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W杯史上最高の決勝を振り返る

 初の冬開催、初の中東開催で過去1の過密日程の中で僕達サッカーファン、いや、全人類に熱狂と感動をもたらしたW杯が終了した。W杯全体の振り返りは別の機会にするとして今回は、W杯史上最高の決勝の決勝戦を振り返っていきたいと思う。
ちなみに、細かい配置や戦術的意図などに関しては、別の人に任せるとして僕は、このW杯をきっかけにサッカーに興味を持った、サッカーを見た方にも「あ、そういうことね!」というのを、作っていければ良いなぁなんて思いながら執筆していきたい。


試合前の背景

この決勝に対しての文言としては、

「リオネル・メッシが世界最高峰の人類になるか」
vs
「フランスが60年ぶりに連覇の偉業を果たすか」

 バロンドール最多受賞の7回に、CLを3回制覇して五輪でも金メダルを獲得するなど数多くのタイトルを獲得したが、彼にとって唯一のタイトルこそW杯タイトル。2014年大会に決勝に進むも、ドイツに敗れて苦汁を飲んだ。二度目の挑戦で、"ジュール・リメ"を掲げることこそが世界最高の選手、人類になることのラストピースであった。そして彼のために24人の選手そして国民が1つになった今大会は初戦サウジアラビアに番狂わせを起こされるも、それ以降はオランダ戦を除き、全勝。メッシも5得点を挙げ、チームとしても粘り強さを見せて決勝まで進んだ。

 対するフランスは前回大会でキリアン・ムバッペという超新星が異彩を放ち、最高のスカッドで2018年大会に優勝を果たした。その頃のメンバーからバロンドーラーのベンゼマを始め、主力選手が多く離脱。しかし、層の厚さを十二分に発揮して大会最多得点で決勝に進出。その中でもムバッペが5得点をマークして今大会でも存在感を発揮。試合前はメッシにジュール・リメをというモチベーションが高いも、総合力で勝るフランスに優位に進めるのではないかという見方をされている方が多かったように見受けられる。

 

試合開始から


 決勝は基本的には試合を殺すのケースが多い。一発勝負での1点の重みは計り知れないもので、決勝で複数得点が生まれるケースは数少ない。サッカーというスポーツ自体1試合平均3点弱しか生まれなく、得点を奪うというのが難易度が高い上に、それが決勝となれば尚更。

過去のW杯でも前回大会こそ両チーム計6得点(フランス4-2クロアチア)が生まれたが、決勝で複数得点を挙げたチームは2002年大会のブラジル(ブラジル2-0ドイツ)以来で、それ以降3大会(2006、2010、2014)は複数得点を挙げたチームはない。
また欧州最強のクラブチームを決める、UEFACLでは3シーズン連続で1-0というほど決勝戦は固い試合になるのが通例行事で、サッカー通の彼氏に付き合って見る彼女にとっては何が面白いのか分からなく、ただただ虚無な時間を過ごして関係がごたつくというのが決勝戦である。

 この試合でも、例外ではなく、前半のアルゼンチンは前からボールを奪いに行かずにゴール前のスペースを消す守備に努め、フランスも無理をしないと言った構造に。実際問題アルゼンチンの守備ブロックに対してフランスの攻撃陣が手を焼いていたのが真理ではあるが、それほどアルゼンチンのは入りが良かった及びフランスの入りがとても悪かった。徐々にアルゼンチンが主導権を握る。攻撃のメインウェポンはディマリアの左サイドを起点にするか、縦に早いカウンターでフランス守備陣を揺さぶって、PKとカウンターで2点を先取。

 対するフランスは攻守のキーマンになるグリーズマンに対してマクアリスタの激しいチェックに遭い、ムバッペにもいい形で配給ができず。グリーズマンが攻守のタクトを振るってきただけに、そのグリーズマンが封じられると攻撃の形を封じられるのでかなり苦しい展開に。前半に交代枠2枚切ったのは、流れを変えたいというのをより明確にしたいものではあったが、それでも変わらず。だが、面白いものでサッカーは変化を加えれば流れも変わる可能性もあるもので・・・

