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(地下鉄+山岳鉄道+路面電車)÷3=?

 京都には面白い電車もたくさんあります。そのひとつ、京阪京津線をご紹介します。鉄道好きなら京都へお越しの際はぜひ一度ご乗車されることをお勧めします。

地下鉄の顔


 京都市営地下鉄東西線と京阪京津線は直通運転を行っています。太秦天神川駅ーびわこ浜大津駅を結びます。太秦天神川ー御陵間は京都市営地下鉄の路線になります。乗務員も御陵駅で交代します。
 

山岳鉄道の顔


 特に、京阪山科からびわこ浜大津駅へは本格的な山越えとなります。ほぼ国道1号線、名神高速道路と並走しながら上っていきます。勾配は大津側からの方がきついです。逢坂峠です。また、ものすごいカーブもあります。勾配は途中に大谷駅があり、そこはベンチの支えの長さが異なります。

大谷駅ホーム


路面電車の顔


 大津市内に入ると、併用軌道の区間があります。上栄町ーびわこ浜大津の1区間だけですが地下鉄車両4両編成が道路を走行する様子は圧巻です。

上栄町ーびわこ浜大津


高性能電車


 この3つの性能を兼ね備えている電車は800系という車両です。ちょうど、地下鉄との直通運転が始まった時に導入された車両です。また、地下鉄ではATOというほぼ自動運転の装置やワンマン運転の装置を備えていなければならないのでその機械も積んでいます。側面のカメラなどもそうです。また、路面電車に対応するという事でパンタグラフも特殊ですし台車も通常の台車より小さいものになっています。
 おまけに、この車両、一部クロスシートを備えています。
 それだけ、コストはすごくかかっていて1両当たりの値段は新幹線1両分に近いとかうわさされました。

かつての姿


 1997年までは、完全な路面電車でした。現在の京阪三条駅を起点に(今はバスターミナル)浜大津に向かっていました。準急と普通があり、四宮までの列車が普通でその先へ行くのは準急でした。浄水場の横の桜の美しい区間がありました。また、一部停留所が廃止されています。日ノ岡がそうですね。600系や700系が準急系統に使われていました。(現在は、石山坂本線に使われています)普通はもっと古い電車でこの地下化を機に廃車されました。
 1997年の完成してすぐのころは、かつての三条までだった名残で京都市役所前で折り返すダイヤでした。三条京阪で折り返せなかったのは恐らく、三条京阪の西側に折り返し線を設置できなかったためだと思われます。三条京阪~京都市役所前間で鴨川をくぐる上に三条通りから、御池通りを西進するように設定されたため(三条通りから1本北の通りが御池通り)大きくカーブするためです。
 今では、日中は20分に1本程度となり運転本数も減ってしまったためか京都市営地下鉄の終点でもある太秦天神川まで乗り入れるようになりました。
 運転本数の増える時間帯は、京都市役所前で折り返す便もあるようです。(朝ラッシュを中心に)
 
 もっと昔は、京阪本線も地上で鴨川沿いを走っていました。その時には、三条での乗り換えが極めて近く乗り換えがしやすい場所でした。今は両方とも地下になってしまいました。もっと前は、連接車体のびわこ号を大阪から大津まで直通運転している時期がありました。今では考えられない話です。
 

沿線


 三条京阪は、バスターミナルにもなっていて各方面へのバスがひっきりなしに発着しています。「京阪三条」か「三条京阪」ってまあ~乗り換えはできるのですけど、前者は京阪電車の駅ですね。後者はバス乗り場か地下鉄の駅という認識でいいと思います。「三条京阪」っていう「地下鉄の駅」「京阪電車が発着する」というかなりややこしい事実があります。三条周辺は白川周辺の祇園の京都らしい街並みを楽しむことができます。東山は、平安神宮が近いです。蹴上では、インクライン、南禅寺などの名所があります。南禅寺から銀閣寺への哲学の道が続いています。また、蹴上浄水場の桜は美しいです。京都動物園へも近いです。御陵を過ぎると地上に上がります。南側にはJR線が高架を通っています。すぐにJR線をアンダーパスし京阪山科駅はJR山科駅南側になります。乗り換えはすごく便利です。次の四宮は車庫がある駅で折り返し線もあります。すぐに、府県境があり滋賀県に入ります。ここから、勾配がきつくなります。追分から大谷にかけては直線区間もありグイグイ上ります。大谷からすぐのトンネルで下り坂です。トンネル出るとすぐに半径35m、制限20キロのカーブがあります。ここを過ぎればJR線をクロスオーバーします。すぐに上栄町です。敷地が狭いため、上下でホームがずれています。この先は併用軌道区間になります。緩い勾配を降りていきます。この区間は最高40キロです。
 JR大津駅へは上栄町の方がびわこ浜大津駅より少し近い気がします。
 びわこ浜大津駅は、琵琶湖クルーズの拠点として最寄りの駅です。この先石山・坂本線が同じホームで乗り換えできます。この駅は1本のホームで3方向への発着を行っていてさらに前後に併用軌道が見られるかなり特殊な構造をしています。

特徴的な駅


 御陵駅は特徴的で、2段式の構造になっています。太秦天神川行きは上に、浜大津・六地蔵方面のりばは下になっていて立体的な構造となっています。大谷駅は坂の途中にありホームにあるベンチの足の長さが異なっています。ものすごい坂です。

特殊な運賃制度


 山科駅が地下鉄にも、京阪にもあります。例えば、京阪山科(地上駅)から三条京阪へ行く際には、御陵で会社が変わるため運賃が上がってしまうのです。360円となります。しかし、地下鉄の山科駅から三条京阪なら260円と100円安くなるという現象が起こります。初めての方はお気を付けください。

高い運賃?


 その通りです。なにしろ、京都ー大津には速くて、安いJRが並行して走っていますからね。京都ー大津間は、JRで200円10分。しかも運行本数も、15分に2本ほどあり、しかも、京津線が「うんとこどっこいしょ」と山を越えている区間をトンネルでぶち抜いているのですからね。
 「高くてノロい不便な鉄道」と思いのそこのあなたこそ、ぜひ乗車してみてください。3変化に魅了されますよ。

京津線沿線の地図です。


まとめ


・単に京都ー大津を結ぶだけじゃない
・使用される車両は、高機能高性能車両
急勾配、急カーブが半端ない
山科駅で乗降される際はご注意。値段が大きく変わります。
クロスシートもあって小旅行気分


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