター、映画では脚本を担当されています。そのせいかセリフや心情を描写する文章を読んだときに、”ズレの違和感”では無く、「雪祈はこんなことを考えていたんだな」といったような、"新しいことを知る"という感覚になりました。小説の主人公である「沢辺雪祈」も南波氏が生み出したとラジオで語っていることから、媒体関係無く、キャラ像が一貫していることは小説の魅力の一つだと思います。

2. 雪祈の人間性、思考、想いが伝わる

漫画や映画はサックスプレーヤーの「宮本大」視点で描かれていますが、小説ではピアニストの「沢辺雪祈」視点で書かれているため、これまでの出来事を別の視点で知ることができます。

文章から「雪祈はこういう人生を歩んできたから、あの人間性が形作られたんだ」「雪祈ならこう考えるんだ」「あのときはこんなことを考えながら演奏してたんだ」といったことが感じられ、「雪祈」自身のことがとても丁寧に書かれていると感じました。著者の脳内にある「雪祈」の人生がこの小説で書かれていて、その中でも東京いる時間の一部が漫画や映画で描かれているのだと感じました。視点が違うだけで、こうも「BLUE GIANT」の物語に対する印象がグッと変わるものなんですね。

3. 映像が想像できる

これは映画を観たからこその楽しみ方だと思いますが、小説を読みながら、頭の中で映像と音声を想像しながら読みました。登場人物の会話は映画の映像で、ときには漫画のコマを思い浮かべたり、作中の曲をサントラで流しながら読んだりと、文字をただ読むだけでない楽しみを味わうことができます。ぜひ漫画や映画で雪祈の表情やセリフ、声や音を知ってから読んだ方がより楽しめる小説だと思います。

さいごに

このまま一気に読むのはもったいないと感じて、本を何度も閉じながら読みました。そのくらい読むことに価値を感じた小説であり、感情がどっぷり浸かった時間でした。

「雪祈」はあの場面ではこんなことを感じていた、考えていたんだなと思い出しながら読むことができます。映画を観た人なら尚更読んで欲しい小説です。

Spotifyには漫画「BLUE GIANT」原作者の石塚真一氏、著者の南波永人氏、音楽担当の上原ひろみ氏が映画「BLUE GIANT」について語っているエピソードがアップされています。作品をより楽しめる内容になっているので、未聴の方はぜひこちらも聴いてみてください。僕も何度も聴いてます↓

僕は大学生の時に友人から勧めてもらって「BLUE GIANT」を読み始めました。主人公の大がひたむきにジャズと向き合う姿がとてもカッコよく、元気をもらえます。ジャズには全く馴染みが無い方でも楽しめる漫画だと思います。ぜひ読んでみてください!

それでは!

読んでくださりありがとうございます。 これからもnoteで発信していくのでよろしくお願いします!