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専業主婦はキャリアが断絶する?自分の「キャリア」は自分で決める

10年前、私は専業主婦だった。約5年間の専業主婦経験中、正直に言うと「もう私のキャリアは終わった」って思っていたし、働きたい気持ちを抱えて、でも動けずにずっとモヤモヤしていた。周りを見ると、20代半ばの友人たちは仕事に打ち込んでいて、みんながみんなキラキラして見えたし、「私もそうなっていたかも」「なんでこうなれる道を捨ててしまったんだろう」と後悔したこともある。今日はそんなキャリアとの向き合い方についてです。

「キャリア」=職務経験だけではない

そもそも、「キャリア」とは一体何のことを指すのか。厚生労働省の「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」のページには以下のように書かれている。

「キャリア」とは、過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖を指すものです。「職業生涯」や「職務経歴」などと訳されます。
出典:厚労省サイト

この定義だと、専業主婦や専業主夫、また、家族の介護にあたって仕事をしていない人たちは「キャリア」が築けないともとれる。しかし、本当にそうなのだろうか、という疑問を抱く人も多いと思う。その点については、「計画的な能力開発の連鎖」という部分に注目すると、さまざまな経験が生かせる可能性を感じる。

例えば、『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』の著者でもある薄井シンシアさんはインタビュー記事、「専業主婦歴17年の52歳は価値ゼロなのか」怒りを胸に"元給食のおばちゃん"が社長に上り詰めるまで 誰もやりたがらない仕事を続けた」(プレジデントオンライン)の中で、以下のように語っておられる。

例えば、いかに効率的に家事をこなせるか、料理や掃除などの基本を徹底的に学んで合理化を追求する。献立は1カ月分を月初めに計画し、1日の家事スケジュールも決めて時間を厳密に管理した。経営者のつもりで費用対効果を考えつつ家計を回し、PTAやボランティアにも積極的に携わって人脈を作る。夫や娘と対等に話ができるよう、新聞や本から毎日多くの情報を仕入れた。これらの経験がのちのキャリア形成に大きく役に立つ。
「専業主婦歴17年の52歳は価値ゼロなのか」怒りを胸に"元給食のおばちゃん"が社長に上り詰めるまで 誰もやりたがらない仕事を続けた」

実際に薄井シンシアさんに数年前にお会いしたことがあるのだけど、本当に素敵な方だった。そこでお話を聞けたことは、どんな道のりを歩んでも、それをキャリアにするかどうかは自分の行動や考え方ひとつで変えていけるんだと、希望を持てたきっかけにもなった。

キャリアはAかBではなく多様

約10年前に仕事を辞めた私には、「記者を続けるか」「記者を辞めるか」の二択しかなかったし、その選んだ道は二つに枝分かれしてそれぞれまっすぐ進んでいくと思えていた。「記者を辞めた私→辞め記者→キャリア断絶→もうろくな仕事はできない」と、超極端な思考を辿っていた。辞めてすぐの頃、友達に会っては「こんなこと言うのおこがましいんだけど、またいつか書く仕事がしたいんだ」とか「ウェブ記事を書いて、いつかYahoo!ニュースに転載されたいなぁ」とブツブツ言っていた。諦めからの愚痴で、まさか叶うなんて思っていなかったけど、「その後、叶うよ!イェイ!」と今あの時の自分に会ったら言ってあげたいなぁ。

当時の私は、子ども出産と育児、がんで闘病していた母の看病があったので専業主婦という道を選んだけど、その道を選んだ私は「専業主婦というキャリア」を歩んだと今は思える。「多様性」という言葉が広がっているけれど、キャリアも本当に多様化していると感じている。「辞める」か「辞めない」かの先には、「就職」以外の「開業」「起業」という道もあるし、就職にも正社員、アルバイト・パート、契約社員など色々な選択肢がある。今どんなキャリアを歩んでいるとしても、これから先にキャリアは自分で描いていけるし、多様なのだ。

他人のキャリアが羨ましい自分も認めてあげる

ただ、多様とは言っても35歳にもなるとキャリアは本当に多種多様だなと周囲を見て感じるところもある。新卒からずっと大手企業でキャリアを築いている人、政治家になった人、芸能の道を極めている人、専業主婦の人など、本当にさまざま。だからこそ、隣の芝が青く見えることもある。

私自身も、テレビをつけて同期の記者が活躍しているのを見た時とか、友達がバリバリ働いているのをSNSで見かけた時とかに正直もやっとすることもある。いいな、すごいな…って思うことはある。だけど、もしかすると私自身の発信やキャリア自体も、誰かにもやっとさせている可能性だってあると思うのだ。みんな違うからこそ、誰かを羨ましく感じることは誰にだって当然ある。それならばと、誰かのキャリアを羨ましがる自分自身も認めてあげるようにしてから、楽になれた。

「あなたのキャリアはあなただけのもの」って言ってハグしてあげるのだ、自分自身を。すると、羨ましがってしまう自分が、報われて、次にまた頑張る力を得ることができる。「あなたはよく頑張った」「よく頑張ってるね」って言ってあげられるのは自分だけなのだ。

自分のキャリアへの悩みから生まれた今後の夢

22歳で就職した私のキャリアもまもなく13年目。全然格好良くないし、バリキャリでもなんでもないし、いびつなキャリアだけど、今自分らしいキャリアを歩んできたなと思うし、自分のこれからのキャリアもとても楽しみだ。そして、最近新たな夢もできた。

今、PRコンサルタントとして「どうPRして、知らないものを知られるようにするか」を日々考えている。1対1のオンラインコンサルを月に10件以上行い、これまでに累計100回以上実施してきた。その中ではもちろんPRの相談に乗ることが多いのだが、それだけではなく、その方自身の未来を一緒に考えることが多々ある。個人のPRをしている方は特にそうで、知られるために、サービスを広げるためには自分自身のキャリアにも向き合う必要があるし、その相談にもたくさん乗らせていただけた。

だからこそ、キャリア支援にとても関心が高まっている。それが最近見つけた新たな夢。自分がキャリアに悩んできたからこそ、誰かが道を切り開きキャリアを築くお手伝いがしたい。働くことは生きること、生きることは働くことだからこそ、その人にしかできない仕事や、働きを最大限生かすことに力を注ぎたいなと思う今日この頃。まだまだ力不足なんだけど、人生を通してやっていきたいことだなぁと感じている。


家庭の事情や健康的な事情など、さまざまな事情で自分らしいキャリアを歩めない人もたくさんいると思う。でも、制限がある中でも、自分のキャリアは自分で作ると決めて歩む人の背中を押したい。そして、自分自身も自分らしいキャリアを歩んでいきたいなと、この年度終わりにそう感じています。

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