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あいあむあぐっがーる。

【I AM A GOOD GIRL (LIFE, SAVE, AH~)】
八木恵梨さん 個展

二○一九年二月一日。藝大の卒展で出合った。
「LIFE, SAVE, AH~」
その展示は、絵画棟一階奥のスペースで展開されていて、
そこはまるで、荒涼とした海岸のようだった。
そこでは、スミの線でやわらかに輪郭を与えられた女性が何枚も描かれ、
彼女は、どこにもいない
そして彼女の妄想の中に確実に存在する「ライフ、セイブ、ア〜」に
秋波を送り続けていた。
誰がみてもそれは作者そのもののようだ。

卒展で、端から端まで見たポートフォリオに
手書きの文字でこんなことばがあった。
「たとえば、虎がバターになってしまったように、
人間が何かを妄信する、あるいは考えすぎると
当人の想像を超える結果を生み出すことがあります。
その結果がもしも人類にとって新しいといえるものであった場合、
私は人類に貢献できるのではないかと考えます
2017」

妄信は進化を続け、アートセンター・オンゴーイングの空間は、
なんだかもうエロかった。
吐息のように呟かれる「I AM A GOOD GIRL」。
私をみて!。それはもう恋である。
妄信という物語の中で生まれたシニカルで、軽いユーモアに包まれた恋。
現実と地続きなのかどうかはわからない。

だが私たちはいつの間にか、
彼女の物語を読み進みたくて仕方なくなっている。
所詮、人類の営みのすべてが妄信・物語づくりだといえるとしたら、
この作品はもう、十分に人類に貢献しているといえるのではないだろうか。


#yagi_eri #ongoing_artcenter #life_save_ah #i_am_a_good_girl #八木恵梨

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