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今年も高い国産マツタケ! 注目はブータン産

世の中の様々な値段がどうやって決まっているのかを解き明かす「値段の方程式」。きょうのテーマはこちらです。「今年も高い国産マツタケ!注目はブータン産」。秋の味覚の王様といえばマツタケ。この時期一度は食べたい食材です。みなさんはどのくらいの頻度で食べますか。そういえば私は昨年、国産も輸入品も食べていません。今年もやはり高いです。9月25日の東京・大田市場の国産の取引価格は400グラム4万8600円。9月上旬に比べると半値に下がりましたが、前年より1割ほど高くなっています。1キロに換算すると12万1500円。高級和牛よりも高い水準です。

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜〜金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。

国産は長野と岩手で8割以上占める

都道府県別で国産の生産量は長野県が1位。次いで岩手県。この両県で例年8割以上を生産しています。

天候に左右される生産量

過去10年間で見てみると生産量にはバラつきがあります。人工栽培できないマツタケは生産量が気候によって大きく影響されます。豊作の条件は秋に気温が下がり、雨が降ることです。2012年、2017年、そして2019年が不作でした。2019年は雨が少なく、秋まで残暑が残ったのが響きました。

国産の生産量が減るとマツタケ価格は上がるんでしょうか。もちろん数が減ると価格にも影響しますが、輸入品を含めた全体の価格はそれだけでは決まりません。国産のシェアはマツタケ全体の流通量の1割未満だからです。過去5年間の東京都中央卸売市場の取引価格を見ると国産が不作だった2019年は豊作だった前の年よりも安いです。安い輸入物が増えれて平均価格が抑えられます。ちなみに2019年の国産比率は6%まで下がっています。

コロナの影響で輸入品も減少

ところが、2020年から輸入品も減っています。鮮度を求められるマツタケは海外からの輸送に航空便を使います。コロナ禍で航空各社が減便し、運賃も上昇したため輸入が減りました。その結果、マツタケ全体の市場の取引価格は

ここできょうの方程式です。

マツタケ価格高騰=天候による不作+輸入量の減少

ブータン産マツタケ

今年は円安ということもあり、輸入品もジリジリ上がっています。中国やアメリカ、韓国が主流だった輸入マツタケの市場で最近、注目されているのがブータン産です。国産に香りや品質が劣らないとされています。実際に取材してきました。

ジューシーで香りあふれるブータン産

東京都千代田区の「紀尾井町福田家」はミシュランで2つ星の高級和食店です。9月に国産が出回らないため、100%ブータン産を使って料理を提供しています。ブータンで朝採れたマツタケは、その日のうちに飛行機に積み込まれます。翌朝には羽田空港に到着。国産マツタケの流通と同じくらいの鮮度を保ち、消費者の元に運ばれていきます。福田家の松下俊一料理長によると香りや味とも国産とほぼ遜色ないとのこと。私も土瓶蒸しをいただきましたが、鮮度が高いので傘の部分はジューシーで口の中に香りがあふれ、軸の部分はシャキシャキとしたかみごたえがあり、おいしかったです。

ブータンは高地なので虫食いがほとんどなく、モノによっては国産を超えると評価していましました。だから高級店に採用が広がっています。松下料理長は「ブータン産のおかげで9月に秋らしいメニューを価格を変えずにお客様に提供できる。まさに救世主だ」と話していました。

ブータン産を扱う「ブータン松茸SHOP」の植山宏哉さんによるとブータン国内では日本のように高級というイメージはないそうで、唐辛子と炒めて食べるのが一般的だそうです。せっかくの香りが飛んでしまうのでもったいない気もしますね。価格も1キロ3万3000円。中国産より高いですが、現在の国産の相場に比べると3分の1です。
ただブータン産の出荷は9月いっぱいまで。これから気候もだいぶ涼しくなってきましたので、国産の出回りも今後増えてきそうです。ただ、マツタケは「貴重で高いからこそ、ありがたい」という側面もあり、値下がりはあまり期待できそうにありません。












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