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防災目的で需要増加 ポータブル電源価格上昇


世の中の様々な値段がどうやって決まっているのかを解き明かす「値段の方程式」。きょうのテーマは防災目的で需要増加 ポータブル電源価格上昇」。 今週金曜日、9月1日は「関東大震災」が発生した日で 「防災の日」です。 そこで、きょうは防災用品として需要が高まっているポータブル電源がテーマです。

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜〜金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。

モバイルバッテリーの巨大版

「ポータブル電源ってどんなものなの?」という方に説明しますと、スマホのモバイルバッテリーを巨大にしたものです。家庭のコンセントで充電し、電気を貯めておくことができる大型のバッテリーで、消費電力の大きい家電を動かすこともできます。
キャンプやアウトドア、防災グッズとして購入する人が増えています。調査会社によると、国内のポータブル電源の出荷台数は22年に 115万台と推計しています。今後も右肩上がりで伸びていくと予想されています。

価格分析ツールを運営するオークファンによるとネットオークションの取引件数も増えています。

どんな人が購入しているのか、売れ筋の商品はどんなものなのか、メーカーに取材してきました。製造販売大手のジャクリ・ジャパン(東京都港区)の担当者は主力の購入者について、「30代〜50代の男性。家族連れが防災やアウトドア目的で購入することが多い」と話します。

大、中、小 様々な大きさのモデルがありますが、売れ筋は中容量タイプ。値段は8万4500円。スマホなら40回充電できるそうで、家族でも2、3日は
大きいものだと40万円を上回るものもあり、企業が災害時の非常用電源として使っています。

似たような用途としてはガソリンで発電する家庭用発電機もあります。ポータブル電源より高出力で、動かせる家電も多いのがメリットですが、燃料の備蓄が必要で定期的にメンテンスも必要。 作動音や匂いも気になります。 一酸化中毒を起こす恐れがあるため屋内では使えません。
ポータブル電源は作動音が静かで時間や場所を選ばず使うことができます。一方、停電時は貯めておいた電力を使い切るとソーラーパネルで 充電するしかないデメリットがあります。

価格帯は全体的に上昇しています。 希望小売価格を見るとジャクリの現行モデルは旧モデルに8,000円高くなっています。ポータブル電源のバッテリーの原材料であるリチウムの高騰が理由です。 2022年以降、電気自動車(EV)の生産が増えたことによるバッテリーの需要増や地政学的な要因で価格が上がっています。 ポータブル電源の市場拡大も要因の一つです。

きょうの方程式です。

ポータブル電源価格上昇=リチウム高+防災・アウトドア需要増

です。

電気料金の節約グッズにも

アウトドアや非常時の備えとして心強いポータブル電源ですが、使用頻度が少なければやや割高感もありますね。今注目されているのが節電グッズとしての活用です。別売りのソーラーパネルと組み合わせて、家のベランダで日中に電源に充電し、それを夜に使う。また電力会社の深夜料金プランと組み合わせて、料金の安い就寝中に電源に充電して、起きている時に使うなどの使い方もあります。 取材したメーカーの人によると、「家庭の電気のほとんどをポータブル電源で賄っているヘビーユーザーもいる」そうです。高騰が続く電気料金を節約できそうです。

ライフラインの「スマホ」に不可欠に

今後も価格上昇は続くのでしょうか。異常気象が常態化し、日本各地でも毎年のように風水害が起きています。停電も頻発しています。一昔前は防災グッズといえば、懐中電灯やラジオ、水などが定番でした。今はスマホが重要なライフラインになっています。十分な電源を常備する人が増えるでしょう。大容量化・超寿命化といったポータブル電源の性能向上に伴う価格上昇もあります。当面は価格上昇が続くのではないでしょうか。












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