4月2週目のアトリエの活動

うっかりすると、あれこれ考えることが楽しすぎて、
1番時間をかけている本業について書くのを忘れている。

今週から新学期が始まった。
大好きな子供たちの笑顔、笑顔。
新しい環境や春休みの間の体験談。
新しい制服や運動着を着て来てくれるところが嬉しい。
訪れた場所で買ったお土産をたくさんいただく。
私からも挑戦の報告とお土産を。

授業の始まりはいつも賑やかだ。
今週から体験の生徒さんの受付を始めているので、
申し込みを何件かもらい、面接のご案内もしている。
バタバタと過ぎていく時間。
一番大切なものを見失わないようにしたい。
1月から画材の説明と、
形の捉え方、光と影の扱い方、静物や花の描き方、
大好きな人に送るイラストと授業が進んできた。

4月からは人物画のコンクールが始まるのに合わせて、
目・鼻・口・眉毛・耳・輪郭・髪の毛の書き方や、
水彩の技法等について説明をする。

アニメの顔に慣れている子どもたちは、
実際の人の顔のパーツを書くことに抵抗がある。
感覚で行けば睫毛は長く、上を向いて生えているし、
眉毛は細く長く美しい流線形。

鼻は、くの字で、鼻の穴などなく、唇も小さく美しい。
けれど実際に人間の顔のパーツをよく見てみると、
実に奇妙な形をしている。
それを丁寧に図鑑や美術解剖学の本などを使って説明していく。

モデルさんや保護者の方に来てもらって、実際に見たり触れたり、
鏡をたてて、自分の顔で確認をしていく。
子ども達が一つひとつ見方を発見してくれるこの授業が、
私はとても面白い。
子どもに形を教える事はいけない、
形を教えてしまうと、教えられたようにしか書かなくなる。という意見がある。
逆に、形は学ぶもので、名画や師匠の作品を模写し、
形の取り方を勉強した方が良いと言う意見もある。

それはどちらも正しいと思う。
なぜなら描き方がわからなければ、自己表現の仕様がない。
喋りたくても、言葉を獲得していなくて話せないのと同じだからだ。
どのような言葉であれ、表現するための手段を得ることは必要である。
獲得した手段で、どんな自己表現をするかが感性を育てる。
感性を伸ばす手段も必要。
生徒さんが自己表現のための言葉を獲得するために、
お手伝いをできることが、私の喜びだ。

どちらかに偏ることのないように気をつけている。
学ぶ事と自由にやる事と両方を交互に、
あるいは同時にやっていくようにしている。
例えば四角や円を立方体や球体にする描き方を学んだとすると、
プラスして自分の考えを入れた作品を描いてみましょう。という指導になる。
そうすると子ども達は、自分の得た知識をベースに、世界を広げようとする。
他人から見ると、ちぐはぐな作品に見えるかもしれないが、
そこは問題がない。
なぜならアトリエは実験の場だからだ。
教わることを教えられたままに、復唱するのが苦手な子がいる。
逆に自分で自由に考えてと言われると、それがストレスになる子もいる。
だから必ず幅を持たせておく。

曰く、書き方を教えるよ。
でも覚えなくても構わない。
自分の好きなように描いてもいいよ。
でも描くものが思いつかなかったら、
習ったことをもう一度やっていても構わない。

両方ともやるエネルギーが残っていなかったら、
本を読んだりボードゲームをしたりして大丈夫。
そんなふうにして、
課題ごとに幅を持たせ、一つひとつ子ども達に選んでいってもらう。

具体的な手順としては、
塗り絵を1枚ずつ動物の名前を言ってもらいながら選んでもらう。
けれど動物の絵を描かなくても良い。

先週の遠足で、薮内正幸美術館に行ってきたので、
その時に買った塗り絵を、
子ども達に1枚ずつ選んでもらう。
その後で、塗り絵に直接色を塗る事はせず、
スケッチブックに下書きを写してもらう。

大きさは、絵はがきの大きさでも良いし、
もっと大きく、紙いっぱいに描いてもらっても良いと話す。
気に入る作品になったら、展覧会に飾る作品の候補加えようと話す。

水彩色鉛筆を持っていない子にも体験をして欲しくて、
アトリエの水彩色鉛筆を貸し出す。
それとともに筆の上に水を入れられてウォーターブラシも一緒に体験してもらう。

中学生以上は、デジタルやアニメの絵も許可をしているので、
そちらで人物画を書いてもいいし、
小学生はコンクールに挑戦しても構わないと話す。

動物の絵を描かなくても、
素敵な絵なので、絵はがきは1枚ずつもらってくださいと話す。
自分の好みの動物を選んでもらった後で、
塗り絵に直接色塗るので塗るのではなく、
スケッチブックに下書きを、し直してもらう。

でもスケッチブックに下書きをするエネルギーがない人は、
色塗りをして遊んでみるだけでも大丈夫だよと話す。


始めてしばらくすると、選んだ動物を後悔し始める子たちがいる。
見た目は好きだったけれど、いざ書いてみると難しいと言うパターンだ。
そんな子たちのためにしばらくすると
薮内正幸さんの絵本をたくさん出してきて、
描き始めたけど難しいなぁって思った人は、
この絵本の中から好きな絵を選び直しても大丈夫だよと話す。

本になっている塗り絵を、1枚ずつ切り離して差し上げることによって、
特別感も出している。
薮内正幸さんの絵はとても素晴らしくて、
歴代の生徒たちがたくさん模写をさせていただいた。

北杜市の美術館で原画を前にしての模写の会も10年くらいになると思う。
きっかけは、92歳になる養母がプレゼントしてくれた
薮内さんの鳥の本のシリーズだ。

特に青い鳥はとても人気がある。
それから優しい眼差しの動物の家族も。
幸せなものや愛情豊かなものに、
子ども達は自然に惹かれるんだなぁといつも思う。

おやつの時間には中谷彰宏さんの言葉を紹介した。
人間は2種類しかいない。
挑戦や失敗を繰り返して成功する人間と、
挑戦も失敗もしないけれど成功もしない人間の2種類だという内容だ。

子供たちに話しかける。
「私は今、夢に挑戦しています。
それはみんなもよく知ってくれているよね。
みんなにすごく協力をしてもらっているけれど、
なかなかうまくはいきません。
しょっちゅう失敗してばかりです。

恥ずかしかったり、辛かったりすることがたくさんあります。
けれども諦めずに、自分のイメージを形にしようと思います。
失敗し続けても見守っていてくださいね。」と。
そんな話をすると、
子ども達は、黙って聞いていて静かに頷いてくれる。
どこまで理解しているのかわからない。
でも大切な思いは伝わっているような気がしている。
もしも今世で達成できる夢じゃなかったら、
来世につなげるから大丈夫だからねと話す。

3月から4月にかけてチャレンジした事は、
どちらもうまくは行っていないけれども、
前に進んでいないわけでもない。
私は私のやるべきことを、ただひたすら一生懸命にやるだけだ。
1週間の締めに、
大好きな百人一首をリクエストしてもらって、
声を出して読めたことが嬉しかった。
私は百人一首を読むことが大好きだ。
みんなありがとう。

今日もおかげ様🙏

*入浴しながら音声入力で文字を入れたので、
漢字変換が所々変かも。
日にちが変わってしまうので、とりあえずこれで投稿します。
読みにくい部分はお許しください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?