百寿

 自己紹介をするとき、特技は人(特におえらいさん)に嫌われることと言っています。それは間違いないことですが、全員に嫌われるわけではありません。世の中には奇特な人がいるもので一緒に遊んで下さる人も少数ですがいらっしゃいます。いくつかの趣味を持っているのですが、その仲間です。そしてその仲間たちとの飲み会が多少あり、最高の時間です。その飲み会の1つに99歳の男性と92才の女性との集まりがあります。そして不思議なことにこの2人は昔はおえらいさんでした。男性は商工会議所内に青年会議所を四国で2番目に作って、その長となったそうですし、女性は大きな病院長の妻だったのです。ただ、私と知り合ったのは趣味の会ですが、男性は子に家業を譲られていましたし、女性は夫が亡くなって病院を閉院した後のことです。飲み会の話ではそんな昔の話になることもあります。特に男性は仕事だと遊んだ話をされることも多いです。私も「知り合いになるのが4~50年遅かったですね、その頃知り合いになれていたら良い思いをさせてもらえたのに」と言っています。もちろん心の中では、その頃出会っていたとしたら、相手にはされなかっただろうと確信しながらですが。
 その男性の誕生月が2月でした。満99才ですから、百寿の誕生日になりました。それを口実に飲み会を設定しました。そんなお年ですが、意識はしっかりされていて、普通に話が通じます。さすがにお体は昔のようには行きませんが、それでもゆっくりとなら支えもいらないからすごい人です。途中からカラオケになります。この会は15年以上続いていますので、昔に比べると、声・音程の衰えは仕方がありません。そしてカラオケの最後は、谷村新司さんの昴と決まっていて、これは今も上手に歌ってくれました。そして3人とも楽しい時間を過ごすことができました。私が現役の頃には、他の教員(特に管理職)とは酒を一緒に飲みたくないので、飲み会の時期になると断る理由がないかを先ず探していたのとは大違いです。酒は楽しく飲みたいからです。やけ酒・付き合い・憂さ晴らしでは飲まないことにしていました。
 昔なら、この2人には相手にされなかっただろうと書きましたが、その頃には私が入れない地域の上流社会に属していましたから。今のような飲み会は組織を抜けた人や個人として参加している人の集まりの中でしか楽しめません。えてして昔の組織内で重要な役職についていた人は、退職したり組織内だけでしか通用しない上下関係を、何時までもどこでも通用すると勘違いしていることも多いのですが、この2人はそういう勘違いがないのでお付き合いできているのだと思っています。昔は毎月行っていたのですが、少し間を置く事が多くなりました。次は花見を兼ねて4月の私の誕生会の予定でいます。私も傘寿になりますので、皆さんよりもずっと若い30(さんじゅう)になりましたと、駄洒落混じりに行う予定です。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?