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SNS時代の表現

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SNS時代の表現について書いた自分の文章を集めたマガジンです。
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2021年2月の記事一覧

祈りや願いとしての風景写真(あるいは「パーソナルランドスケープ」と言うテーマ)

2年ほど前から「パーソナルランドスケープ」というテーマで写真を撮りためています。英語にしているのは、その感覚を伝える適切な単語が日本語で思い浮かばなかったからで、日本語に無理矢理するならば「人間の存在を感じる風景」とでも言えばいいでしょうか。痕跡といってもいいかもしれませんし、「そこに人がいて欲しい風景」とも言えますし、「いつか人がいたかもしれない風景」という感触も包含します。この感触を説明できないので、英語に逃げているわけです。 こんなことを考え続けているのは、同い年で最

SNSでバズる写真の分析

まず最初に、今回は僕のSNSの利用スタンスを明示しておきたく思っております。それは「フリーランスのクリエイターとして、現状ではSNSは使わないではいられないし、実際に恩恵も多いけど、SNS特有の数多くの問題点には意識的であるべき」というものです。 今日はそのようなスタンスであることを改めて表明してから始めるべき話題だと思っています。というのも、今回の話は表題の通り、「SNSでバズる写真の分析」という、いかにも誤解を受けそうな内容だからです。上記スタンスであることを前提として

SNS時代における「人間のコモディティ化」

今日は最初にまとめを書きますね。SNSと表現にまつわる「ある現象」について、1月頭にこんな記事を書きました。ずいぶんたくさんの人に読んでいただきました。 この中で、「コモディティ」という言葉を取り上げました。経済用語ですが、「代替可能な製品」という感じの意味です。2020年代は、あらゆるクリエイティブや表現が、SNS上において「コモディティ化」の危機に晒され、その速度は加速化される運命にある、というようなことを書きました。これはたぶん避けるのが難しい未来だと思っています。

SNSの本質から見るクラブハウスの特性

クラブハウスという単語を耳にしたことがない人は、おそらく日経comemoの読者にはほとんどいらっしゃらないだろうと思う。そう、現在日本を席巻している新しい音声SNSだ。その拡大と認知の凄まじい速さは、それ自体考察の対象になる程、特異なものであることはすでに多くの識者が指摘されていることだが、今日はクラブハウスの特性を、SNS(ソーシャルネットワーキングシステム)の本質から考察してみたい。 1. SNSの縦軸と横軸SNS自体もまた歴史がそれほど深いわけではないが、その本質を二