稼げる!新農業ビジネスの始め方

 山下弘幸著「稼げる!新農業ビジネスの始め方」を読みました。著者は実家が農家で、後を継いでから紆余曲折あって現在農業参入コンサルタントになられました。現在は株式会社農テラスの代表取締役です。

 農業に企業が参入すると言われるようになって久しいですが、目覚ましい成果をあまり聞いたことがありません。しかしながら、本書には年商1億円から10億円なんて言う事業者が紹介されていました。それぞれ作付面積と年商を比較してくれるデータがあると分かりやすかったのですが、作付面積については一部のものだけでした。

 「月読み栽培」なんていう栽培法をとり入れている、いや、編み出している「にしだ果樹園」というところが紹介されていました。「月読み栽培」とは、園内の草刈りや枝の選定、過日の収穫のタイミングなど、栽培管理を月の満ち欠けを基準に行っているとのことでした。確かに月の重力によって海の干満が発生するなんて言いますから、地球上のあらゆるものが影響を受けているはずです。そうした影響を、果実の栽培に活かすなんて言うのは、なんともロマンチックというか興味深いというか、コレについての本が出ていたら読みたくなってしまいます。

 「独立の前に勉強しておく9つのこと」なんていう具体的な章がありました。その中の4番目に「物流の仕組みを学べ」とありました。「お届けするための配送・運送の段取りや、運賃・送料は、発送側である農業者があらかじめ負担しておかなければなりません。」とありました。我々運送業界にいるものとしては当たり前のことですが、この辺りについて考えずに商売を始めてしまうと、結構大きな誤算となってしまうのでしょう。ここでは、触れられておりませんでしたが、地産地消できるのが一番良いのですよね。下手すると商品価格よりも高い物流費をかけて遠方に送るなんて言うこともあるでしょうから、エリアを限定する必要があると思います。

 シェアリングエコノミーについても触れられており、農業機械などは他の農家と共有するべきとありました。これも、物流が伴うお話で、機械の回送は意外と大変だったりします。地続きの畑ならシャアも簡単ですが、遠方になると回送するたびにお金がかかって、上手く回らなそうな気もします。しかしながら、そのあたりも著者はしっかりとノウハウをお持ちなのでしょうから、本書から、更に引き合いが増えればこの上ないでしょうね。

 弊社の畑もいろいろと考えなければいけない中で、大変勉強になりました。

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