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【日記】 擦り切れた嫌悪すら振り込んで

久しぶりにこちらに来た。

全てが終わったというには、まだ細々としたことが片付いておらず、それは言い切れないのだが。

ただ、大物は片付いた。

実に八桁の金額を使い込んで負債として遺した父への感情は、その一件よりもだいぶ前から憎悪すら擦り切れて醜悪な老人への嫌悪として蟠っていた。
遺された負債となった額面の多い金は、私と兄以外の親族にとっては、伯母の愛だと言う大義名分で目の色を変える金だったのだろうが、いつもいつでも、一番近い家族に砂をかけてきた男が最後に醜悪に遺した汚物にも等しく感じたものだ。

金は振り込んだ。
父への嫌悪も、負債という汚物も、手元からは離れた。

クズな父を持った影響か、どうにも借金やローンや、そう言ったものが嫌いなのだ。
己の作ったものでさえない負債が消えて、こう言うしかない。

せいせいした。

父の遺影や写真は、まだ実家にある。
母が生きているうちは、不愉快ではあるが、手をつけないで置いてやるが、それ以降は置く義理もない。

「家族」を、血が繋がっているというだけで無条件に尊重できる人は僥倖だ。

おそらく数年のうちに、私は父の遺影を捨てるだろう。


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