高城顔面

たまに短歌をつくります。音楽が好き。twitter→takagiganmen

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  • 週刊タカギ

    毎週金曜日に一首評と短歌を隔週で交互に掲載します。

最近の記事

週刊タカギ #18

ご無沙汰しております。高城顔面です。 少し長い春休みから帰ってまいりました。 本日は4/26(金)。短歌を掲載します。 『春の空想/現実』 End of World ひとつの生きものとして真夜中の桜並木は さくらばな このひと晩のあいだにも降りやむことのない雨として どこにでも行けたはずだろ パーカーのフードにたまる花びらを見る まどろみの街に息づくひとびとの自由をつくるわたしの眠り 藍色のインクは意味を飛び出してとても静かに滲んでいった ふるさとの料理のように「こん

    • 週刊タカギ #17

      こんばんは。高城顔面です。 怒涛の年度末!年度初めまで乗り切りたいところです。 本日は3/22(金)。一首評を掲載します。 浜田康敬の第六歌集より。浜田は1938年生まれ、北海道出身で、現在は宮崎県在住の歌人である。 まず今回引いた歌について。歌集の序盤に置かれている、吹っ切れた詠みぶりの歌である。この歌集の中での浜田の歌の姿勢は、基本的に「身の丈」のことが詠まれることが多い。その姿勢は奥村晃作などにも通じる雰囲気を併せ持つが、初期の浜田の歌は、生活の中での鬱屈・閉塞感を

      • 週刊タカギ #16

        こんばんは、高城顔面です。 眠くて帰宅後2時間も眠ってしまいました。 こうなると無限に眠れそう。 本日は、3/15(金)。短歌を掲載します。 『最近』 「心が弱い」ってことにしておいてください。 真剣な風刺を見れば感情の行き場がひとつなくなってゆく 悪は悪であるとして。 感心を持たせるために少しだけ他人をけなしていくって正義 わからない。 つぎはぎの心に刺さりこんでゆく いまのわたしはたたかえません 生きることはできている。 「這い上がれ!」という声がする もうこ

        • 週刊タカギ #15

          こんばんは。高城顔面です。 最近は図書館通いをよくしています。 とはいっても、調べごとをするのではなく、ノンジャンルで読みたい本を読んでいるだけ。 これじゃあ、書きものも進まないわけです。ほどほどにしよう……。 本日は、3/8(金)。一首評を掲載します。 笹本碧の歌には、意表を突かれることが多い。 「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがあるが、それに似たようなバタフライエフェクト的な「そうきたか!」と思わせられる動きを、一首のなかの事物のはたらきから感じてならないの

        週刊タカギ #18

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        • 週刊タカギ
          18本

        記事

          週刊タカギ #14

          こんばんは。高城顔面です。 わたしは札幌に住んでいるのですが、先日、部屋唯一の暖房器具である、部屋備え付けのストーブが故障しました。 すなわちそれは、修理が完了するまで、夜中は一桁台まで下がるこの季節の室温の中で眠らなければいけないということ。 結局、代替えのストーブが届くまでの一晩だけで済みましたが、もう二度と経験したくない寒さでした。ほとんど眠れないっすよ……。 本日は、3/1(金)。短歌を掲載します。 (無題) 想像の沼に浸って風邪などをひかないようにあかるく暮

          週刊タカギ #14

          週刊タカギ #13

          こんばんは。高城顔面です。 好調の後には不調が訪れるもので、2日半ほど家で寝込んでいました。 何事もバランスが大事……! 本日は2/23(金・祝)。一首評を掲載します。 著者にとって第二歌集となる、私家版の歌集より。第一歌集『harako』(2022,TNYM books)はAmazonのオンデマンド出版システムで販売され、内容も、【愛】、【アイス】、【秋茜】……あいうえお順の項目ごとで歌が並べられているという、「岩倉曰短歌辞書」のような一風変わった試みのつくりであった(

          週刊タカギ #13

          週刊タカギ #12

          こんばんは、高城顔面です。 ここ最近体調がよくて、積読をかなり消化しました。 2年越しに部屋の床が見える日も近そうです。 (追伸:更新忘れて寝てました…) 本日は2/16(金)。短歌を掲載します。 (無題) 夢を見た。夢はよくわからないのが常。 森はダメ!森でみている夢だけは何をやってもぜんぜんダメで 早口の老教員のかろうじてわかる程度のロックの話 起きたくもないのに目が覚めた。 午前四時、目覚めることはこれ以上ないほど愛することができない ふがいない兄なりにしたア

          週刊タカギ #12

          週刊タカギ #11

          こんばんは。高城顔面です。 最近疲れやすくてたまらないです。やっていくしかないか……。 本日は2/9(金)。一首評を掲載します。 こう言うとおこがましいかもしれないが、野澤頃さんは、わたしの友人のひとりだ。「ぽやん舎」という屋号で、普段はまんがやイラストを描いており、ふと思い出したときに、好きな音楽の話などをしたりする仲である。 そんな彼女の、いまのところ唯一の歌集が『#ffffff』である。手のひらサイズの手製本の一冊で、小さいながらも装丁が凝っている。歌集のタイトル

