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詩『蝉の話』

蝉が居ないことに今日気がついた
しばらく涼しかったから
今はもう秋だとでも思っていたのだろうか
いや、居ないとも限らないのかもしれない
もしかしたら鳴いていないだけなのかもしれない
居なくなった途端に恋しくなって、寂しくなって
私は蝉を探そうとする
様々な虫の音の奥に 車が駆けていく裏に
朝焼けが部屋を照らすまで
私は蝉を生かそうとする
まだ夏は続いていると思い込もうとする
私は夏を探そうとする
生かそうとする

きっと蝉は鳴いている
私が眠っている頃に
きっと夏は生きている
私の去った日常で

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