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カネを失う話

奨学金を借りた男がいた。
借りて返さなかった。

男は就職した。
就職して結婚した。
この結婚が、男の最大の幸運だった。

妻は男の奨学金を返した。
共働きだった。

男は就職して数年で
「僕は働くために就職したわけじゃない。」
と言い放ちクビになった。

新築の家を、妻が建てている真っ最中だった。
男は新築の家で、会計士の試験を受けると言って、5年引きこもった。
会計士の試験は結局受けなかった。

男は再就職した。
妻の運動によるものだったが、男は数年で妻に内緒で再び仕事をやめた。

今なら起業と言うだろうが、独立すると言って、月二数十万もする家賃の事務所を借り、段ボール二箱分の封筒を刷り、事務用機器と150万のパソコンを買った。
結局事務所は素寒貧になって一年で畳んだ。

それ以降、紆余曲折も波乱もあったが、男は一貫して妻のヒモで、それなのに自称は一家の大黒柱だった。

カネを失うのが大層得意なクズだった。

これでもまだ書ききれない。

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