闇の先へ9

妊娠20ヶ月の妊婦、という謎から始まる物語を知っているだろうか。京極夏彦の姑獲鳥の夏という小説だ。これを高校生の時に読んだ俺は、随分とその後の考え方に影響を受けた。この世界をありのままに見ることは不可能である、という感覚。

それを今、再度言葉にして伝えようとしている。しかも写真の本でだ。

調子が良くて笑いそうになる。全く意味が分からず、読者を説得できるのかどうかも分からない。ただ、これは俺にしか書けないし、成功しようと失敗しようと、これは俺の本になるだろう。楽しみで仕方ないし、今まだ俺の意識と知性がある程度しっかりしている状態で本を書くことができて俺は幸福だ。

闇の中にいるにも関わらず心は軽く、目はよく見える。見据える闇は、ヒストグラムの左端をはみ出ていない。じっと目を凝らすと、ほんの少しその闇の中に存在のグラデーションが見える。それこそ写真と世界の醍醐味だろう?

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