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妄想ストーリー

子供の頃、眠れないと頭の中で色々なストーリーを考えて妄想していた。
家族は寝静まっている中で。

その頃、私は自分の部屋があったのだが家の二階の一番奥にあるその部屋が何となく怖くて、自分の部屋で寝ずに両親の部屋で寝ていた。勿体無い事に日中もその部屋は使わず、居間で過ごしていた。

父親は築地で仲卸売業をやっていたので大抵早く寝てしまい、私は母と一緒にいつもお布団に入っていた。だいたい21時か22時頃に。
母は驚くぐらい寝付きのいい人で、お布団に入ると五分もしないうちに寝てしまっていた。
私はというと、今でも変わらないのだがお布団に入って一時間経っても眠れないのが当たり前。
今はスマホがあるので眠れない時にはスマホを開いているのだが(それでよけい眠れないという噂もある)私が子供の頃にはスマホも無く、頭の中で物語を考えて妄想するしか無かった。

妄想の中で私はお姫様になり、素敵な王子様に出逢い王子様と結婚する。しかし幸せは続かず、王子様が病気や事故で亡くなってしまい、現実の私も妄想しながら涙を流す「死なないで!私をおいて行かないで」と(当時は寝る時に大きな毛布を抱いて寝ていたので、それで涙を拭いていた)しかし、王子様の兄(弟の時も)が王子の代わりに私と結婚をして幸せになる。
というようなストーリーを色々設定を変えては頭の中で考えていた。
まぁ、子供なので内容はめちゃくちゃなのだが。

ただでさえ眠れないので、そんなストーリーを頭の中で考えて笑ったり泣いたり怒ったりしていたら余計に眠れなくなるのは当たり前の事で、気付くと夜中だったり、下手すると休日前夜などは父親が起きて仕事に行く時間だったりする事も何度もあった。

それでも私はその妄想タイムがとても好きで、時には自分が病気で愛する王子を残して亡くなったり(そこでも涙を流す)最強に強い女性になって世界を救ったり、色々な所へ冒険をしたりしていた。
毎晩、お布団に入るのが楽しくなり、妄想は止まらなかった。

しかし、いつから妄想をやめたのだろうか?
気付いた時には妄想は止まり、今では妄想する事もなく、スマホ画面を眺めて色々な事を調べたりしている。

たまによほど眠れない時は、ふと妄想してみようかと思う時もあるのだが、大人になった今では王子様妄想は出来なくなり(恥ずかしいので)さらに妄想すると逆に眠れなくなりそうなのでやめておこうと思う気持ちが強くなった。

大人になってからは、眠れない時は何かノートに書くと眠れる事があったので、よくノートに書いていたが、今では起きて机まで行くのが面倒になり、こういった文章をスマホに書くようにしている。
書き終わる頃には少し安心して眠くなってくるからだ。

しかし相変わらず寝付きの良い人に対しては憧れを持ってしまう。
私も毎日五分で寝ついてみたい。

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