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思い出のレコード reprise

誰しも思い出のレコードというものがあるだろう。

以前そんな書き出しで思い出のレコードについて語ってみた。今回はそんなレコードを語る第2弾をいってみたい。 
第1弾はこちら

 今回の思い出のレコードはイギリスのバンド「キンクス」が1966年にリリースした「Fece to Face」である。サイケっぽいジャケットが印象的なキンクス4枚目のアルバムだ。
 

 90年代後半、私が大学生になって間もない4月か5月のことだった。
私はオリーブ少女をターゲットにしたような軟派なDJサークルに入り、いわゆる渋谷系と呼ばれるレコードを主にハントしていた。そして同時期にサークルに入った「いかにもな」オリーブ少女をデートに誘った。場所は下北沢、今考えるとどうかしてるとしか思えないが、初めてのデートがレコ屋巡りだったのである。普通に映画とか行けばいいのに。

 現在も営業しているのかは不明だが、当時、本多劇場の中にショッピングセンターのようなフロアがあり、そこの一画にWind というレコード屋があった。店名に廃盤専門店とついてたかもしれない。ガレージロック、ガレージパンクの専門店で車が買えちゃうような値段のレコードもあった。趣味でやってるような店で、お得意様はお金持ちのコレクターだったらしい。

 ほとんど全てのレコードが手の出せない金額だったことを記憶している。
あろうことか、初デートでそんなお店に行ったのである。

 現在では女の子でもレコードショップに入れるよう、おしゃれな内装のお店が多いらしいが、当時のゴリゴリのマニア向けショップである。もちろん彼女は退屈そう。自分も高額なコレクターズアイテムのレコードだらけで焦る。

そして、少しでもカッコつけようと思って掘り出したレコードが、前述の「Fece to Face」だったという訳だ。キンクスはCDで5枚目と6枚目も持っていたからハズレはないだろう。当時はブリットポップが全盛期だったので、その元祖だよとかウンタラカンタラうんちくを彼女に語っていたかもしれない。

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 というか、知ってるレコードで手の出せる値段だったのがそれしか無かったのである。お値段は確か3,800円也。そんなに欲しいわけではなかったのに見栄のために買ったレコード。結構高くついてしまった。キャプションにはアメリカ盤のリプリーズオリジナル3色レーベルとかなんとか書いてあった記憶がある。レアなのかどうかはわからない。

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 オリーブ少女はその後、別の男と付き合い、私の恋は終わった。
このレコードを棚から見つけて、当時の甘酸っぱい記憶を思い出したのであった。

もちろん中身はすばらしい元祖ブリットポップですよ。


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