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【歴史小話】蕎麦とビッグマックで比較する江戸と東京の物価

先日、京都に行った際に学生時代から通い続けているラーメン屋さんに久しぶりに行った。
注文した品は40年近く前から変わることなく、今回も同じものを頼んだ。
歳のせいか若干胃もたれを感じつつ・・・。

驚いたのは値段が1.2倍以上に上がっていたこと。
注文した品が千円を超える日が来るとは思ってもみなかった。
給与水準が上がっていないので物価上昇はあまり意識して来なかった訳だが、身近な外食品の価格が上昇すると、さすがに物価上昇を身近に感じる。

江戸時代の蕎麦の価格

ところで、江戸時代と現代の物価を比較する際に、蕎麦1杯の値段が使われる。
蕎麦については、寛文年間(1661年~1672年)に登場した「慳貪蕎麦切り」の値段は1杯6文だったという記録があるようだが、落語「時そば」にも出てくる16文になった時期は諸説ある様だ。
一説には、享保年間(1716年~1736年)に半ばに登場した「二八蕎麦」の頃という説もあるが、寛政年間(1789年〜1801年)あたりに定着したと考えられている様だ。

私もこれまでは、蕎麦一杯を500円前後として、一文は500円÷16文=31.3円から、大凡一文は30円として換算していた。

物価統計を見ると

2022年12月の総務省の小売物価統計調査によると、東京都区部のそばの価格は679円となっている(全国平均は669円)。
そうすると、蕎麦1杯=16文が679円だとすると1文は「679÷16=42.4円」となり、江戸時代と現代の価値との換算基準を変える必要がありそうだ。

ちなみに、そばの全国平均価格は2015年1月から2022年12月までの8年間で586円から669円と83円の上昇したことになる。

そば(外食)全国平均の価格推移

ビッグマック価格の上昇は?

ところで、海外との物価比較に使われているビッグマックの国内価格はこの8年間でどの程度推移したのか改めて確認してみると、2015年5月から2023年1月までの間に370円から450円に上昇している。
(※2015年5月~370円、2016年9月~380円、2018年2月~390円、2022年9月~410円、2023年1月~450円)

ビッグマックの場合は価格据え置きなどの取り組みもあったのだろうが、2022年9月以降、急激ではあるが価格上昇を示している。
ビッグマックの価格上昇も併せて考えると、1文は40円台で換算する時代になったということなのだろう。

ちなみに、仮に江戸時代にビッグマックがあったら、値段は10文~11文程度だったということになる。

ビッグマックの国内価格推移

人夫の日当は?

もう少し話を続けて、最低賃金で現代と江戸時代を比較してみる。
現在の東京都の最低賃金は、時間額1,072円となっている。
8時間労働の場合、1,072円×8時間=8,576円となる。
これを銭換算してみると、8,576円÷42.4円≒202文となる。
江戸中期の人夫の日当は200文ということのようだから、大凡同程度のように見える(一日の労働時間はさておくとして・・・)。

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