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日本のオッサン社会の生きづらさ〜海外在住アラサー女の視点〜

1か月前、珍しく長期の日本出張が入った。
久しぶりの日本で、あまりにも変わっていない日本のオッサン社会に正直驚いてしまった。オッサン社会は、単純にここでは4,50代のオッサンが会社の文化を作っている社会としておきたい。

到着して3日後、幹部の打合せに同席したときには、テーブルに座っているのは全員オジサンだった。私はテーブルの後ろにある席にいたのだが、後ろの席も含めて私が唯一の女性だった。
皆同じような年代で、似たような表情をして、似たような言葉を話す。何たる同質性。
そこで、アラサー女の私の声が万一にも聴かれるとはなぜか思えなかった。

スタッフレベルの別の打合せでは女性が発言すると、オジサンが遮って、彼女が言おうとしていたことを乗っ取った。彼女がその担当であるにも関わらず、である。
そして、誰もオジサンのその行為をいさめたり、彼女に発言を促したり、違和感を持っているそぶりを見せたりする人はいなかった。
この光景を日本にいる間に3回ほど見た。多様性を尊重しようという意識の強い会社であれば、責められる行為にもなる。

それから、セクハラに対する意識のあり方。
セクハラ問題を巡るニュースは後を絶たない。会社の対応も変わってくる中で、オジサンたちの言動は変わっていると思う。しかし、である。中には、言動には注意していても、意識は変わっていないと感じる人も多い。

酔っぱらうとやたらとボディタッチが多くなる人、女性らしい同僚を名指しして、女性はAさんのようであるべきと平気で言ってくる人、怒鳴られて泣きそうになっている女性社員に対して、これだから女はとぼそっと言う人…

もちろん少し前だったらOKだったことが急にダメになって、オジサンたちも苦労しているとは思う。そして、女性だからと言って嫌な思いをする機会は減ったと思う。
しかし、やはり意識が変わっていないとふとした瞬間に出るのである。

それから、別の問題もある。
セクハラへの目線が厳しくなり、正しい距離感が分からない男性社員は、女性社員とのコミュニケーションに消極的になっているように感じる。男性側の難しさがあることも理解しつつも、これは、オッサン社会でキャリアアップを目指す女性にとっては致命的だ。メンターを女性に限れば、必然的に上層部にいる人は少なくなる。

オッサン社会に生きる日本女性は、こうした小さな目に見えにくいことの積み重ねで、自分らしく挑戦する自信を徐々に奪われていってしまうのではないだろうか。

私は、20代の半分近くを海外で過ごしている。その中で、日本とアメリカやヨーロッパで女性として生きることに期待される役割に違いがあり、オッサン社会の常識が常識ではないことは身をもって分かっている。
しかし、同時に、日本生まれ日本育ちの生粋の日本人なので、オッサン社会に戻ると、オッサン社会で期待される女性像を部分的にも無意識のうちに演じていることに気づく。会議では手を挙げない、多少ボディタッチあっても角が立つから強くは嫌がらない、化粧を頑張る等…あげればきりがない。
それくらい、社会の力はやはり強い。しかし、オッサン社会じゃない常識を知っていることは、自分らしく生きる武器にはなる。

だからこそ、もし、オッサン社会に違和感を抱く女性がいたら、私は海外に出てみることを一つのアイデアとしてお勧めしたい。

日本のオッサン社会は若い女性にとって自分の能力を発揮することが難しい環境だと思う。自信が持てなかったり、うまく能力を発揮できなかったりしたら、それがあなた個人が悪いのではなく、環境に理由があるのかもしれないのだ。

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