一方的な試合を最高な試合に変えた一手

 デシャンが切ったカードはグリーズマンを下げてコマン、テオ・エルナンデスに変えてカマヴィンガを投入した。これによって交代で入ったコマンを右に持っていって右のコロムアニを本職のトップに持っていく。これによってフォーメーションを4-4-2に変更。フォーメーションに関してもまたいつか詳しく話したいが、デシャンは試合の中でムバッペを最大限に生かす一手を打ったのである。
2トップになったことで、シンプルに前線に枚数を増やしつつ、サイドの攻撃が活性化すなわち、窒息死寸前だったムバッペが水を得た魚のようにボールに絡むシーンが一気に増加。そしてコロムアニがスピードを生かしてPK奪取してムバッペがPKを沈めてその1分後にボレーシュートをかまして同点。こればっかりは予測に過ぎないし、サッカーに絶対はないが、もしもこの交代がなければこのような展開にはなっていないと筆者は強く思う。

もちろんムバッペの個が絶対的且つスーパーなのは大前提だが、それをより明確に活かすための一手を打ったデシャンには同業者として本当に、本当に凄いなぁと思う限りである。

メッシvsムバッペ ~胸迫る組織を上回る最大の個対決~


 延長になって以降はアルゼンチンが持つ、フランスがカウンターの展開に。それによってより際立ったのがメッシvsムバッペである。この人外兵器によってこの試合の魅力はより深まった。特に延長前半なんかは両チームともに組織的な守備が光っていて、一瞬のすきを突いて相手の背後を取ったのが一度あったくらい。本当にそれくらい、両チームの守備は強固だったし普通にチームの攻撃で崩すのは容易ではなかった。そのほころびを産んだのは、メッシであってムバッペであった。

 まずはスローインからボレーシュートで枠内に仕留める。ここからフランスの守備を攻略するきっかけを作り、ラウタロ・マルティネスの裏抜けシュートのこぼれにメッシが決めて逆転。これで勝負アリにならないのが今大会で、今度はセットプレーのこぼれ球をムバッペシュート。ハンドでPK!それ決めて同点!どうなってんねん笑笑!この場合ムバッペはPKやんって話ですが、2度目のPKって結構難しいんです。しかもW杯決勝という世界一プレッシャーの掛かるシチュエーションでしかもGKのエミリアーノ・マルティネスはPKがわりと得意で、オランダとのPK戦でも2本のPKストップを見せるほどのPK職人相手に2度のPKを決め、得点ランキングトップに躍り出るのはまさに最強の個である。
 その後は両チームともにビッグチャンスを一度ずつ迎えるが、決めきれずに今大会5度目のPK戦にもつれ込んだ

ジュール・リメ奪取の希望を、、、

 
 PK戦ではアルゼンチンサポーターが多く陣取るゴール裏側で行った。因みに現地にいるアルゼンチン人の多くは"loco"。狂気な人ばかりである。現地に行くために仕事をやめたり、家を売ったりとかしてサッカーに人生のすべてをかけるような人ばかり。その民族が陣取ったゴール裏の熱狂は計り知れないものがあり、アルゼンチンにとっては最高な環境で、フランスにとってはプレッシャー以外の何物でもないPK戦に。最終的にアルゼンチンは全員成功し、エミマルティネスが1本止めてアルゼンチンが実にマラドーナ以来36年ぶり3度目のジュール・リメを獲得した。勝利の女神は、アルゼンチンに微笑んだ。

人類最高峰になった神の子


 今までメッシに唯一足りなかったものが、W杯タイトル。アルゼンチン人にとっても、「記録のメッシ、記憶のマラドーナ」と言われるほどメッシにとってはW杯制覇は喉から手が出るほど欲しかったもの。今まで史上最高の選手論争に自らの2ゴールを添えて終止符を打った。

 これでバロンドール最多獲得、CL3度優勝など獲得腫瘍タイトルは38。そしてこれで記録にも、記憶にも残るようなサッカー選手になった。この神の子の偉業にマラドーナも天国で笑顔を浮かべているであろう。これほどまでに人の記憶に残り、記録を残すような人類は現れるような可能性は稀有であり、神の子メッシはまさに人類にとって神の領域に至ったのであった。

最後に


 最後までご試読いただいた方はありがとうございました!
 わかりやすく書くと言いましたが、正直自分の書きたいことを書いたら全然わかり易くないですね笑笑。ただ、このW杯を通じて少しでもサッカーという世界最高のエンターテイメントに少しでも興味を持っていただければ幸いです。今後ともサッカー業界で働くものとして、そして1サッカー人としてサッカーをよろしくお願いいたします。

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