          週刊タカギ #11

          週刊タカギ #10

          こんばんは。高城顔面です。 今回から、毎週金曜日更新、自作短歌と一首評を隔週で掲載していきます。 今回めちゃくちゃ内容薄いです……。来週からがんばろう……。 本日は2/2(金)。短歌を掲載します。 (無題) オリジナルメンバーゼロで続いてくバンドのように惑いつづける 赤ちゃんが泣くSEを曲中に入れる程度の安い危機感 一瞥をくれる速度が早すぎて誰ひとりさえ理解できない 感嘆符使いまくりのメールから見える本音を取り出す作業 次回は、2/9(金)更新予定。一首評を掲

          週刊タカギ #10

          週刊タカギ #9(とお知らせ)

          こんばんは、高城顔面です。 はやり病、まもなく完治しそうです。大変だった……。 本日は1/29(月)。一首評を掲載します。 筆者の第一歌集より。望月裕二郎は、江戸弁をベースにした口語短歌という、現代短歌の中においても、かなり異端な文体を操る歌人である。 このほかに好きな歌を二、三引いてみよう。 どの口がそうだといったこの口かいけない口だこうやってやる そのむかし(どのむかしだよ)人ひとりに口はひとつときまってたころ 玉川上水いつまでながれているんだよ人のからだをかっ

          週刊タカギ #9(とお知らせ)

          週刊タカギ #8

          こんばんは、高城顔面です。 ちょいとはやり病にかかっちまいまして、自宅で大人しくしています(快方に向かいつつありますのでご安心ください。) とりあえずできている短歌を載せてみます。 本日は1/26(金)。短歌を掲載します。 (無題) すずなりに生る感情をもぎ取ってむやみやたらにぶつけて遊ぶ どうすればいいんだろう。 対価ってなんなんでしょう とりあえず死なないために働いている つぎはぎを縫うようにしてつくられた心をほどかないよう話す あなたからつむぎ出される苦しさを

          週刊タカギ #8

          夏を捨てる

          変わり映えするはずのない街にいた記憶を捨てるまねをしていた あふれゆく記憶のなかであなたさえ携えてゆくこともできずに ひそやかに横切る風のスピードに歩調をふたり合わさずに行く 遠回りばかりの僕が手渡した気持ちはすでに腐りかけてた 空想の街はあなたが泣いていることを除けば完璧でした 七色の水面の中で乱反射していた夏がもう見えないや 憂鬱な季節をひとつ越えるため書き留めていた手紙を捨てた 縮こまる部屋の外にはまた別の展開がある街があるから (2024年1月24日に

          夏を捨てる

          週刊タカギ #7

          こんばんは、高城顔面です。 体調がすぐれないと眠るしかないのが玉にキズ。めちゃくちゃ寝てましたし、この後も寝ます。 本日は、1/22(月)。一首評を掲載します。 著者の第一歌集より。連作「『黄金の月』」に所収。 (わたしの記憶が正しければ)著者はすでに短歌から離れてしまっており、わたしがこの歌集を知ったのも、錦見映理子『めくるめく短歌たち』(書肆侃侃房,2018)でその中の一首が紹介されていたことがきっかけだった。 連作の題である『黄金の月』は、おそらく1997年リ

          週刊タカギ #7

          週刊タカギ #6

          こんばんは、高城顔面です。 とかくこの世は難しい。そのひとことに尽きます。 本日は1/19(金)。短歌を掲載します。 (無題) Recorded 死んでしまったわかものの声がおしなべて過去形になる マヨネーズ味にしてゆくポテサラに「画一的」の一語が浮かぶ ささやかな抵抗としてかけてみるウスターソースのほどよい濃度 asleep まぶたの裏に街があり誰もがそこで笑うのだろう レーズンを避けるみたいに人間を嫌えることも才能ですか? 高尚な考え事のその前にごはんを食べ

          週刊タカギ #6

          週刊タカギ #5

          こんばんは、高城顔面です。 この数日、積雪がひどく、雪かきばかりしていて、左腕が痛いです。 あしたも雪。実に不安です。 本日は1/15(月)。一首評を掲載します。 著者の第一歌集より。この歌が収められている連作「舞台TOKYO」は2007年度の角川短歌賞の次席に選出されている(巻末の藤島秀憲による跋文より。歌集に収める際に大幅に歌を削ったとのことで、歌集内に連作として収められているのは二十首になっている)。 連作のタイトルからもうかがえるように、これは東京を舞台にした

          週刊タカギ #5

          週刊タカギ #4

          こんばんは。高城顔面です。 札幌は雪です。水餃子スープを大量に作りました。 ひとり暮らしなのになぜか大量に同じものをつくる癖があります。 本日は、1/12(金)。短歌を掲載します。 (無題) 『ミッシェル・ガン・エレファント THEE MOVIE -LAST HEAVEN 031011-』 何度でも蘇らせる、その夜を。たとえ世界が終わるとしても。 GEZAN『かつて うた といわれたそれ』 ひとことでまとめるならば「混沌」というほかのない音のかたまり 未消化の感情ば

          週刊タカギ #4