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加藤拓己にとって2つの忘れられない最後の早慶戦。大怪我を負った男が早稲田、エスパルスへの感謝と周りの大切さを感じながら全うした裏方の真実。


「僕は早稲田を、ア式蹴球部を誇りに思っているんです」。

10月24日、西が丘サッカー場で早慶戦が行われた。

この試合の直前、早稲田大ベンチで一際ガタイのいい、エンジのジャージを着たスタッフが気合漲った表情で選手たちに声をかけたり、手に持ったバインダーに目をやったりと、忙しなく動いていた。

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この男は早稲田大4年生のFW加藤拓己。

2年前の早慶戦では試合終了間際に気迫のダイビングヘッドを決めて、一躍ヒーローになった男は、今年の早稲田大の10番を背負う絶対的エースストライカーであり、来季は清水エスパルス入りが内定している。

そんな彼がなぜ裏方に回っているのか-。

これは彼の怪我をしてからこれまでの完全なるドキュメンタリーである。

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今年の7月1日、雨が降る中で行われチームでの紅白戦中に、加藤はボールを持っていたGKにプレスをかけに行ったとき、切り返したGKに向かって左足を踏み込んだ瞬間に雨でグリップが緩んだ。

慌てて踏ん張ろうとした瞬間、左の膝からゴリゴリっと鈍い音がした。

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