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マメまめ通信 vol.11 北アルプス高橋農園通信 

今までお客様向けに紙でお届けしていた農園通信はペーパーレス化などの理由から、このvol.11よりネット上のここで公開する形にしました。
お伝えしていくテーマは今まで同様に、農園の様子や思い・考えていること、農業界のニュースなどを掲載していきますので、当農園のお客様も、フォロワーの方も、たまたまアクセスされた方も、よかったらご一読ください。

北アルプス高橋農園は、それぞれに20数ヵ国を旅した体験を持つ夫婦が営んでいる農園。2017年に長野県松川村に移住し、2020年に新規就農。旅中で得た様々な気付きをエッセンスに、”八方良しのモノづくり”をテーマとして五穀を栽培と販売を生業とする。人と社会と地球にやさしい日用品の取り扱いもあり。


暖かすぎ(?)な、春到来 耕作の規模が増えます

今年の安曇野は3月上旬から日増しに暖かくなっています。例年は三寒四温を繰り返しながら4月に向かっていく印象ですが、最高気温が日増しに高くなる日々。気温15度を超えると小さな虫たちをよく見かけるようになります。
この春から耕作面積は70aほど増えて、合計300a(3ha)弱になってきました。農地をできるだけ集約化し、効率化も図りつつの規模拡大です。と言っても新規就農者にまわってくる農地は、農地でいうところの2等地、3等地。1枚が小さく畦草刈りが大変な場所が多いです。それでも貸してもらえるだけ有難い。与えられたチャンスを活かし切ろうと思います。
今年も栽培品目は米、大豆、麦を中心とし、モチアワ、タカキビなどの雑穀類も継続して栽培していきますので、実りの秋を楽しみにお待ちいただければと思います。

また出た!怪しい食べ物情報 ~コオロギや培養肉?~

最近僕の周りでは、”コオロギ食”が話題になることが多いです。
コオロギは中国で漢方として存在するそうですが、妊婦は絶対に採ってはいけないという代物。うちの村でも村議会や行政に対して意見を陳情するグループがいくつかあったそうです。全国的にも、これを常食してはいけないという流れは強い一方で、すでにPasco社(製パンメーカー)の一部のパンにコオロギパウダーが練りこまれているという事実もあります。加工食品はよく選んでいかないと、知らぬ間に口に入っているという事態になりかねません。コオロギパウダー20%配合!の食パンとかみなさん食べたいですか?。。。ご注意ください。
そして、培養肉などの細胞農業が世界のあちこちで始まっています。例えば牛肉だと、牛の細胞を採ってきてタンクの中で培養するとお肉が出来上がる。牛を殺さなくていいし、メタンガス入りのげっぷも出ないし、飼料も飼育する牧場もいらない。環境にも優しいしオールオッケーじゃないか!という理論だそう。
しかし僕の信頼する印鑰(いんやく)先生(※1)はこれを否定。裏を調べると、やはり安全性は検証されていない。世界を巻き込んだ新たなビジネスとして仕掛けてきている人たちがいる。また、細胞を培養するタンクに栄養源として入れるのが、遺伝子組み換え作物(GMO)だそうです。
海外ではGMOを原因に健康を害した被害者が、裁判で次々勝訴していて、GMOは売れなくなってきている流れです。(にもかかわらず日本は残留農薬基準を緩和してまでGMO食品爆買い継続)そこでまさに、パッケージだけ変えて再販。中身はそのまま。というような商法。騙されてはイケマセン。

※1 印鑰智哉(いんやくともや)プロフィール
アジア太平洋資料センター(PARC)、ブラジル社会経済分析研究所(IBASE)、Greenpeace、オルター・トレード・ジャパン政策室室長を経て、現在はフリーの立場で世界の食と農の問題を追う。ドキュメンタリー映画『遺伝子組み換えルーレット』(2015年)、ドキュメンタリー映画『種子ーみんなのもの? それとも企業の所有物?』(2018年)いずれも日本語版企画・監訳。『抵抗と創造のアマゾン−持続的な開発と民衆の運動』(現代企画室刊、2017年)共著で「アグロエコロジーがアマゾンを救う」を執筆。
OKシードプロジェクト事務局長、民間稲作研究所理事


今年は国際雑穀年 雑穀を食べてみよう

本年2023年はFAOが定めた国際雑穀年
日本でも関東の多摩川沿いで発展した"雑穀街道"の保全・復活を一つの軸として、雑穀の栽培と食文化を見直す雰囲気が広がっています。

高橋農園では、おととしから小規模に雑穀類の栽培を始めました。
昨年は「未来食つぶつぶ」さんに品質を認められ、数十キロのタカキビを出荷することができました。一方で雑穀類の地産地消も広げることができつつあります。月に一度、松川村のヒカリヤマネコさんで開催される雑穀食の体験会を中心に、うちの雑穀の直販も広がっていきそうです。
ご興味のある方は、ぜひ一度アクセスしてみてください。実はお米と肩を並べるスーパーフード、雑穀たちの美味しさとエネルギーを感じることができるはずです。

粟とか稗とか黍の種を蒔いて、栽培して、食べるということに、次の時代を健全に生き抜く希望を感じています。
その点が線になり、輪になり、そして和となる。
松川村でも始まっている最先端、 #松川村ミレット のハッシュタグを合言葉にまずは点を増やしていきます。ご注目ください。

フェイスブックリンク↓
ヒカリヤマネコ by山﨑邸 和∞手 | Facebook

未来食つぶつぶ とは?公式HP↓
未来食つぶつぶ | つぶつぶ (tsubutsubu.jp)


未来は田畑にある

今、畑には厳しい冬を乗り越え、再び成長を始めた小麦の姿があります。見た目はまだ、"ただの草"

うちの小麦の大半は醤油麹の原材料になっています。醸造店に販売するのではなく、安曇野地域の「手作り醤油」コミュニティのみなさんがそれぞれに軒下などの日向で醸造し、搾り、食卓で活躍する醤油を手作りしています。(50世帯ほどが参加)うちのグループでも 搾り・ビン詰め・仕込みがありました。

小麦の種まきから、自らの口に入るまでの流れを数年経験させてもらって気づいたことは、この "ただの草" = "未来の自分たち" という事実です。
今から2年後には、このただの草が、うま味たっぷりのお醤油となってビン詰めされる、そしてそれを皆が笑顔で持ち帰っていく。
人間の身体は食べた物で構成されていますから、お醤油もまた細胞の一部となるのです。

文字にしてみると当たり前感がありますが、小麦が小麦に見えるのか、小麦が自分たちの未来に見えるのかでは、僕自身の感覚ですが田畑と向き合うエネルギーがまるで違うように感じます。

私たちの未来は、確かにここにあります。

と言うと、ちょっと格好良すぎかもしれませんが、少なくとも僕の足元にはお客さんや仲間の未来が確かに存在しています。

高橋農園から流れ出た食べ物を口にした人が、穏やかで優しい社会をデザインしていってくれることを期待して、今年も田畑に向かいます。


みんなで豊かに生きましょう。
∞ 2023年3月27日 北アルプス高橋農園 高橋克弥 ∞


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