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マラソンシューズ 高機能化で値上がり

世の中の様々な値段がどうやって決まっているのかを解き明かす「値段の方程式」。きょうのテーマは「マラソンシューズ 高機能化で値上げ」です。
3月3日にパリオリンピック代表の残り1枠の行方を左右する東京マラソンも開催されるなどマラソン競技は盛り上がりを見せています。 一時期、コロナ禍もあり東京のランニングの名所、皇居周辺で走る人が減っていましたが、 最近は走っている人が多くなってきた気がします。

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜〜金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。

国内市場は回復傾向


こちらはランニングシューズの国内市場規模です。

2020年から21年にかけて新型コロナの影響で多くの大会が中止になった影響でシューズの需要は減ったものの、 22年以降、徐々に回復していることがわかります。
ランナー人口が増えてきたんでしょうか。でも以下のグラフを見るとそうでもなさそうです。去年のシューズ販売数はピークの2019年に比べ16%減少しています。

「高機能化で高額商品増える」

市場拡大の理由が高機能化です。 高機能化により高額商品が増えたことで 平均価格が上がっています。 国内で販売されている ランニングシューズの1足当たりの平均価格を見ると2023年は7824円。4年間で約1000円(15%)上昇しています。

スポーツ店で取材してきました。東京都台東区のスポーツジュエンBENEXには約500種類の ランニングシューズが並んでいます。 担当者は売れ筋のシューズを手に取り「こちらの商品は8年前までは税抜 1万4500円ほどで売られていたが いまは1万8千円で販売している」と話します。

値段が上がっている理由の一つが高機能化。 クッション性と反発力を高めた 厚底シューズの登場です。「カーボンプレート入りのシューズが出てきて 開発費などが上がってきたことで 価値が上がってきた」(担当者)。上級者向け商品の靴底にはカーボンが入っていて、反発力を高め速く走れます。

◾️厚底やカーボン素材、いつから登場したの?
厚底シューズが世界で初登場したのは 2016年のリオデジャネイロオリンピックです。 当時、ほとんどの選手は薄底をはいていたなか、次の東京オリンピックでも優勝したケニアの エリウド・キプチョゲ選手がナイキの試作品で 金メダルを獲得して話題となりました。 翌年にはミズノが本格的に販売を始め、 2020年の箱根駅伝では8割以上の選手が ナイキ製の厚底を履き、爆発的な人気となりました。 ナイキに対抗して各社がカーボン素材など高価格商品を相次ぎ発表しました。

高機能化によってメーカーの開発費がかさんでいるのに加え、カーボンなどの素材の高騰や 円安などの影響も価格をあげているそうです。ここ数カ月でも1000〜2000円ほど上がっています。さらに出始めの頃はトップアスリートや上級者向けだった厚底も最近では中級者にも広がってきました。平均単価の押し上げにつながっています。
ここで今日の方程式です。

シューズの値上がり=高機能化+素材の高騰

今後もシューズ素材の値上がりは続きそうです。値段はまだ上がりそうです。シューズメーカー同士の競合も激しく、画期的な商品が出れば開発費を反映して今よりも単価が上がる可能性がありそうです。

マラソン大会、参加費も高騰

シューズ以外にもマラソン大会の参加費なども高騰しています。2022年に開催された1000人以上が参加する国内約60のマラソン大会のうち、95%が2019年の時と比べ値上げしました。 東京マラソンの参加費は2007年の第1回は1万円でした。今年は1万6500円と1.5倍以上になっています。 主な要因は新型コロナ禍以降、 体温測定や給水コップに蓋をして渡すなどの対策が必要になったことや、人件費の上昇でコロナ禍後も一度上げた参加費を元に戻せない大会が多いそうです。
実は私も2010年に東京マラソンに参加しました。時間は6時間28分2秒。制限時間ギリギリというお恥ずかしいタイムですが、なんとか完走。ゴールした時の爽快感や達成感は格別でした。今回の取材を機にマラソンを走ってみようかと考えています。


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