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休養明けの馬の取捨は、その休養への入り方も考慮すべし

競走馬はレースの間に休養を挟むことで心身を回復させる。トンネルの入口から入り、出口から出るように、休養に入り、休養を終えてレースに出走することを繰り返す。言葉にすると簡単に思えるが、実はこの休養に入ることに伴う問題は複雑であり、関係者たちが頭を悩ませるところでもある。それは休養中の過ごし方が休養明けの成績に直結するからであり、さらにさかのぼって考えてみると、休養への入り方が休養中の過ごし方、そして休養明けの成績に大きな影響を与えるからである。

休養への入り方の難しさを私が知ったのは、2005年の宝塚記念のこと。東の横綱であるゼンノロブロイは、2004年の秋シーズンにおいて、テイエムオペラオー以来、史上2頭目となる天皇賞・秋→ジャパンカップ→有馬記念という3連勝をやってのけたのち休養に入った。これだけの偉業を達成した名馬であり、たとえ休み明けであっても人気に推されたのは当然ではあったが、私にはゼンノロブロイが好走できるとは到底思えなかった。なぜなら、天皇賞秋→ジャパンカップ→有馬記念の3戦で激走したのちに休養に入り、ぶっつけで宝塚記念というローテーションは、2003年に凡走した同厩馬シンボリクリスエスのそれと酷似していたからである。

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