日経=100年安心バカ?

今朝(4月7日)日経を開いてみたら、8面の記事(下のリンク)と「100年安心は砂上の楼閣」という見出しが目に入りました。日経は、いまだにこの様な誤ったキャッチフレーズを使って読者を不安に陥れようとしているのかと、がっかりしてしまいました。

記事の中では「100年安心プラン」についての解説が付されていますが、これもどうも正確ではないと思います。

皆さんには、年金の制度や財政について、メディアや政治家によって歪められていない中立な立場で解説している、「ちょっと気になる社会保障 増補版」(勁草書房、権丈善一著)をぜひ読んで欲しいと思います。

その中で、「100年安心プラン」という言葉が政治家の失言によって生まれ、年金不信を煽ろうとする人々の常套文句として使われてきたことが解説されています。まぁ、普通に考えれば、これから100年先のことまで絶対に大丈夫なんて言えるわけがないことは誰でもわかるし、したがって政府が100年安心などどいったことは一度もありません。

権丈先生は、100年安心という言葉を使って年金を語る人々を「100年安心バカ」と呼び、年金論者としては信頼に値しないと断じています。日経も2016年12月に7回にわたって、「公的年金保険の誤解を解く」というタイトルで権丈先生のコラムを掲載していながら、いまだに100年安心というのはどうなんでしょうか、、、、

上で紹介した本はお金がかかるので、という人は日経電子版の会員であれば、まず新聞に掲載されたコラムを読んでみてはいかがでしょう。ただ、これも不思議なことに、日経電子版のサイト内の検索でコラムのタイトル、あるいは権丈先生のお名前を入れても、コラムは出てきません。外部の検索エンジンにタイトルを入れると出てきますので、試してみて下さい。でも、ちょっと変ですよねぇ(以下自粛)。

あと、興味のある方は厚労省のホームページで公表されている公的年金の財政検証についても見て下さい。マンガによる解説もあります。財政検証は、5年毎に年金財政の将来シミュレーションを行っているもので、直近では2014年に行われています。その中で、将来シミュレーションを行う期間が100年とされており、これが100年安心という誤解のもとになっています。財政検証は100年後を予測するものではありません。このような超長期のシミュレーションを通じて、年金制度や財政の問題点を見つけて、それを改善していくための作業なのです。

昨今の働き方改革における厚労省のデータの問題を取り上げて、頭ごなしに信用ならんと決めつけずに、まずはメディアや政治家のフィルターを通さない生の情報やデータを見て下さい。かなり詳しく、細かい情報やデータが公表されています。そして、それが私たちの老後の生活設計をする上でも役にたつのではないかと思います。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29094500W8A400C1000000/

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