週刊タカギ #11

こんばんは。高城顔面です。
最近疲れやすくてたまらないです。やっていくしかないか……。


本日は2/9(金)。一首評を掲載します。

合法なポピーと違法な芥子並べどちらも綺麗と見とれてたんだ

野澤頃『#ffffff』(私家版,2020)

こう言うとおこがましいかもしれないが、野澤頃さんは、わたしの友人のひとりだ。「ぽやん舎」という屋号で、普段はまんがやイラストを描いており、ふと思い出したときに、好きな音楽の話などをしたりする仲である。

そんな彼女の、いまのところ唯一の歌集が『#ffffff』である。手のひらサイズの手製本の一冊で、小さいながらも装丁が凝っている。歌集のタイトルの由来はWebページの色の表示に用いられる「カラーコード」という制御コードのひとつで、「#ffffff」は「純白」を指す。

歌集の中には、歌のほかにも、挿絵や図表と解説、写真などがふんだんに用いられており、遊び心に満たされている。

そのなかでも、今回注目したのが上記の歌である。

合法なポピー、違法な芥子、どちらも自然界ではそのままの花であるものだが、人間社会というフィルターを通してしまうと、合法な観賞用の花と、違法な薬物の材料というふたつのものに分かれてしまう。花に対してはとても傲慢な物差しだと思う。
しかし、この主体は、このふたつを「どちらも綺麗と見とれて」いる。法治社会のなかで生きていることをいったん忘れ、(もしかしたらポスターの中で比較対象として載っているものなのかもしれないが)、「綺麗さ」というベクトルでシンプルに二つの花を見比べている。
本来、人間本来が持っている、自然な感情を引き出して、人間社会においての自然に対する身勝手さまでにも考えが及んでしまうような、不思議な力に包まれた歌である。
また、この歌の直後にもちょっとした仕掛けが施されていて(できれば読んでみてほしいので書かない)、読み手を飽きさせない。小さいながらも手の込んだ作りの歌集だ。

ご本人の手元に在庫が残っているか分からないが、とてもよい歌集なので、もしイベント等で見かけたら一読してみることをお勧めします。個人的には日記イラスト本なども好きです。

また、ご本人の短歌をつくっていた当時の心境を綴ったnoteも置いておきます。また心持ちが変わったら歌を詠んでほしいな。
https://note.com/poyansha/n/n5c6d993c3eee


次回は、2/16(金)更新予定。短歌を掲載します。


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