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ダービー馬が秋初戦は好発進しても2戦目以降が続かない理由

秋競馬が始まり、この時期になると凱旋門賞関連の話題を目にすることが多くなる。今年はサトノダイヤモンドとサトノノブレスの2頭が出走することになり、前哨戦のフォア賞こそ惨敗してしまったが、それでも大きな期待をしないわけにはいかない。

昨年の凱旋門賞を思い起こしてみると、サトノダイヤモンドと同世代のダービー馬であるマカヒキの敗北に、言葉を失った競馬ファンも多かったはず。珍しくレースで行きたがり、折り合いがつかなかったことに加え、馬群の外々を回されて脚を失ってしまった。最後の直線に向く頃には、すでに余力はなく、クリストフ・ルメール騎手のゴーサインにも反応しなかった。展開の綾やコース取りによって敗れたということではなく、外国馬とは力差が開いていたということでもない。マカヒキ自身が力を出し切れる状態になかったという負け方であった。

父ディープインパクトの敗戦から10年の歳月を経て、過去の凱旋門賞における日本馬の敗戦を糧に、考え得る限りの対策が施されていたことは確かである。3歳馬にとって有利な斤量設定になっていることを踏まえ、3歳のうちに海を渡った。ぶっつけ本番では厳しいため、前哨戦の二エル賞を使った。フランス競馬におけるコースや馬場、戦略を知り尽くしているジョッキーに手綱を委ねた。全幅の信頼と安全が確保されている厩舎に馬を入れた。できる準備はすべて行なっての挑戦であった。

ただひとつだけ、どうしようもない不安はあった。その不安とは、日本ダービーを勝ったあとは、目に見えない疲れが出てしまうということである。過去の日本ダービー馬を思い返してみると、その年の秋シーズンは、不振に陥っている馬が多いことに気づく。ディープインパクトやオルフェーヴルといった3冠を獲るような馬は別にして、ほとんどの普通のダービー馬は、極度の疲労から回復するのに時間を要して秋シーズンを棒に振ってしまったり、ひどいケースだとさっぱり走らなくなったり、怪我をしてそのまま引退してしまうこともある。日本ダービーにおいて、究極の仕上がりで極限のレースを強いられたことで、肉体的にも精神的にも燃え尽きてしまうからである。

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